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2015_ナビスコ準々決勝(第二戦)・・後半のレッズは、強烈な闘う意志を魅せた・・また強いアルビレックス守備についても・・(レッズvsアルビレックス、3-0)・・(2015年9月6日、日曜日)

今日のゲームについては、もう、このテーマしかないでしょ。

そう、意志のサッカー。

記者会見でミハイロは、「J」でのマリノス戦と、ナビスコカップ準々決勝第一戦、アウェーでのアルビレックス戦に大きなショックを受けた・・なんて話して いたけれど、私は、この二つの「大敗」のコノテーション(言外に含蓄される意味)は、まったく別物だと思っているんですよ。

要は、「闘う意志」という視点で、この二つの大敗には「雲泥の差」があると思っているわけです。

マリノス戦では、コラムでも書いたように、中村俊輔という天才がベストフォームに戻ったこと、そしてチーム全体が、中村俊輔の才能と、最前線の個の勝負能力を「うまく使い切る」というゲーム戦術を完璧に機能させた(レッズが彼らのツボにはまった!?)んだよ。

でも、マリノス戦でのレッズは、「それなり」に、しっかりと闘っていたと思っているんです。

それに対して、アルビレックスとのアウェー戦は(特にその後半は)、思い出したくもない程ヒドイ内容だった。

たぶん「それ」は、今シーズンのなかで最低のサッカーだったと 思う。何が最低だったかの「概要」については、前回コラムで書いた。

要は、攻守にわたるハードワークが、まったくといっていいほど目立たなかったんだよ。

そしてアルビレックスの攻撃に振り回され、ボールがないところでのマークもままならないなかで、まさに目をおおいたくなるような惨状で、失点を重ねた。

だから、マリノス戦と(アウェーの)アルビレックス戦の大敗は、まったく異なった「性質」のゲームだったとすることに躊躇(ちゅうちょ)しないわけです。

それに対して、素晴らしい闘いを披露したこの試合では・・

まあ、たしかに前半は、積極的なサッカーを展開し、ゲームの流れを全体的に掌握していたにもかかわらず、チャンスメイクがままならず、逆に、カウンター気味の攻めから絶対的ピンチを招いてしまった。

とにかく、レオ・シルバを絶対的な「重心」として効果的に連動しつづけるアルビレックスの守備は、本当に堅かった。

柳下正明監督に、「たしかにアルビレックスの守備は強いけれど、レオ(シルバ)がいるのといなのとでは、チカラに雲泥の差が出るように感じる・・」なんて、失礼な質問をしてしまった。

それに対して柳下さんは、例によって、とても真摯にコメントしてくれた。だから私も(少し反省して!?)先の発言内容を修正した。曰く・・

・・あっ・・スミマセン・・いま柳下さんがおっしゃったように、アルビレックス守備は、全体的に、とても進化していると思いますよ・・特に、ボールがないところでの判断と、創造的な連動アクションは、素晴らしい・・でも・・

・・やっぱり、レオ(シルバ)がいるときは、攻守にわたる、全体的な機能性パフォーマンスは大きくアップしますよね・・

・・なんて、まったく反省のカケラも感じられないような質問を繰り返してしまった。

もちろん柳下正明さんは、そんな失礼な質問に対しても、とても真摯に、「・・ウチの守備は、おっしゃられるように、全体的に、とても良くなっていますが・・でも、たしかに、レオがいるのと、いないのでは、チト差が出ちゃいますけれど・・ネ(笑)」、なんてネ。

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ということで、皆さんも観られたように、この試合での(特に後半の!)レッズの闘いぶりは、素晴らしかったと評価するのがフェアだと思っている筆者なのです。

とにかく、全員が、攻守にわたるハードワークを基盤に、ギリギリまで闘った。

もちろん、まず守備。

誰一人として、サボったり、言い訳したりすることなく、極限のダイナミズムで、チェイス&チェックに全力を傾注する。

もちろん、その「取っ掛かり守備アクション」に効果的に聯動するように、周りの味方が、これまた極限の勢いと、(クールさとクレバーさを内包した!)素晴らしい集中力で、パスカットや相手トラップの瞬間を狙うアタック、はたまた集中プレス等を狙いつづける。

たしかに(阿部勇樹の!)先制ゴールは、偶然の産物だった。

でも、2点目、3点目(PK)は、まさに、意図したイメージシンクロ・コンビネーションが実を結んだ素晴らしいゴールだった。

わたしは、そんな素晴らしい「意志の(闘う)サッカー」を観ながら、胸をなで下ろしていましたよ。

・・よし・・これで、W杯予選中断後には、再び「セカンド・ウェーブ」に乗れる・・ってね。

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それにしても、準々決勝アウェー戦での(特に後半における!)あの無様なサッカーは、一体何だったんだろうか。

まあ、多分「それ」は、様々な意味を内包する、「受け身で消極的」なプレー姿勢という「ネガティブ・ヴィールス」が、良いサッカーをするために最も大事な、選手個々の「闘う意志」を殺いでしまったからなんだろうね。

その「ネガティブ・ヴィールス」に犯され、アクションが縮こまってしまったレッズ選手たちの典型は、何といっても、李忠成だったと思う。

その李忠成は、この試合では後半から登場し、まさに見違えるような活躍を魅せた。

もちろん「それ」は、周りのサッカーが(攻守にわたるハードワークの内実が)素晴らしかったからに他ならない。

そう、李忠成は、「その流れ」に乗るだけでよかったんだよ。

まあ、その意味じゃ、(この試合では)前半から先発し、後半に李忠成と交替した青木拓矢のプレー内容も、決して悪くなかったとするのがフェアだと思う。

その意味・・といったのは、もちろん、(アウェーでの)アルビレックス戦でのプレー内容(意志の内実が!)が、李忠成と同様にヒド過ぎた・・っちゅうことだよ。

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最後に・・

(アウェーでの)アルビレックス戦のように、完璧に「心理的な悪魔のサイクル」に陥ってしまったチームの再活性化・・というテーマでも主張させてください。

それは・・実は・・

とても難しい。

まあ、究極の「自己主張グループ」であるドイツのプロチームの場合は、少し事情は違う。

そう、彼らの場合は、「その時点」でリーダーシップを発揮できる状況にある選手が、誰でも、チームメイトに対して、ガンガンと「刺激」をブチかますんだよ。

・・テメ〜ッ!!・・何やってやがんだ・・もっとマークの間合いを詰めて、オマエのところでボールを奪い返せよっ!!・・

そんな「相互刺激」がチームのなかで飛び交うのが日常茶飯事なんだ。

もちろん、そんな「攻撃的な罵声を飛ばした選手」は、誰よりも最初に、誰よりも激しく、攻守にわたってアグレッシブにハードワークをブチかますことは言うまでもない。

そして、刺激を受けた他の仲間が、「ソイツに負けじ・・」と、別なタイプの刺激をブチかまし、闘いのレベルを限界まで引き上げていく。

まあ、日本じゃ、そんな「リーダーシップ」の内容には、ちょっと差異があるだろうけど・・さ。

そうそう、この試合じゃ、「あの」究極の刺激放散リーダーである槙野智章が出場していなかったんだっけ。

彼なしでも、こんな「高み」まで闘う意志を高揚させられたチーム。

頼もしい限りじゃありませんか。

今週末から再開されるリーグ戦が、今から楽しみです。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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