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2015_チャンピオンシップ準決勝・・勝負という視点で、ものすごく揺動しつづけたエキサイティング勝負マッチだった・・(レッズvsガンバ、1-3)・・(2015年11月28日、土曜日)

「ほら〜っ!・・まだレッズは、ツキに見放されちゃったわけじゃネ〜よっ!!」

後半。

一点を先行されたレッズが、ガンバがブチかます「才能ベース」のカウンターによって大ピンチに陥り、それを(かろうじて!?)凌いだとき、隣に座る後藤健生さん、宮澤ミッシェルさんに対して、そんな言葉が口をついていた。

そんなカウンターピンチは、何度かあったね。

そして、その度ごとに、同じフレーズが口をついていたっちゅうわけだ。スミマセンね、煩(うるさ)くて、後藤さん、ミッシェルさん。

要は、一点を追いかけるレッズが、ガンガンと前へ攻め上がっていったことで、ガンバに、カウンターチャンスを与えてしまったということだ。

天才的なプレイヤーを擁するガンバ。そんな彼らがブチかますカウンターは、組織コンビネーションあり、個のドリブル勝負あり・・と、多彩で、とても危険なんだ。

それでもレッズは、幸運に恵まれただけじゃなく、優れた戦術的(連動ディフェンスの!)イメージング能力も駆使して、ガンバに追加ゴールを許さない。

そして徐々に、攻め上がるレッズが、クロスや、最後はスルーパスで仕上げるダイレクトパスコンビネーションから、ガンバ守備ブロックの裏スペースを攻略するまでに、仕掛けのコノテーション(言外に含蓄される意味)を高揚させていくんだよ。

ここで言う「ダイレクト」っていう戦術用語だけれど、それについては、新連載「The Core Column」で思い入れたっぷりに書いたから、「そちら」を参照してください。

あっと・・前半。

それは、とても重苦しいゲーム展開だった。

要は、互いに、リスクを「冒しすぎる」ことなく、最後の最後まで前後のバランスを取りながら「安定したサッカー」を志向していたということなんだろうね。

もちろん、ボールをめぐる局面でのせめぎ合いはエキサイティングだったけれど、いかんせん、(お互い)最終勝負ゾーンにつぎ込む人数が十分ではないから、決定的なシーンを作り出すのに四苦八苦していたっちゅうわけだ。

あっと・・

とはいっても、そこはガンバ。

「組織」で詰まっても、「個」があるじゃないか・・ってな具合に、「才能」連中が、とても危険な、個のドリブル勝負(&シュート)をブチかましたりするんだよ。

それは、それで、危険なニオイが満載だった。でもレッズ守備は、抜群の「意識と意志」によって、とても効果的なカバーリング(連動ディフェンス)を機能させつづけることで、ガンバにつけいるスキを与えなかった。

そして後半になって、ゲームが、抜群にエキサイティングに「成長」していったというわけだ。その「成長」を促したバックボーンは、もちろんゴールだった。

そう、後半2分。やってくれたんだよ、今野泰幸。

右脚でのカーブシュートだったけど、そこに至るまでの忠実な走り込みとポジショニング、またパスを受けてからの素早い動作など、彼らしい「泥臭い」先制ゴールではあった。

そしてゲームが白熱していった・・っちゅうわけだ。

もちろん、前述したように、積極的に攻め上がっていくレッズの後方ディフェンスブロックが、少し手薄になることは自明の理だったわけだけれど・・さ。

でも、そのときのレッズ攻撃の迫力たるや、「これぞレッズっ!!」ってな爽快感にあふれていた。

そこまでのレッズが展開していた中途半端な仕掛けにフラストレーションを溜めていたこともあって(!?)、ホントに、溜飲を下げたっけ。

とにかく人とボールが、とてもシンプルなタイミングで、スムーズに、そしてリズミカルに動く。そして最後は、スルーパスや決定的クロスでチャンスを作り出してしまうんだよ。

「そうそう・・それっ!・・それが、アンタ達のサッカーなんだ・・それを追求していけば、アンタ達も分かっている通り、次のステージ(世界)へつながっていくんだ・・」

そんな思いがアタマのなかを駆け巡ったものだ。もちろん、ガンバが繰り出す「必殺カウンター危機」に冷や汗をかきながらも・・ね。

そしてズラタンの同点ゴールが生まれた・・っちゅうわけだ。

ということで、ここからは、ランダムにテーマをピックアップし、列挙します。

・・ガンバの必殺カウンターにもめげず、(同点の後も!)積極的に攻め上がりつづけるレッズ・・

・・対するガンバの攻めの勢い(内容)からは、危険なニオイがどんどんと減退し、個のドリブル勝負ばかりが目立ち過ぎるようになっていった・・

・・そう、勝負の流れは、レッズに傾いていたんだよ・・

・・そして後半ロスタイム(タイムアップ数秒前!)・・それまでの流れからすれば、まさに順当に(!)、武藤雄樹の、絶対的な決勝ゴール(ヘディングシュート)チャンスが生まれるっちゅうわけだ・・

・・アレは、どうして決まらなかったんだろう・・ツキ!?・・サッカーの神様!?・・ガンバの必殺カウンターピンチのときは味方してくれたのに・・タラレバ・・へへっ・・

・・そして延長・・

・・全体的な流れ(イニシアチブ)は、後半のゲーム内容と同様にレッズが握っていた・・でも・・

・・それにしても、丹羽大輝のバックパス・・「あのポスト直撃バックパス」には、全員が、まさに全員がフリーズしたに違いない・・

・・そして、その、足が止まった「ショック状態」の間隙をぬって、ガンバの必殺カウンターが炸裂したっちゅうワケだ・・

・・それにしても(シュートを決めた)藤春廣輝は、よく「あそこ」まで、後方から飛び出してきていたよね・・後でビデオで確認しようとは思うけど、たぶん「それ」は、強烈な「意志」の賜物だったんだろうね・・

・・それがあったからこそ、彼には「何かが匂った」ということなんだろうね・・そんな藤春廣輝に、乾杯っ!!・・

・・ところで、レッズの興梠慎三・・

・・今シーズンも、彼が不在のときに「頂点」から滑り落ちてしまった・・もちろん彼「だけ」じゃなく、他にも色々なファクターがあったんだろうけれどサ・・

・・それにしても、ズラタンは、とても良くチームにフィットしてきている・・ここ最近の彼のプレー内容の実効レベルは、とても、とてもハイレベルだと思うんだよ・・

・・ヘディングも強いし、足も速い・・またポストプレーでも存在感を発揮できるし、シュートも、質実剛健に決められる・・期待が高まるじゃないか・・

・・また青木拓矢のパフォーマンスアップにも満足だね・・やっと、本当にやっと、攻守ハードワーク全力スプリントに代表される「意志のプレー」を効果的にブチかませるようになった・・

・・この二人には、今日から一ヶ月後からはじまる天皇杯準々決勝での活躍を期待しよう・・何といって「そこ」は、ノックアウトシステムの世界だからね・・たぶん彼らの「意志」が、とても貴重なカタチで発揮されるはずだ・・

・・最後に、レッズが志向する(既にある程度は成し遂げている!)サッカー・・

・・ミハイロ・ペトロヴィッチが言うように、その内容は、リーグ屈指だと思う・・でも・・

・・そう、もし「その彼ら」に、ミハイロ・ペトロヴィッチが認める(攻守ハードワークにも長けた!!)個の才能プレイヤーがプラスされたら・・

・・そうなったら、ホントに鬼に金棒だぜ・・

・・ガンバには、パトリックがいる、宇佐美貴史がいる、倉田秋がいる、リンスがいる・・

・・でもレッズには、そのレベルの「個の才能」が足りない・・

・・まあ、タラレバは無しにしよう・・スミマセン・・

・・とにかく来シーズンは、パフォーマンスアップしたズラタンと青木拓矢だけじゃなく、石原直樹も復活してくるだろうしサ・・

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ということで、今シーズンのレッズに残されているのは、天皇杯「だけ」になってしまいました。

彼らが成し遂げているサッカー内容からすれば、とても残念な(そしてある意味で残酷な!?)結果ではありました。

そう、内容と結果の相克。でも彼ら(素晴らしいプロコーチ、ミハイロ・ペトロヴィッチ)には、あくまでも「美しく勝つサッカー」へ向けて邁進して欲しいと熱望する筆者なのです。

だからこそ、(後一ヶ月もあるんだから!!)天皇杯に全力を傾注し、来シーズンへ向けた「確かな希望」を感じさせて欲しいとも(贅沢にも!?)思っている筆者なのです。

とにかく、ガンバレ〜・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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