トピックス


2014_W杯(27)・・粘り勝ちを収めたアルゼンチン・・ドラマチック勝負を制した(内容的にも正当な勝利の!)オランダ・・でもまず「ブラジル」と日常シーンから・・(2014年7月5日、土曜日)

これは大変なコトになった。そう、ブラジル・・

ネイマールのケガが、腰椎(ようつい)の骨折だと判明したのですよ。それに、チアゴ・シウバは、警告の累積で、次のドイツ戦は出場停止。

もちろん、「このこと」でドイツが有利になったなんて口が裂けても言えない。何せ、不確かなファクターが満載のサッカーは、究極の心理ゲームでもあるからね。

何といっても、ネイマールとチアゴ・シウバの不在が、チームの団結力を限界までアップさせるに違いないでしょ。それは、それで、とても大きな心理・精神的なバックアップパワーになる。

とはいっても、攻守の「要」を失ったわけだから、攻撃と守備の目的を達成するための「プロセス・イメージ」を、大きく変化させざるを得ないだろうね。

そして、そこには不安もある。

例えば、シュートへ至るまでのプロセスが、個の勝負ばかりに偏ってしまったり、ボールを奪い返すプロセスで、性急にアタックを仕掛けていき「過ぎたり」・・。

ネイマールは、シンプルなパスと、タメ&勝負のドリブルなどを駆使することで攻撃に「効果的な変化」をもたらしていたし、チアゴ・シウバは、次のボール奪 取の勝負所に対する素晴らしい「読み」をベースに、忠実な実効カバーリングや、「これぞ才能!!」ってな局面でのボール奪取勝負を展開していた。

まあ、次のドイツ戦は、自分自身の「学習機会」としても、しっかりと観察しよう。

あっと、それに、試合が行われるベロ・オリゾンテは、比較的「涼しい」気候の街・・という要素もあるよね。フムフム・・

-------------------

ところで、私がお世話になっている友人宅。

ハウスキーパーが24時間常駐しているマンションだし、場所自体が、とても安全な地域にあるんですよ。

今日の朝も、長距離バスでサンパウロに到着してから、メトロ(地下鉄)で近くの駅まで行き、朝日が昇ったばかりの気持ちよい雰囲気のなか、2時間ほど散策したっけ。

何せ、朝の5時半にサンパウロに到着したからね。それで直ぐに友人宅へ帰ったら、彼らにも悪いよ。もちろん彼らは、「何時でもいいから帰ってきて・・ベッドを作っておくから・・」と言ってくれたけれどサ・・。

でも、まあ、ロケハンという意味合いも含めて、ちょっと散策することにしたんですよ。

もちろん最初は、人々が行き交う、人通りのある道(土曜日の朝6時半だというのに、多くの人々が歩いている!)。そして徐々に、友人宅に近づいていきながら、周りの小さな道も観察した。

たしかに、まったくといっていいほど危ない雰囲気はないし、日本人が多く住む地域ということもあって(!?)、行き交う人たちとも、「ボン・ジーア」と、ニコニコと挨拶できる。

また、街角のバーも開いているところが多く、何度か、キャフェオレを楽しんだっけ。

まあ、サンパウロでの日常については、またレポートしますよ。

------------------

ということで、アルゼンチン対ベルギー。

まず最初に、このことを言っておかなければ・・。

それは、アルゼンチンの主力であるアグエロにつづいて、ディ・マリアも戦列を離れざるを得なくなったということです。

筋肉の問題だろうから(たぶん筋繊維の部分断裂=肉離れ!?)、今大会での復帰には大きな疑問符がつく。

そして、メッシ頼りの傾向が、どんどん増大していくアルゼンチン!? フムフム・・

もちろん、これまで何度も指摘した、メッシが「諸刃の剣」になっているというネガティブなテーマのことですよ。

この試合でも、彼がボールを持って、キープや仕掛けドリブルに入ったとき、周りのチームメイトたちの足が、まさに「ピタリ」と止まってしまっていた。

もちろん彼がドリブルで抜け出せればビッグチャンスにはなるけれど、その確率は低い。

諸刃の剣・・

それにはプラス面とマイナス面のニュアンスが内包されているけれど、今のアルゼンチンでは、マイナス面の方が大きいと思うのですよ。

それに、アグエロにつづき、メッシが頼りにする(積極的に探して勝負のスルーパスを送り込もうとする!?)主力チームメイト、ディ・マリアも、失ってしまった。

さて〜・・

ということで試合だけれど、両チームともに、それぞれの持ち味を生かした「チャンスメイク」は、魅せた。

アルゼンチンは、個人勝負を前面に押し出す仕掛けからシュートまでいったり、相手を引きつけて決定的スルーパスを通そうとする(もちろん主役はメッシ!)。

それに対してベルギーは、サイドからのクロスで「ピンポイント勝負」を挑んでいく。

そんなゲーム展開のなか、とてもラッキーな先制ゴールを奪ったのは、アルゼンチン。もちろんベルギーの前へのエネルギーが倍増していく。

アルゼンチンは、そんなベルギーの攻めを、ある程度は「余裕」をもって受け止めていた。でも・・

そう、最後の20分間にベルギーがブチかました、本格的なパワープレーが、この試合をドラマチックに盛り上げたんだよ。

ルカク、フェライニ、そして最終ラインから上がったファン・ブイテンという「高層タワートリオ」を最前線に張らせ、そこに、ガンガンとハイボールを放り込んでいったんだ。

もちろん一発ヘディング勝負なんて狙わない。あくまでも、「タワー」の一人が、ヘディングで落とした「セカンドボール」を狙うんだ。足で、アタマで。

そして少なくとも2本は、決定的シュートシーンを作り出したっけ。

そのパワープレーの迫力は、まさにレベルを超えていた。

高いロングボールが蹴られた次の瞬間には、セカンドボールを狙って、デ・ブルイネや交替出場したメルテンスが、最終勝負ゾーンに入り込んでいく。

そして、ギリギリの局面勝負がつづく。

たしかに、そんなベルギーのパワープレーは迫力満点だった。でも、それを受け止めたのは、百戦錬磨のアルゼンチン守備ブロック。

彼らも、しっかりと「次」をイメージしてカバーリング網を整えるんだ。だから、ベルギーの迫力パワープレーでも、1本か2本しか、決定的なシュートにつながるようなカタチを作らせなかった。

とにかく、この最後の時間帯での攻防は、見応え十分だった。楽しんだ。そして思った。

アルゼンチンが生き残ってくれて、本当によかった・・。

何といったって、「ここ」は、ブラジルワールドカップなんだからネ。

-------------------

さて、ということで、オランダ対コスタリカも簡単に・・と思ったけれど、「あの」ようなエキサイティングマッチへと成長していっちゃったから・・ネ。

両チームともに、スリーバック。そして、守備的ハーフのうちの「アンカー」タイプと、スリーバックの真ん中の一人が、自分たちの攻撃に際しては、守備的なハーフとしてコンビを組むんだよ。

もちろん、個人のチカラを単純総計したモノと、チーム戦術の浸透度(機能性の内容)などの、全ての要素の総体としての「チーム総合力」じゃ、オランダに一日以上の長がある。それは、誰が見てもアグリーでしょ。

だから、組み立てベースの仕掛けでは、オランダの「チャンスメイクの内容」がコスタリカを凌駕するのも道理というわけだ。

でも・・サ、実際の「もっとも実効レベルが高いチャンス」については、両チームともに、カウンター(ショートカウンター)からがメインだった。

もちろんオランダの場合は、組み立て(遅攻)からも、ある程度の仕掛けプロセスは構築していたけれど・・サ。

ということで、このゲームを見ていても、現代サッカーの内実が読みとれるっちゅうわけだ。

守備がより洗練されてきているからこそ、(ショート)カウンターをイメージした、(少し仕掛けスタートを下げた!)調整型の連動プレスこそが、「結果」への、もっとも効果的な近道・・!?

さて〜・・

前半は、オランダが、組み立てからも、(ショート)カウンターからでも、何度も決定的チャンスを作り出した。ここでも、コスタ・リカGK、ナヴァスのスーパープレーが光り輝いた。

でも後半は、オランダも攻めあぐむ。たしかに主導権は握っているモノの、前半ほどにはチャンスを作り出せないんだよ。

もちろん、そのプロセスでの、コスタ・リカ守備陣の頑張り(集中力と行動力!)には、本当に素晴らしい内容が満載だった。

そして彼らは、そんな堅牢なディフェンスから、(前半と比べても!)より効果的なカウンターを仕掛けていけるようになったんだ。だから後半は、動的な均衡状態がつづいた・・っちゅう表現が適当かもしれない。

そんな展開だからこそ、セットプレー。

後半の終了間際の時間帯には、オランダが、二つのフリーキックで、決定的なチャンスを作り出した。

一つは、コスタ・リカのゴール左ポストを直撃した、スナイデルの直接フリーキック。その数分後には、右サイドからロッベンが放ち、決定的なダイレクトシュートまでいったシーン。

でも決まらない・・決められない。

それにしても、コスタリカの集中力は、本当に素晴らしい。決定的なシュートシーンに限って、どこからともなく、コスタ・リカ選手の「足と身体」が出てきて、シュートをブロックしちゃうんだよ。フ〜〜ッ!!

それだけじゃなく、後半ロスタイムに入る直前には、スナイデルの、まさに老練と呼ぶに相応しい、見事なラストクロスが、ファーサイドスペースへ入り込んだファン・ペルジーにピタリと合う。

でも、信じられないシュートミス。背後からマークに入っていた相手の足が、ファン・ペルジーの蹴り足を「蹴った」!?

また、その直後のロスタイムには、こぼれ球を拾ったオランダ左サイドバックのプリントが、左サイドからグラウンダー(トラバース)クロスを送り込んだ。

コスタ・リカのゴール前で、オランダの誰かがフリーのダイレクトシュート。でも空振り。そしてこぼれたボールを、何人かのオランダ選手がシュートにトライしたけれど、入らない。

延長でも、そんな展開がつづく。オランダが主導権を握り、コスタ・リカの3倍以上ものシュートをブチかましつづけているんだよ。

そしてゲームの緊張感が、どんどんと高まっていく。まさに、手に汗握るゲーム。そして最後の時間帯、逆にコスタ・リカが、ワンチャンスのカウンターから、 決定的なシュートを放ち(オランダGKが足で弾き出す!)、その数分後には、オランダが、コスタ・リアのゴールバーを直撃する決定的シュートを放つんだ。

ホントに、延長後半のロスタイムってなタイミングで「これ」だからね・・。

・・これは・・PK戦か!?・・そうなったら、コスタ・リカのスーパーGKナヴァスの見せ所だな・・

そして決着がついた。オランダの勝利。それも、一人も外さなかった。

興味ぶかかったのは、オランダのファン・アール監督が選び、タイムアップ寸前に交替させたオランダの控えGKクルール。

このクルール、コスタ・リカ選手が蹴ったPKの「方向」を、ことごとく予想できていた。ビックリした。たぶん彼は、相手キッカーの「モーション」を読めるんだろうね。ホント、興味深い。

死力を尽くした闘いだった。感動した。そして、オランダに対して、心からの祝福をおくっていた。

フ〜〜ッ・・またまた疲れた〜・・。

==============

 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]