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2015_カナダ女子W杯(その1)・・なでしこが、グループリーグ首位通過をほぼ手中に・・それと大会の主役たち・・(2015年6月13日、土曜日)

さて、女子ワールドカップがはじまった。これが、女子W杯の初回コラムということになります。

わたしは、「まだ」日本でのテレビ観戦。まず、今大会の「展開ベクトル方向」を把握しようってな段階です。

あっと・・、いま、「なでしこ」が、カメルーンに勝利を収めて決勝トーナメント進出を決めた。良かった。

ということで、まず、当HPではじめた新連載「The Core Column」において以前に発表した「このコラム」をご参照いただければ幸いです。

そこでは、世界の注目を集めた「なでしこの組織サッカー」について書いた。

まあ、彼女たちには「それしか」選択肢がなかった(今でもない!?)わけだけれど、その成功を受け、それまで個の勝負プレーが前面に押し出され(過ぎて!?)いた女子サッカーでも、組織(コレクティブ)サッカーの内実が見直されていったんだよ。

まあ、サッカーの世界では当然の「発展フロー」ではあるけれど、でも「そのこと」は、もちろん「なでしこ」にとって、状況が難しくなっていくことを意味する。

何といったって、「あの」フィジカルとテクニックに優れた「世界の個の才能」連中が、組織サッカーにも精進していくんだぜ、技術的、戦術的な武器がコアの「なでしこ」にとって、その傾向が意味するところは、推して知るべしでしょ。

初戦のスイス戦。

スイスはとても強いチームだったけれど、そこで明確に見えていたスイスの「戦い方イメージ」が、前述したディスカッション内容を象徴していたと思う。

スイスは、決して、「なでしこ」のボールの動きに惑わされることがなかったんだよ。

前回大会の「なでしこ」は、自分たちの軽快な人とボールの動きで、相手ディフェンスを引き出し、そこで空いた前戦スペースを、切れ味鋭いコンビネーションで、スパッ、スパッって攻略していたんだ。でも・・

そう、スイスは、そんな「なでしこ」の、ボールがないところでの動きを完璧に封じてしまったんだよ。

要は、ボールホルダーには「行き過ぎず」、ボールがないところでスペースランニングをする選手を完璧にマークしてしまうんだ。そんなだから「なでしこ」は、うまくタテのスペースを攻略していけなくなるのも道理だった。

それだけじゃなく、自分たちの人とボールの動きが「封じられている」と感じた彼女たちの「足」も止まり気味になっていってしまうんだ。そう、サッカーは、ホンモノの心理ゲームなんだよ。

そんなゲーム展開の傾向は、スイス戦同様に「辛くも」逃げ切ったカメルーン戦でも如実に感じられた。フムフム・・

たしかに四年前(ドイツ女子W杯)は、フルパフォーマンスの澤穂希がリーダーシップを握り、彼女と宮間あや、はたまた前戦のハードワーカーたちが協力しながら(イメージシンクロ!)、完璧に、そして効果的に、人とボールの動きをコントロールできていた。

でも・・

まあ、とにかく、今大会の「なでしこ」には、より多くの運動量と忍耐、そして集中力が(強烈な闘う意志が!)要求されることだけは確かな事実なんだ。

この結果(グループリーグの連勝!)を受けて、グループトップ通過は堅いモノになった。

だから、決勝トーナメントに入っても、ヴァンクーバーとエドモントンという「狭い地域」に居座れる(移動距離が短くて済む!!)。

それは、とても有利な状況だよね。

とにかく今は、特にスイス戦のビデオを駆使することで「なでしこのサッカー」を見直し、自分たちを、「この状況」に柔軟に「対応」させられるよう、想像的&創造的なイメージトレーニングに励んでもらいたいと切に願っている筆者なのです。

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ということで、2015カナダ女子W杯の、全体的な「構図」に思いを巡らせてみましょうか。

まあ視点は、この大会でイニシアチブを握るチーム・・ということだよね。

まず何といってもドイツ。

前回(2011年)の自国開催W杯では、準決勝で日本にうっちゃられ、オリンピック出場の希望も断たれてしまった。

そりゃ、悔しかったでしょ。私も、「ドイツの友人たち」を介した体感として、彼らの無念さを知っている。

それだけじゃなく、男子のドイツ代表が、昨年(2014年)のブラジルW杯で、「サッカーの歴史」を塗り替えたことも、ものすごい刺激になっているはず。

ブラジルW杯での男子ドイツ代表は、ホントにすごかった。

その素晴らしいサッカー内容もそうだけれど、ヨーロッパの国として、歴史上はじめて南米で開催されたW杯の頂点に立っただけじゃなく、ミロスラフ・クローゼが、W杯での歴代総ゴール数でも、それまでのブラジルの怪物ロナウドの記録を塗り替えた。

そんな「心理的バックボーン」に突き上げられるようにカナダ大会へ臨んだ女子ドイツ代表が、強烈な「意志のダイナミズム」をブチかますことは想像に難くないでしょ。

たしかに予選リーグの2戦目では、北欧の強豪ノルウェーと引き分けたけれど、彼女たちの、心理的&物理的な「フォーム」が最高レベルにあることは、冷や汗とともに体感していますよ。

とにかく、今回の女子W杯が、ドイツを中心に回っていくことは確信しています。

次に、期待値の高い、アメリカとフランス。

フランスは、まだテレビ観戦できていないけれど、ヨーロッパの友人たちのハナシでは、「組織と個のバランス」という視点で、ドツに優るとも劣らない高質なサッカー内容とのことです。

でもアメリカは、まだまだ本調子じゃない。あまりにも、ゴリ押しの「個の勝負」が多すぎるんだよ。

グループリーグでも、素晴らしくダイナミックなサッカー内容で大会に入っていったオーストラリアにタジタジだったし、今日おこなわれたスウェーデン戦でも、どちらかといったら、スウェーデンのスマートなゲーム運びの方が目立っていた。

まあ、彼女たちも「これから」っちゅうことか。

でも・・サ、「あの」モーガンが完全復帰してきたら、それはそれで、もっと「個の勝負へ傾注していく傾向」が強くなっちゃうんじゃないのかな〜・・。

やっぱりサッカーでは、「突出した個の才能」は、様々な意味合いで「諸刃の剣」ってコトなんだろうね。さて〜・・

後、(既に触れた)北欧の2か国とスイスにオーストラリアだけじゃなく、ブラジル、そして開催国カナダもまた優勝候補ということだろうね。

でも、やっぱり私は、「なでしこ」にも主役として輝いて欲しい。

テーマは、「基本的なサッカーのやり方」が相手に分かられていたとしても、その上をいく「なでしこ」・・ってなことになる。

何といったって、サッカーの基本は「だまし合い」なんだからね。相手を「ビックリ」させられたら、そのことで、相手の(連動するべき!)プレーイメージだって崩れちゃうでしょ。

そして、そのイメージを、グラウンド上で調整し直すのは至難のワザ。

それも、とても興味深い視点でしょ。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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