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2015_カナダ女子W杯(その2)・・やった〜!!・・またサッカー内容も持ち直している・・(なでしこvsオランダ、2-1)・・(2015年6月24日、水曜日)

やっと「なでしこ」が、彼女たち本来の組織サッカーを展開できるようになった。

そのもっと重要なファンダメンタルズは、何といっても、守備。

彼女たちが展開する、チェイス&チェック&協力プレスにつながる、選手たちのポジショニングの調整(ポジショニングの集散マネージメント!)が素晴らしい。

そんなふうに、ボール奪取プロセスが、とてもスムーズに、そして効果的に機能しているからこそ、次の攻撃への「確信レベル」だって高まっていく。

その攻撃だけれど、やっと、本当にやっと、ボールの動きに対する「信頼ベース」の、ボールがないところでの動き(パス&ムーブ&フルスプリント≒最後まで走り抜けるフリーランニング)が活性化しはじめた。

そう、勝負は、ボールがないところで決まる・・

宮間あやの走り込みからのフリーシュート場面とか、鮫島彩が、味方とのワンツースリーというコンビネーションを決めてフリーシュートまでいった場面。

そんなチャンスメイクが、チームに自信を与えないはずがない。逆に、オランダ守備には不安感が広がり、自らの判断で「ボール奪取勝負」を仕掛けていくような守備でのリスクチャレンジマインが、萎(しぼ)んでいく。

やっぱりサッカーは、ホンモノの心理マッチ・・ということだ。

だからこそ、「なでしこ」のサッカーが本来のチカラを発揮し、増幅していったんだよ。

でも、やっぱり、その絶対的なファンダメンタルズは、守備にあり。そのことを体感させられたゲームでもあったっちゅうことだね

相手からボールを奪い返すプロセス(連動守備シーンの連続!)から、「優れたニオイ」が放散されているからこそ、チームメイト達のアクション連動も、効果的に、そしてクリエイティブに増幅していくっちゅうわけだ。

そして、「なでしこ」が、まさに、ワールドチャンピオンにふさわしい攻守のサッカー内容でゲームのイニシアチブを握ったんだよ。

先制ゴールシーンもそうだったけれど、その後のサイドからのクロス攻撃でも、その「危険度」がどんどんとアップしていった。

要は、クロスがくる「スポット」に、(明確な最終勝負イメージが描かれているからこそ!)常に誰かが走り込んでいるっちゅうわけだ。

もちろんハイボールじゃない。

そうではなく、走り込む味方「も」イメージを共有しているターゲットスポットへの、まさにピンポイントのクロス。それが、どんどんと入るようになったのだ。

もちろん「なでしこのサッカー」も、どんどんと進化している。

前回大会では、多くの人数が絡みつづける、まさに流れるようなコンビネーションから、パスをベースに決定的スペースを突いていくような、素晴らしい組織サッカーを魅せつづけた。

でも、この4年間で「世界」は進歩した。また相手も、「なでしこのサッカー」への具体的な対策を練ってきた。

要は、「ボールがないところでの動き」を封じるような組織ディフェンスをイメージしているということだ。それは、そうだ。何といっても「なでしこ」は、そう簡単には「個の勝負」で相手ディフェンスを崩していけないからね。

だから「なでしこ」は、狭いゾーンでの「コンパクトな組織コンビネーション」だけじゃなく、人とボールの動きを「より大きく」するというイメージで「も」攻撃を展開するようになった。

もちろん、そのためには、スピードや高さ、そしてパワーといった「普通のフィジカル」も求められる。でも「なでしこ」に、そんな生まれつきの「フィジカル」は求められない。

だからこそ佐々木則夫さんは、「運動量と意志」というファクターを徹底的に鍛え直したんだろうね。それだったら「なでしこ」だって、もっと進化させられる。

ということで彼女たちは、ものすごくアクティブでダイナミックな「組織(連動)ディフェンス」を絶対的ベースに、組織コンビネーションサッカーだけではな く、「それ」を、より大きなゾーンで展開できるようになること、そして、「ピンポイント勝負」をイメージした鋭いクロス攻撃「も」、より洗練させていくこ とに専心したんだろうね。

まあ、たしかに、オランダを凌駕し、グラウンド全体に「進化したなでしこサッカー」を魅せつづけた前半に比べて、後半は、全てを賭(と)して攻め上がるオランダに押し込まれた。でも・・

そう、「なでしこ」は、何度か「オランダのチカラ業」に沈みかけはしたけれど、最後の最後まで立派に守り抜いたんだ。

ここでいう「立派」という形容詞に内包されているコノテーション(言外に含蓄される意味)は深いよ。とにかく、素晴らしい組織ディフェンスだった。

まあ確かに、オランダ選手たちの稚拙な技術と低い戦術理解という、「なでしこ」にとっての追い風もあったよね。でも、彼女たちのパワーとスピード、そして高さは、本当に脅威だった。

さて次は、オーストラリアとの準々決勝。

決勝トーナメント1回戦での彼女たちは、ブラジルを相手に、耐えに耐えまくり、そして最後にカウンターを決めた。それは、それで立派な勝負サッカーではあった。

オーストラリアとの勝負マッチについては、2014年5月にベトナムで行われた「AFC女子アジアカップ」での決勝以来ということになる。

皆さんもご存じのように、そのときは、岩清水梓の決勝ゴールで初優勝を収めた。そのときのコラムでは、ゲーム内容については、まったくといっていいほど触れていなかった。ご容赦・・

とにかく、オーストラリアが、組織と個がうまくバランスした組織サッカー・・という視点でも、とても成長していることは誰もが認めるところだと思う。

とはいっても、この試合のようなサッカーができれば、もちろん「なでしこ」が有利であることは、言わずもがな。でも・・

とにかく、今から準々決勝が待ち遠しい。

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ところで・・

本日の夕方17時からの、NHK総合ラジオ「先読み! 夕方ニュース」のなかで、このゲームを振り返ります。出演は、17時15分あたりから15分間らしい。まあ、興味がある方は、ご聴取アレ。では〜・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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