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2016_オリンピック予選(準決勝)・・立派に「世界」への扉をこじ開けた若武者たち・・彼らは日本サッカーにとって、かけがえのない価値を生み出した・・(日本vsイラク、2-1)・・(2016年1月26日、火曜日)

また、イラン戦と同じ書き出しになってしまうけれど・・

よ〜〜〜〜しっっ!!!!!!!!!!!!

それほど、この勝負マッチも、ものすごく厳しいゲームになったんだ。それは、だからこその歓喜の雄叫びだった。

イラクは、自国が置かれている厳しい現実を背負っている。だから、自ら、強烈な「闘う意志」を燃え立たせられる強いチームに育っている。国際的に活躍できるのも道理だ。

たしかに前半で「も」、イラクに、ゲームの流れのイニシアチブを握られていた。しかし、ウラの決定的スペースを攻略されるような「決定的に危ないシーン」は、作らせなかった。

あの、前半終了間際の(CKからの)同点ゴールにしても偶発的だったし、それ以降は、セットプレーでは、まったくといっていいほどチャンスを作らせなかった。

ただ・・

そう、後半は、時間を追うごとにゲーム展開が、とても厳しいモノへと変化していったんだ。

皆さんもご覧になったように、そこまでの時間では観られなかった、セカンドボールの奪い合いで、イラクに、かなり圧迫されはじめたんだよ。

そんな展開がつづいたら、選手たちの意志や集中力がダウン傾向になってしまい、攻守にわたる競り合いハードワークも消極的になってしまうのが常だからね。

だから、そんなゲームの流れが、とても心配だったというわけだ。

でも・・

そう、そんな、ジリ貧になりかけた後半も、30分前後から、日本が、本当の意味で押し返し、ゲームの(そして勝負の!)流れを牛耳りはじめちゃうんだよ。

そのバックボーン・・

もちろん、後半の「ジリ貧の雰囲気」を体感していた選手たちの危機感もあったでしょ。

そして、その危機感に突き動かされるように、遠藤航キャプテンがチームを鼓舞し、ボール奪取プロセスでの「ダイナミズム」にカツを入れたに違いない!?

もちろん彼の場合は、ボールをめぐる、忠実&ハード&効果的なせめぎ合いを通してチームを鼓舞したのだろうし、他にも、言葉や態度でチームに刺激を与えたヤツがいたのかもしれない。

詳しいことは分からない。でもとにかく、日本の若武者たちが、自分たち自身で「危険なゲームの流れ」を逆流させたコトだけは確かな事実だと思う。

そして、もう一つ。

そう、中2日と中3日の「違い」が効いてきたこと!?

日本は「中3日」のインターバルを取れたけれど、イラクは「中2日」だったからね。準々決勝では、両チームともに延長まで闘った。

そう、一つのゲームで体力が限界に近づけば近づくほど、選手たち自身が、その「休みの差」を、如実に体感しはじめる・・っちゅうわけだ。

だから、足が、「もう半歩」伸ばし切れなくなってしまう。

そう、サッカーは、究極の「意志のボールゲーム」なんだよ。

そのことは、イラク守備が、日本のボールホルダーや次のパスレシーバーへの寄せや、「協力プレス」への集散アクションが、目に見えてダウンしてきたコトからも明確にうかがえた。

そして、そんな、ゲーム(勝負)フローの逆流こそが(選手たちの意識と意志の高揚こそが!)、原川力のスーパーミドル決勝ゴールを生み出したっちゅうわけだ。

そのゴールが劇的に過ぎたから、(冒頭の!)雄叫びもレベルを超えてしまった。

まあ、この試合については、これ以上のコメントは必要ないとは思うけれど・・

この「成果」のバックグラウンドに、プロコーチ手倉森誠の勝負師マインド(強烈な心理マネージメントパワー!?)があったコトだけは、繰り返し主張したい。

彼に率いられた若武者たちは、このトーナメントを通して、その「粘闘サッカー」の内実が、どんどんと発展しつづけたと思うんだよ。

その「粘闘サッカー」では、何といっても、「静と動」の素晴らしいメリハリに支えられ、(だからこその!)フルスプリントも満載した、組織的な連動ディフェンスをピックアップしなきゃいけない。

でも、ここで、そのメリハリ連動(組織)ディフェンスを描写しようななんて野暮なことはしない。

ということで、このテーマについては、新連載「The Core Column」シリーズにおいて、ボランチ(澤穂希のプレー)を主眼に、連動(静と動の!)メリハリ組織ディフェンスをディスカッションしたから、その「コラム」も参照して欲しい。

そこでは、メリハリある組織ディフェンスというテーマで、「強いサンフレッチェ」というタイトルの「コラム」にもリンクボタンを張っておいた。

また、この試合では、(中盤での)組織ディフェンスだけじゃなく、「集中力と極限の意志」が問われる、最終勝負シーンでの(最後の半歩を伸ばす!!)守備アクションというテーマもある。

この試合でも、最終勝負シーンにおいて選手たちの足が止まらなかったことで、イラク選手のトラップを阻止したりシュートをブロックする等、何度もピンチを切り抜けられた。

私は、そんな「小さなトコロ」にも、手倉森誠の「ストロングハンド」を感じていたっちゅうわけだ。

そのテーマのコラムは、「こちら」をご参照アレ。

とにかくこれで、この若武者たちは、「やっと」世界ステージに立てることになった。

それが、日本サッカーの将来にとって、どれほど重要なコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包していることか。

アトランタオリンピックへの扉を開いた当時の日本オリンピック代表しかり、ジョホールバルの歓喜しかり、はたまた2011年ドイツ女子W杯しかり・・などなど。

何度も書くけれど、サッカーは、究極の「心理ボールゲーム」なんだよ。

だからこそ、(ホンモノの!!)自信と確信こそが、ブレイクスルーの唯一のリソースなんだ。

その意味でも、手倉森誠さんに、心からの拍手をおくっていた筆者だったのであ〜る。

PS:これからは、「The Core Column」と「My Biography」も、注力してアップしていきまっせ。

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 最後に「告知」です。

 どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

  自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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