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2018_森保ジャパン(U23アジア選手権)・・そうそう「こんな」厳しいゲーム体感を積み重ねることでチームは成長していくんだよ・・(日本vsタイ、1-0)・・(2018年1月13日、土曜日)

ビシッ!!

そんな鋭いサウンドが聞こえてきそうな、素晴らしいダイレクトパスコンビネーションだった。

演出家は、井上潮音。

神谷裕太キャプテンと組む、チームの重心コンビの一人だ。

その井上潮音が、何度か、「ビシッ!!」ってな快音を響きわたらせるダイレクトパスコンビネーションを魅せたんだよ。

例えばこんな感じ・・

右サイドの高木彰人から、中央ゾーンにいる井上潮音に、仕掛けの横パスが出た。

相手ディフェンダーとの間合いを測りながら、トラップする「フリ」から、スパッと、スピアヘッドの田川亨介へダイレクトの足許パスを決める井上潮音。

もちろん井上潮音は、間髪入れずに、爆発パス&ムーブで、田川亨介からの、これまたダイレクトでの「ツーのパス」を受ける。

そして・・

そう、それが勝負の瞬間だった。

「ツーのパスを受ける」と書いたけれど、もちろん井上潮音は、そのツーのパスを、トラップするのではなく、ダイレクトで、ウラの決定的スペースへ送り込んだんだ。

「もし」そこに、最初の「ワンのパス」を出した(右サイドにいた)高木彰人が、タイミングよく走り込んでいたら・・

そう、結局は、井上潮音が描いたイメージングと高木彰人のイメージングは、しっかりシンクロしていなかったんだ。

そのとき、「フ〜〜ッ・・」ってな溜息が出た。

まあ、タラレバではあるけれど、もし井上潮音イメージング主導のダイレクトパスコンビネーションが決まっていれば(高木彰人がゴールを奪っていれば!?)、森保ジャパンは、「あそこまで」苦しむことなく、余裕をもって2勝目を挙げられていたのに・・ネ。

とにかく・・

それは、まさに、ワン・ツー・スリー・フォー・リズムの、「トントントント〜ン」っちゅうスーパー・ダイレクトパスコンビネーションシーンの流れだったんだよ。

あっと・・

この、森保ジャパンが苦労させられたタイとの勝負マッチだった。

このゲームについては・・

まず何といっても、元ブルガリア代表だった、ヤンコビッチ監督によって「考え尽くされたゲーム戦術」を徹底したタイ代表を賞賛しなきゃいけない。

彼らは、とてもよいチームだと思うよ。

フィジカルにしてもテクニックにしても、戦術的にも、心理・精神的にも・・。

ところで、ヤンコビッチの「考え尽くされたゲーム戦術」というテーマだけれど・・

彼は、森保ジャパンが志向する、攻守ハードワークを絶対的ベースに、しっかりと人とボールを動かすトータルフットボールに対抗するイメージを、徹底的にチームに浸透させたよね。

だからタイ代表のディフェンスブロックは、人数をかけるだけじゃなく、ものすごく忠実に、そして効果的に、ボールがないところでの守備アクションを繰り出していた。

そう、マーキングやカバーリング、そして協力プレスアクション等などの、森保ジャパンがイメージするスペース攻略を、効果的に受け止める連動ディフェンス。

そしてタイ選手たちは、ボールを競り合う「局面デュエル」でも、抜群の粘り強さを魅せつづけるんだよ。

そんなだから、日本が攻めあぐむのも道理だった。

そう、日本は、もちろん何度かは効果的なチャンスを創りだしてはいたけれど、全体としては、ヤンコビッチの罠にはまっていたとも言えそうだね。

このポイントについて、テレビ解説の松木安太郎が声高に、「もっとシンプルにクロスを放り込むような攻めもやらなきゃ・・」と主張していたけれど、私もアグリーだったネ。

シンプルなタイミングでの(放り込みに近い!?)クロス。

また、そんなシンプルなクロスだけじゃなく、もっと頻繁に、勇気をもったドリブル勝負。

そう、攻撃における、もっとも重要なコンセプトは「変化」なんだよ。

その視点で、このゲームでの森保ジャパンは、あくまでも組織コンビネーションで崩していくことに、こだわり過ぎた!?

まあ、そんな見方もできそうだね。

でも、松木安太郎が言う「シンプルな放り込み」にしても・・

そう、冒頭で描写した、「井上潮音が演出した五秒間のドラマ」のような、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションによる仕掛けチャレンジがあればこそ抜群の効果を発揮するんだよ。

だからこそ、仕掛けの変化・・

まあ、このゲームでの森保ジャパンは、そんな、不確実なファクターが満載のサッカーだからこそ大事な「仕掛けの変化」という普遍的コンセプトの重要性を体感できたわけだから・・

そうそう・・

決勝ゴールシーンで、松木安太郎の「シンプルな放り込みクロス」をブチかましたのが井上潮音だったという事実から、このチームを代表する「変化の演出家」は、井上潮音っちゅうことなのかもしれないね。

もちろん井上潮音にとって「あのクロス」は、決してアバウトな放り込みではなく、しっかりと(タイの守備が意外とスペースを開け気味の!?)ファーサイドを狙った、「ピンポイント・ラストクロス」っていう意味合いの方が強かったんだろうけれど・・サ。

へへっ・・

とにかく、火曜日の北朝鮮との勝負マッチに対する期待が、どんどん膨らんでくるじゃありませんか。お互い、とことん楽しみましょう。



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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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