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2016_なでしこ_リオ予選・・組織パスコンビネーションの「共有イメージ」が薄れてきている!?・・(なでしこvs韓国、1-1)・・(2016年3月2日、水曜日)

フ〜〜ッ・・まあ仕方ない。

とにかく、オーストラリア戦に比べれば、「全体的なサッカー内容」が良くなったこと、そして惜しいチャンスも創りだしたことは、ポジティブなポイントではあるけれど・・。

でも、そのチャンスにしても、「なでしこ」らしい、ダイレクトパス・コンビネーションによるモノではなかったことが、気になって仕方なかった。

そう、仕掛けプロセスでの勝負イメージの「シンクロ内容」が、ままならなかったんだ。

要は、3人目、4人目のフリーランナー「まで」、素早いコンビネーションでボールを回す・・というシーンが、ほとんどなかったということ。

オーストラリアにしても、韓国にしても、「なでしこ」の強みをしっかりとスタディーしているよね。また彼女たちのサッカーも進化している。だから、もちろん、裏のスペースを攻略していくのは簡単じゃない。でも・・

そう、もっと、もっと、3人目、4人目の「爆発」フリーランニングをイメージしていなきゃいけないと思うんだよ。

アジアのライバルたちの守備は、たしかに「なでしこ」の仕掛けを具体的にイメージして、それに備えている。だからスペースを攻略していくのは簡単じゃない。でも、だからこそ「なでしこ」は、そんな相手の守備イメージを上回っていかなきゃいけないんだ。

例えば・・

この試合でも、タテへの効果的なクサビパスが送り込まれるシーンは、何度もあった。

でも、その「ワンのパス」が蹴られた瞬間に、「同時に」3人目のフリーランニングをスタートする選手が出てくるシーンが、なかった。

そして、その「クサビパス」の次の展開を・・例えば大儀見優季によるポストプレー(タメ)を見極めてからアクションを起こそうとするんだ。

以前だったら、どんなに難しい状況でも、「仕掛けのタテパス」が入った瞬間には、何人ものフリーランナーが、スペースを目指したモノなのに・・。

そう、タテへの「ワン」の仕掛けパスが出され「そう」になった直前に、その「ワンのパス」を受けるチームメイトと、何らかの「意思疎通」をしながら、自分は裏の決定的スペースへ抜け出すんだ。

そして、その「ワンのパス」を受けた最前線の「クサビ選手」が、もちろん「ダイレクト」で、その3人目のフリーランナーへ決定的なラストパスを流し込む・・。

ソレなんだよ。

でも今の「なでしこ」では、そんな、ボールがないところでの勝負アクションの「動き」が鈍い。

だから、ワン・ツー&スリー・・ってなリズムの、ダイレクトパス・コンビネーションをブチかましていけない。

以前の「なでしこ」だったら、後方からのオーバーラップも含め、そんな、優れた連動イメージを、多くの選手たちが、しっかりとシェアしていた・・と思うのですよ。

たしかに横山久美や岩渕真奈の「個の勝負」は素晴らしいし、実効レベルも高い。

でも逆に、「それ」で勝負できるから、ボールがないところでの、パスと同時の動き出しが鈍くなった!?

さて、どうなんだろうね・・

とにかく私は、以前の「なでしこ」が魅せつづけた、究極の、組織パスコンビネーションの「共有イメージ」が懐かしい・・と、感じていたんだ。

フムフム・・

ということで、2試合を終えた時点での勝ち点は「1」。

まあ、とはいっても、ぶっち切りで抜け出したオーストラリアを除き、他の5チームは、まだまだ「ダンゴ状態」だからネ。

ここから気持ちを入れ替え、勇気をもって(そして、いつものように粘り強く!)リスクへもチャレンジしていけば(前述した3人目、4人目のフリーランナーのことだよ!)、必ず、リオへのキップは手にすることが出来ると確信している筆者ではあります。

それにしても・・

人とボールが、素早く、広く動きつづけるパスコンビネーションに「特化」した組織サッカーで観る者(特にフットボールネーションのエキスパート連中!!)を魅了し、そして世界の頂点に立った「なでしこ」。

いまは、「個人勝負プレー」と「組織コンビネーション」の高質なバランスというテーマに「も」取り組んでいるということなのだろうか・・。

「組織と個のバランス」という視点で、チーム内で共有されている仕掛けイメージが中途半端だと感じてしまうのは私だけなのだろうか。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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