トピックス


2018_森保ジャパン(U23アジア選手権)・・このゲームでは、不確実なサッカーだからこその微妙な心理メカニズム・・というテーマに思いを馳せた・・(日本vs北朝鮮、3-1)・・(2018年1月16日、火曜日)

スミマセンね・・、チト北朝鮮を買いかぶり過ぎていたかもしれない。

まあ、とはいっても、「あの」完璧オフサイドゴール(北朝鮮の追いかけゴール!)から北朝鮮がブチかましつづけた、レベルを超えたプレッシングサッカーは、森保ジャパンにとって、とても有意義な学習機会にはなったよね。

ということで、冒頭の「買いかぶり」。

言うまでもなく私は、その時間帯に北朝鮮が魅せた大迫力のプレッシングサッカーを、ゲームの立ち上がりからブチかましてくることをイメージしていたんだよ。

だからこそ、グループ最終マッチを楽しみにしていたっちゅうわけさ。

でも・・

そう、北朝鮮は、とても注意深くゲームに入っていったんだ。引き分け「も」イメージしてね・・。

とにかく前半は、素晴らしいコノテーション(言外に含蓄される意味)が満載だった日本の2点目以外は、落胆の極みではあった。

ということで、ここからは、「学習機会・・」という視点でディスカッションを進めていきます。

そう、北朝鮮が「追いかけゴール」を決めてからのゲーム内容。

解説の松木安太郎も言っていたけれど、この日本チームは、北朝鮮がブチかましたプレッシングを「いなす」ことが、ままならなかったよね。

いなす・・!?

そう、柔道でいう、空気投げ・・さ。

要は、相手のエネルギーを、自分のアドバンテージにしてしまうようなクレバーなプレーのこと。

相手ディフェンダーの、日本のタテパスに狙いを定めた「前へのアタック」を逆手に取り、ダイレクトパスのコンビネーションで、そのディフェンダーを置き去りにしてしまったり・・サ。

でも、この日本チームは、まさに「ミエミエ」のタテパスを最前線へ送り込むような「愚」を繰り返すんだ。

そう、もちろん「そこ」は、北朝鮮ディフェンダーが完璧にイメージして狙っているボール奪取ポイントだよね。

そして簡単にボールを奪われて攻め立てられちゃう。

そんなだから、劣勢の流れを揺り戻せないのも道理・・ってな体たらくだったんだ。

そりゃ、そうだ。

タテパスを出した後方の選手が、そのまま立ち止まって状況を見てしまう・・というシーンのオンパレードだったんだから。

タテパスを出し、間髪を入れない「パス&ムーブ」で押し上げていれば、前述した、ダイレクトパスのコンビネーションで、タテパスを狙って前に重心をかけ過ぎている相手ディフェンダーの虚を突き、背後スペースを攻略できるんだよ。

まあ確かに、そんな押し上げには、目立つ仕掛けアクションだからこそ、勇気がいる。

そう、人数をかける」リスクチャレンジが失敗したら、目立ったミスとして(!?)批判の矢面に立たされちゃう。

だから、タテパスを出した選手は、「様子見」になっちゃう傾向があるんだよ。

そう、「目立つミス」と認知される危険を避けられるからね。

でも・・

そう、それじゃ、まったく次の進化ステージへ登っていけないんだよ。

勇気をもったリスクチャレンジ・・

「それ」のないところには、決して進歩もないんだ。

哲学者ニーチェが、こんな教えを残した。曰く・・

・・名声を失ったら、また創り上げる努力をすりゃいい・・カネを失ったら、また稼ぎなおせばいい・・でも勇気を失ったら、生まれてきた意味がない・・

そう、勇気。

サッカーはチームゲームだから、一人だけ、勇気を振りまいても、うまく味方の意志と連鎖しないかもしれない。

でも、全員が「様子見」になって、攻守の仕掛け(リスクチャレンジ)に逡巡したら、まったく何も生み出せずに、チーム全体がジリ貧に陥るのが関の山。

そう、だからこそサッカーは、究極の心理ゲームなんだよ。

ということで、この試合からは、そんなテーマがアタマを駆けめぐっていたっちゅうわけさ。

さて、ウズベキスタンとの準々決勝。

このゲームでは英気を養っていた選手たちも、再びピッチに立つことになるんでしょ。

ホント、その意味でも、タイに勝ってよかった。


============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]