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2014_ボルシア・ドルトムントでの再デビューを「派手」にかざった香川真司・・(2014年9月14日、日曜日)

いや、ホント、派手だったね〜、香川真司のドルトムント復帰戦。

何たって、ワンアシスト&ワンゴールだからね。

でもサ、私はサッカーコーチだから、評価も、現場の現実的な視点がベースになるわけだ。ということで、やはり、まだまだ紆余曲折があるに違いない・・という評価になる。

何といっても、このゲームでも、彼に本格的にボールが集まるまでには、かなりの時間がかかったわけだから。

まあ、「このこと」は、本田圭佑にも言えるわけだけれど、彼らは、組織コンビネーションがスムーズに「流れる」ことによって『活きる』し、『活かされる』タイプなんだ。

だから、できるだけ多くボールにタッチしなきゃ(触らなきゃ)いけないんだよ。本田圭佑がミランで、まだ活躍できていないことの原因も、そこにある。

だから彼らは、常に、「いかにして多くボールに触るのか・・」というテーマと取り組まなければいけないというわけだ。

もちろん彼らは、常に、仕掛けコンビネーションの「コア」として機能できていなきゃいけない。

・・スッと下がる・・その足許へ正確なタテパスが「付け」られる・・タテパスを出した味方が、すぐに、パス&ムーブで、リターンパスを受けられるスペースへ走る・・

・・そこへ、ダイレクトでリターンパスを出した「彼ら」は、間髪入れずに、次のスペースへ走り、そこで、次のタテパスをもらう・・

・・同時に、そんなボールの動きとは離れたゾーンで、別の味方が、ズバッと、決定的スペースへ全力スプリントをスタートしている・・

・・そして「彼ら」から、ワントラップやダイレクトで、その決定的スペースへの勝負(スルー)パスが出てくる・・っちゅうわけだ・・

もちろん、最後のシュートを打つために、自分が決定的スペースへ入り込んでもいい。実際に彼らは、スパッと、決定的スペースへ入り込んで自分がシュートを打つシーンも多い。

そこで彼らが放散する、勝負のコンビネーション(シンクロ)パワーは、たしかにアジアレベルじゃ一流だよね。アジア予選での日本代表が、何度彼らに助けられたことか・・。

でも、一流フットボールネーションじゃ、そう簡単には、彼らを「コア」にしたコンビネーションを成就させられるわけじゃない。

コンビネーションの「コア」として機能したい(自分がコアになるべきだ!)って思っているライバルが、ゴマンといるわけだから。

だから、チームメイトたちが、彼らを積極的に「探して」パスを回そうとするまでには、本当に厳しい紆余曲折が待っているものなんだ。

彼らにボールを預けるためには、チームメイトたちも「確信」が必要だからね。彼らがボールを持つことが、自分たちにとってもプラスになる・・っていう確信をね。

2年間ドルトムントから離れていた香川真司。

以前のように、効果的なコンビネーションの「コア」として機能できるようになるまでには、時間が必要なんだよ。でも・・

そう、この試合じゃ、時間の経過とともに、彼に「も」ボールが集まるようになった。

それは、とりもなおさず、彼にボールをわたせば、良いリズムで、そして良いスペースへ(有利なポジションの味方へ!)パスが回される・・と、チームメイトたちが感じはじめたから他ならない。

そして、そのように、状況がポジティブに「変化」しはじめたなかで、あの派手なアシストプレーが飛び出したっちゅうわけだ。

そのシーン。

一度タテパスを受けた香川真司が、背後からプレッシャーを掛けてくる相手ディフェンダーを、素早いフェイント&カットで振り回し、素晴らしいスルーパスを決めた。

誰が見ても、素晴らしく派手なパフォーマンスだった。

それだけじゃなく、その直後には、落ち着き払った「ゴールへのダイレクトパス」を決めた。

それがあったからこそ、彼に、より積極的にボールが集まりはじめたっちゅうわけだ。

でも、コトは、そう簡単じゃない。彼もまた、もっと、攻守ハードワークにも勤(いそ)しまなければならないんだよ。

それがあって初めて、チームメイトからの、本当の意味のレスペクトを獲得できるだろうし、彼自身にとっても、それが、次のステップへの「ブレイクスルー」につながるはずなのだ。

何せ彼は、また本田圭佑も、誰にも真似の出来ない個人プレーを、いとも簡単にやってのけちゃう、ディエゴ・マラドーナじゃないのだから・・。

とにかく、香川真司が、ドルトムント(ユルゲン・クロップ)が志向するチーム戦術イメージのなかで、以前のような確固たるポジションを築けるかどうか・・。

また、そこに至るまでに、どんな紆余曲折が待ち受けているのか・・。

ものすごく興味深い「学習機会」じゃないか。いまから楽しみで仕方ありませんよ。

あっと・・ミランの本田圭佑についてもネ。

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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を通して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・


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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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