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2015_クラブW杯(5)準決勝・・組織と個のバランスが頂点レベルではなかったバルサ!?・・(バルサvs広州、3-0)・・(2015年12月17日、木曜日)

昨日は夜中に帰宅し、世界中から送られてくるメールを整理していたら、急に、破壊的な睡魔に襲われてしまった。また、まだ完治していない頸椎(椎間板)ヘルニアのストレスもあった。

そして、書く気を失ってベッドにもぐり込んだってな体たらく。面目ない。

ということで朝起きてからキーボードに向かいました。

でも、見所(テーマ)の少ない準決勝だったから、どうも筆が進まない。とにかく、簡単に・・

バルサの強さの絶対的ベース。

それは、何といっても、素早い攻守の切り替えをベースにした、前からの(積極的な)協力プレス守備にアリ・・だよね。

その「やり方イメージ」が全員にシェアされているからこそ、チェイス&チェックから始まって、次、その次のパスレシーバーに対する、ボール奪取狙いのイメージシンクロ(連動アクション)が、ホントに美しくスムーズに機能しつづけるっちゅうわけだ。

その(連動性イメージの!)中心に、ブスケッツ、ラキティッチやイニエスタがいるっちゅうわけだ。

あっと・・。

監督のルイス・エンリケも記者会見で語っていた通り、ワントップのスアレスがブチかます、最前線からのチェイス&チェックも秀逸だったね。それがあるから「次のボール奪取プロセス」も、存分に光り輝ける。

さすがに、(現役時代!)抜群の「ハードワーク意志」をほとばしらせ続けたオールラウンドプレイヤー、ルイス・エンリケ。チームを、正しい方向へ進化させている。

ということで、もう一つのテーマ。それは、「組織と個のバランス・・」という視点。

この試合でのバルセロナは、メンバーからしても、やっぱり「組織プレー」に、少し偏らざるを得なかったと思う。

要は、ネイマール&メッシという、次元を超えたドリブラーが不在だったという現実。

だから仕掛けでは、人とボールの「動き」による組織コンビネーションとスペース攻略ばかりから目立ってしまう。

メッシとネイマールがいれば、その(もちろんソレも抜群に危険ではあるけれど!?)人とボールの「動き」のなかに、仕掛けの変化としての「二つの天才ドリブル」が、とても効果的に、そして素敵にミックスされていくっちゅうわけだ。

だから相手ディフェンスは、バルサ攻撃の「流れ」を、効果的に堰(せ)き止めることが出来ず、どんどんと恐怖の念がつのって、主体的な意志ベースの「ボール奪取イメージング」が機能不全に陥ってしまう。

でも、この試合では・・

まあ、無い物ねだりをしても仕方ない。

とにかく、現代サッカーで、バルサほど、組織と(レベルを超越した!)個が、これ以上ないほどの高みでバランスしたチームはない・・ってな視点がテーマだった。

それでも・・

そう、バルサは、まさにバルサらしい組織コンビネーションで、「あの」強力な広州恒大ディフェンスをブチ破っていった。

それを象徴していたのがスアレスの2点目(後半5分)。

そう、イニエスタとの、とてもシンプルなコンビネーション。

その顛末は、こうだ。

タテパスを受けたスアレス。素早く、イニエスタにバックパスを「落とし」、そのまま、爆発的な「パス&ムーブ」で、広州恒大ディフェンスのウラに広がる決定的スペースへ、爆発スプリントで抜け出していく。

そこでのスアレスの走る勢いは、決して衰えず、とにかく全力で、そして強烈な「確信」をもって、決定的スペースへ走り抜けていった。

この「確信」こそが、バルサがブチかます次元を超えたコンビネーションの根幹を為すファクターなんだよ。

そう、相互信頼。

そして二人が(パスレシーバーのスアレスと、パサーのイニエスタが!!)明確にイメージしたとおりのラストコンビネーションが決まったっちゅうわけだ(もちろんスアレスのワントラップ&シュートにも心からの拍手を!!)。

このシーンで、スアレスを(最後まで!)マークしていなければいけなかった広州ディフェンダーは、一瞬ボールウォッチャーになってしまった。

いや・・

もしかしたら彼は、スアレスの爆発的な「パス&ムーブ」に、「こりゃ付いていけない・・!」って思ったのかもしれないね(まあ後方のカバーリングを期待し ていたのかもしれないし!?)。結局、とてもボカしたポジショニングに入ってしまったことで、まったく役に立たなくなってしまった。

「あそこ」は、無我夢中で、スアレスに「しがみついて」マークし続けなきゃダメだろ〜っ・・。そんな言葉が口をついた。

まあ、そんな最終勝負における守備イメージング内容と「意志のアクション内容」もまた、世界トップとの「最後の僅差」の本質なのかもしれないね。

最後に・・

タテパスを受けたスアレスが、イニエスタへバックパスをした場面(まあシュートした場面もそうだったけれど!)での、ワントラップ(ワンタッチ)&パス&ムーブ・・という一連のプレー。

この「ダイレクトやワンタッチ」というテーマについては、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

そこでは、日本サッカー協会が出した「サッカー用語の指針」に対して意見しましたよ。

まあ、日本テレビのアナウンサーは(それと他局も含めた何人かのサッカー解説者連中も!?)、忠実に、その「指針」に従っているけれど・・サ。へへっ・・

さて、これで、三位決定戦と決勝戦が楽しみになってきたじゃありませんか。お互い、とことん、サッカーを愉しみましょう。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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