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2013_国際親善試合・・本番をイメージしたゲーム戦術・・そこでは「ガマンと爆発のメリハリ」というキーワードが特段の意味をもつ!?・・(セルビアvs日本、 2-0)・・(2013年10月11日、金曜日)

試合全体の流れからすれば、やはり「完敗に近い」という評価が妥当かもしれない・・

ということで、ここからは、気付いたポイントを、例によって短く、ブツ切りにまとめます・・

・・完敗といったのは、両チームともに、とても「勝負」を意識していたから・・

・・セルビア代表は、少ないフレンドリーマッチを、それもホームで闘った・・だからこそ、絶対に勝たなければいけないゲーム・・だからこそ、最初から強烈な意志をぶつけてきた・・

・・誰が見ても、前半だけではなく、後半の立ち上がりも、完璧な「意志」をブチかましてきた・・そう、ものすごい勢いが乗ったプレッシングディフェンス・・その立ち上がり、日本は、その勢いに圧倒された・・

・・そんなセルビアに対し、日本も、ザッケローニも言っていたように、勇気をもって、そしてしっかりとバランスも意識してプレーしていた・・

・・その意味は・・

・・チャンスになりそうなシチュエーションになったら、フッ切れた勢いで、しっかりと人数を掛けて押し上げていく・・ただ、それ以外の状況では、しっかりとバランスを執る(攻守のバランス・・前後の人数バランスに気を遣う)・・

・・要は、セルビアだけではなく、日本代表も、本番を意識して、勝負を強くイメージしてプレーしていたということ・・たぶん「それ」が、この試合でのザッケローニの意図でもあった・・

・・でも日本は、そんな勝負マッチで、要所を締めることができずに失点して敗北を喫した・・それは事実として残る・・

・・強い意志をもって達成しようとした目標を果たせずに負けたことで、このゲームは、厳しいかもしれないけれど、完敗という評価がふさわしいと思う・・

・・もちろん、全体的なサッカーの内容では、日本が上回っていた時間帯も多かった・・それ「も」たしかな事実・・

・・ただ、それは、組み立て段階まで・・

・・最終勝負プロセスになったら、いつものように、最後のところでチャンスを決め切れない・・

・・それでも、ボールがないところでの動きの「質」として、「走り抜ける」フリーランニングが増えてくれば、チャンスも増える・・前半30分の長友佑都が魅せたような、「走り切るフリーランニング」が出てくれば、日本代表のコンビネーションは、無類の強さを発揮する・・

・・また前半40分にも、柿谷曜一朗が走り抜けたことで、チャンスが生まれた・・

・・チャンス・・それは「刺激」・・長友佑都の決定的チャンスから、日本代表のチャンスメイクのレベルが一段アップしたと感じた・・そう、仕掛けていく人 数が増えたんだ・・そして、それに伴って、チャンスを見計らって攻め上がる「組織的な仕掛けプロセス」の量と質がアップしていく・・

・・そんな流れをみながら・・さて、これからだな・・なんて思ったものだ・・けれど・・

・・後半の立ち上がりもセルビアの勢いに押されるカタチで攻め込まれたけれど、その後は、全体的にはゲームを支配する日本・・でも・・

・・そう、チャンスの「流れ」は作りだすけれど、それを実際の決定機にまで成長させられない・・

・・いや・・何度かは、クロスボールや、ピンポイント・ラストパスなどで、惜しいチャンスは作りだした・・でも、最後の瞬間(ピンポイント勝負)では、常に、セルビア選手の足や身体が、日本選手とボールの間にはいっているんだ・・

・・要は、最後の瞬間には、どうしても相手マーカーを振り切れない・・ということ・・

・・だからこそ日本の仕掛けでは、3人目、4人目のサポートが、決定的に大事なんだ・・

・・まだまだ、「個」では、勝負を決めきれないからね・・

・・もちろん、本田圭佑は(また長友佑都にしても香川真司、岡崎慎司にしても・・)、何度かは、とても素晴らしい個の勝負でチャンスを作りだした・・でも、やはり、最後のところでは、突破し切れていない・・そして、サイドへ展開したり・・

・・もちろん「そこ」からチャンスの流れは作り出せたし、ピンポイントで、最終勝負を仕掛けることもできた・・でも、最後の最後の瞬間に、相手マーカーを「振り切れない」・・

・・そんな歯がゆいシーンが続いていたとき、セルビアの、一発勝負が実をむすぶんだ・・

・・この試合では、右サイドハーフの「金髪の18番」が、長友佑都の、攻守の「良さ」を抑制する役割を、120%こなした・・ホント、敵ながらアッパレの極みだった・・

・・そして、そのセルビアの18番が、先制ゴールをお膳立てまでしちゃうんだ・・

・・右サイドで勝負のドリブル・・そして、その時点でマークしていた日本選手との間合いを「広げ」、次の瞬間、日本ゴール前で待ち構える20番に、鋭いラストパスを供給したんだよ・・

・・その瞬間、20番は、まったくフリーになっていた・・

・・そう、私は、その瞬間的なマーキング(カバーリング)や身体の使い方に、両チームの「最後の僅差」を感じたというわけだ・・

・・セルビア守備は、最後の瞬間のピンポイント勝負で、日本選手を、ことごとく抑え切っちゃう・・それに対して日本守備は・・先制ゴールのシーンでも、追加ゴールのシーンでも、最後の瞬間に、相手シューターを抑え切れなかった・・

・・いま、ノヴィサドからベオグラードのホテルへ戻ってきた・・時差ボケもある・・だから、ちょっと限界に近づいている・・

・・最後に、今回の遠征でのテーマについて・・それは、たぶん、勝負を意識するゲームということだろう・・だから、バランスを意識しながら(ガマンしながら)、爆発するタイミングを狙いつづける・・

・・この「爆発の瞬間」は、もちろん、複数のプレイヤーが、同時に「感じて」トリガーを引かなきゃ、意味がない・・

・・そう、バランスの取れた「ガマン」と、複数選手のイメージがシンクロするような(同時の)「爆発」・・それこそが、勝負を勝ち切るための、とても重要なキーワードかもしれない・・

・・本当に限界にきたようなので、今日は、こんなところで・・

・・明日は、夜中に、モスクワ経由でミンスクへ飛ぶ予定です・・

ではまた・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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