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2016_ドイツ国際会議(その7)・・国際会議の最終日・・勝者のメンタリティーというテーマの講演に、すこし考えさせられたっけ・・(2016年7月28日、木曜日)

さて、ということで、国際会議の最終日も、無事に終了しました(今日は、その翌日)。

昨夜は、再びエッセンへ戻り、友人たちとの語らいを楽しみました。

ところで、国際会議の最終日。その呼び物は、数人の有名プロコーチが壇上で繰り広げるディスカッションという設定だったんです。

司会は、誰もが知っているテレビのスターアナウンサー。だから、たしかにディスカッションはスムーズには進行していった。

でも内容的には、単に、一般的なテーマと発言に終始したんだよ。

そりゃ、そうだ。

参加しているのは、クラブと契約関係にあるプロコーチ、またドイツ代表チームの(ヨアヒム・レーヴの!)アシスタントコーチ、そしてテレビ局の人間だからサ。

彼らのバックボーンには、微妙な利害関係もあるんでしょ。だから、内容を、あまり深く突っ込むわけにゃいかなかったっちゅうわけだね。

私は、「仲間」のコーチ連中を前にしたディスカッションだから、かなり「本音」の部分が吐露されるのかと期待していたんだよ。

でも、私が興味を惹かれるような新しい内容は、ほとんどなかったっちゅう次第でした。

ということで、今回のドイツ遠征でのラストコラムは、最終日プログラムの冒頭におこなわれた、心理学者の講演について書くことにしました。

その講義のテーマは、勝者のメンタリティー。そりゃ、興味を惹かれるよね。

講演したのは、ドイツのスポーツシーンでは有名な心理学者(さまざまなスポーツの心理アドバイザーも務めている!)、ローター・リンツさん。だから、とても期待していた。

とはいっても、「言葉のニュアンス」をしっかりと理解してからじゃなければ、ディスカッションを深めることはできないよね。あっと・・まあ一方的な「講演」だから、仕方ないか。

そこで使われた表現・・

・・高い目標設定・・目標を達成しようとする強烈な意志(ユルゲン・クロップは、完璧なハングリーさと表現する!?)・・目標を達成するために大事な焦点を絞り込むチカラ・・等など・・

またリンツさんは、選手たちの心理的な姿勢について、こう大別していたね。

それは、「どうやったら、この問題から解放されるんだろうか?」・・ってな後ろ向きなモノじゃなく、あくまでも「どうやって目標を達成しようか・・」といった、積極的で前向きなアクションイメージ(意志を高めること!)から入っていくのが基本であるべきということ。

また、負けている状況で迎えた「最後の5分間」に、何をするのか・・という具体的なテーマも我々に投げかけられたっけね。

勝つために、ロングボールを放り込むような(とにかく相手ゴールに迫るための!?)アバウトな攻撃を仕掛けるのか?

それとも、あくまでも「自分たちのやり方」を踏襲するなかで(より強いエネルギーを注入しながら!?)ゴールを目指すのか。

もちろん、正解はないけれど、そのときの選手たちの「意志と意欲」の内実によって、グラウンド上の見え方は変わってくるよね。

別な表現をすれば、負けたくないという意志を、実際のアクションに、どのようなカタチで「乗せていくのか」という視点。

リンツさんは、ロングボールを放り込むのは、「どうしたら、この問題から解放されるんだろうか・・」という、短絡的な発想がバックにあるという。

それに対して、「あくまでも自分たちのやり方を踏襲して同点を目指す・・」というプレー姿勢こそが、「どうやって目標を達成しようか・・」という、より前向きで積極的な(効果的な!?)態度を反映したモノだという。

そんなハナシを聴きながら、こんなことを思っていた。

・・ケースバイケースで、何が正解かが、明確に「見えて」くるんだろうな・・

・・グラウンド上のリーダーシップの内実も大きく影響するだろうし・・

・・偶発的なビッグ・モティベーター(≒完璧なリーダー!?)が出現してチームを鼓舞し、ガンガン攻め挙がっていく攻撃的な勢いに火が付いたりして・・

あっと・・、勝者のメンタリティーというテーマだった。

リンツさんは、勝者メンタリティーのバックボーンになる重要なファクターを、こんな表現でまとめていた。

・・情熱・・

・・ハードワーク・・

・・あることに集中する(自分の意志をフォーカスする!?)チカラ・・

・・粘りのチカラ・・

・・強い意志・・

・・勇気・・

・・自分を信じるチカラ・・

・・課題の内実を、しっかりと視野に入れつづけられるチカラ(オリエンテーション力!?)・・

まあ・・ね。たしかに、おっしゃる通り・・ではあるよな〜・・。

まあ、後は、リンツさんの講演内容をしっかりと「消化」し、自分なりの考え方をまとめるしかないということだね。

ということで、最後になったけれど・・

ファクター表現の一番下に書いた「オリエンテーションのチカラ」っていう項目だけれど・・

自分たちの目標を達成するための課題を、極限まで意識したアクション。

リンツさんは、そのテーマで、ものすごく面白い例を挙げた。それは・・

前回ロンドンオリンピック。ビーチバレー男子の決勝。ドイツ対ブラジル。

一度は金メダルに手を掛けた(マッチポイントを握った)ドイツチームだったけれど、最後の最後でブラジルに同点にされてしまう。

でも、同点からの「最初のワンポイント」は、ドイツチームの「クロス」スパイクが、オンラインで決まったことで、ドイツチームが奪い取った。

これでドイツチームが、再び「マッチポイント」を握ることになった。

そして最後は、ブラジルのスパイクが「外れた」とジャッジされたことで、ドイツの優勝が決まった。

でも・・

そう、ブラジルの選手が、「あれは、オンラインだったじゃないか〜っ!!」と、クレームをつけるためにドイツのコートに入っていったんだ。

そのとき・・

そう、「ドイツの勝ちだ」とジャッジされたことで、二人のドイツ選手が抱き合い、その弾みで、砂の上に身体を投げ出したんだよ。

どこへ身体を投げ出したかって!?

そうサ、ブラジル選手がクレームしようとしていた、ボールの着地点(着地点の跡)を、自分たちの身体で、消してしまったんだよ。

あっけに取られるブラジル選手を尻目に、金メダルを獲得したドイツチームの二人は、狂喜乱舞をつづけていた。

リンツさんは、そのときのドイツ選手たちが、ブラジルのクレームに「気付かないフリ」で、その着地点に身体を投げ出したに違いない・・と、言っていた。

まさに、目標を達成するために、その瞬間に「やるべきコト」を強烈に意識したアクション・・ではあったよね。

へへっ・・

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いま、フランクフルト空港の「タダWiFi」を使って、このコラムをアップしようとしています。

ということで、今週末の「J」から日本復帰ということになります。

では、また〜〜


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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