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2014_国際マッチ・・日本は学習すべき!?・・積極的なリスクチャレンジのないところに、進歩や発展はないんだゼ・・(日本代表対ウルグアイ、 0-2)・・(2014年9月5日、金曜日)

まあ、皆さんも観られた通り、ホームで負けたことも含め、内容的に満足できるはずのないゲームではありました。

その不満のもっとも大きなところは、もちろん、攻守にわたる、ボールがないところでのプレーの量と質。

特にディフェンスが悪かった。

要は、アプローチ(チェイス&チェック)せずに、相手が来るのを「待ち構える」という姿勢が目立ち過ぎていたんだよ。

それじゃ、意図的に(攻撃的に!)ボールを奪い返すなんてこと、出来るはずがない。

そう、ゲームの実質的な流れをウルグアイに支配されるのも当然のゲーム内容だったっちゅうことです。

アギーレも、記者会見で、「コレクティブな視点では良くなかった部分もあった・・」と言っていたよね。でも、個人的な(局面での!)競り合いシーン(!?)では、効果的なナイスプレーがあったとも言っていた。

まあ、アグリーだね。

局面の(個が対峙した状況での)せめぎ合いでは、かなり互角にプレーできていた部分も多かったと思うのですよ。

でも、だからこそ、コレクティブ(組織サッカー的)な部分を、まったくといっていいほど加速させられなかったことについて、大きく落胆させられたっちゅうわけです。

最初の10分くらいまでは、細貝萌が、中盤からどんどんチェイス&チェックを仕掛けていったよね。でも周りは、まったくといっていい程、反応(連動)しなかった。

だから細貝萌も、その後は、様子見のプレー姿勢になってしまい、中盤で、守備の仕掛け(最初のアプローチ)を繰り出す選手は、まさに皆無ということになってしまった。

まあ、ウルグアイの攻めが遅かったということもあって、大きなピンチにもならなかったわけだけれどサ。

ところで、そのような「待ちのディフェンス姿勢」は、アギーレの意識付けだったんだろうか。

まあ、そうなんだろうね。要は、相手が世界の強豪だから、注意深く、最終勝負プロセスを「メインの勝負所」とイメージし、その流れを抑えていこう・・ってな感じ。

そんなだから、「様子見」のプレー姿勢は、攻撃でも目立っていたよね。

要は、ボールがないところでのアクションの量と質が、まったく高揚していかなかったっちゅうことです。これじゃ、良いコンビネーションなんて、出てくるはずがない。

不確実な要素が満載のサッカーは、なんといっても、意志のボールゲームだからね。

それも、いくつかの意志(攻撃イメージ)が、しっかりと「リンク(シンクロ≒連動)しなければ、決して、相手守備のウラのスペースを攻略するようなコンビネーションなんて繰り出していけない(それも相手は強力なウルグアイ守備だからね!)。

とにかく、私は、今日の日本代表の、攻守にわたる「ボールがないところでのプレー(意志)の量と質」には、とても落胆させられたんだよ。

いつも書いているように、サッカーは、本物の組織ゲームだから、もし一人でも、本当に一人でも、後ろ向きの心理で(消極的に)プレーしたら、その消極ビールスが、すぐに蔓延し、チーム全体が心理的な悪魔のサイクルに陥っちゃう。

まあ、今日のゲーム内容について、「悪魔のサイクルにはまった・・」とまでは言わないけれど、現象的には、それに近かったと思っているわけです。

それほど、攻守にわたる意志(ボールがないところでのハードワークや、リスクチャレンジプレー等など)に欠けていた。

ホームでのフレンドリーマッチだからね。それも相手は、南米の強豪ウルグアイ。

チャレンジするのに不足ない相手だし、最高の学習機会じゃないか。

とにかく私は、アギーレ日本代表に、積極的なチャレンジを魅せて欲しかったんだよ。

そして、そんなチャレンジ意志が、もっとも強く表現されるのが、ボールを奪い返す連動ディフェンスプロセス(要は守備のプレーコンテンツ)というわけだ。

そこで、あんな「待ちの姿勢ばかり」を見せつけられたわけだから、そりゃ、落胆もするさ。

もちろんアギーレにとっての日本デビュー戦だから、ひどいゲームにするわけにゃいかなかったんだろうけれど・・。

でも、そんな指揮官の「注意深い」姿勢は、選手たちの心理に、何倍にも増幅されたカタチで浸透していっちゃうっちゅうのは、世界の現場の常識だよね。

もちろん、中盤からのリスクチャレンジ(積極プレッシング守備など)の勢いを限界まで引き上げるには、あまりにも選手たちのポジション(基本的なタスク)が、いつもと違い過ぎたという側面も否めない。

何せ、森重真人と田中順也が、中盤での攻守の中心に(要は、中盤ディフェンスのコアに)入ったわけだからね。

もちろん局面じゃ、(アギーレが指摘していたように!?)特に森重真人のボールを奪い返す能力は目立っていた。

でも、中盤ディフェンス(組織的なボール奪取の連動プロセス)を加速させるためのハードワークという視点じゃ、森重真人も田中順也も、あまりにもパッシブ(待ちの姿勢)過ぎた。

中盤こそが、攻守にわたる心臓であるにもかかわらず・・だよ。

森重真人のいつもの役割(ポジション)の場合、中盤でのハードワークがあるからこそ、次の「読みディフェンス」で才能を光り輝かせられている。

また田中順也にしても、中盤での守備ハードワーク&効果的ボール奪取(そして良いカタチでのパスの供給!)があるからこそ、次の仕掛けで、抜群の最終勝負能力を爆発させられている。

でも、この試合での彼らは、自らの才能を表現するためのバックボーンワーク(縁の下の力持ちワーク)にも全力で取り組まなければならなかったっちゅうわけだ。

まあ、連動ディフェンスの機能性を高揚させるためのアプローチ(ハードワーク)という視点じゃ、まったくといっていいほど役に立っていなかったよね。

ちょっと、落胆気味で書いているから、気が乗っていかない。

今日の記者会見では、こんなことを聞いてみようと思っていた。

・・不確実なサッカーは、意志のボールゲームとも言える・・だからこそ私は、攻守にわたるボールがないところでのプレーの量と質をしっかりと観察して評価する・・この試合での、その視点でのアギーレさんの評価を聞かせてもらいたいのだが・・

でも、私が質問する前に、(前日会見の内容を受けた!?)ボールがないところでのプレー内容についての質問が飛び、それに対してアギーレが、前述のよう に、「コレクティブな面では不満も残ったけれど、局面での個のプレーには見るべきモノがあった・・」というコメントをしたっちゅうわけだ。

だから私は、質問するのを止めた。

とにかく、このウルグアイ戦は、とても良くなかったというのが私の総評です。

だから次のベネズエラ戦では、もっと、もっと、闘う意志を前面に押し出すような積極サッカーを期待するのですよ。

ところで、積極的な攻撃サッカー(リスクチャレンジ)を仕掛けていったら、日本代表は大敗しちゃうのかい??

そんなことは、まったくないよ。

今回のキリンチャレンジカップは、日本でのフレンドリーマッチだよね。それに相手は、強い。これ以上ないほど素晴らしい学習機会じゃないか。

アギーレも、日本チームはウルグアイからしっかりと学ばなければいけない・・と言っていた。

でもサ、あんな、受け身の消極プレーで、何かを学ぶコトなんて出来るんですか? 私には、大きな疑問です。

とにかく、リスクチャレンジのないところに進歩も(有意義な学習コンテンツも)ないのですよ。

どの賢人の言葉だったっけ??

・・意志さえあれば、おのずと道が見えてくる・・。至言だよね。

そう、チャレンジする意志さえあれば、おのずと課題と進化のベクトルが見えてくるものなんだよ。

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最後に、途中から交代して出場した、武藤嘉紀(FC東京)と森岡亮太(ヴィッセル)について。

良かったですよ〜。

彼らが入ってから、日本代表のサッカーが、攻守のダイナミズムという視点で、何倍にもスケールアップした。

やっぱり、攻守にわたるハードワーク、そしてリスクチャレンジ(意志と勇気)の量と質が問題なんだよ。

この二人については、次のベネズエラ戦では、フルにつかってやってくださいな、お願いしますよ。アギーレさん。

あっと・・ゲームメイクという視点についても、ちょっとだけ。要は、長谷部誠と遠藤保仁がいないということ。

中盤の底、センターハーフ、ボランチ・・等など、様々な表現があるけれど、とにかく、チームの重心としての彼らの役割を、この試合ほど「なつかしく」思ったことはなかったよね。

長谷部誠に山口螢については残念。でも、柴崎岳がいるじゃないですか。とにかく、ベネズエラ戦では、しっかりと「後方からゲームを組み立てられる中盤リーダー」にも大いに期待する筆者なのです。

では、今日はこんなところで・・

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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を通して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・


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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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