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			 2013_国際親善試合・・まだ予選の最終勝負が控えるウルグアイが魅せた最高の勝負強さ・・そして日本代表の「意義深い体感」の積み重ね・・(日本vsウルグアイ、 2-4)・・(2013年8月14日、水曜日) 2013_国際親善試合・・まだ予選の最終勝負が控えるウルグアイが魅せた最高の勝負強さ・・そして日本代表の「意義深い体感」の積み重ね・・(日本vsウルグアイ、 2-4)・・(2013年8月14日、水曜日)
 
 
 試合を観ながら、すぐに、2008年に札幌ドームで行われたウルグアイとの親善マッチを思い起こしていた。そのコラムは、「こちら」。 試合を観ながら、すぐに、2008年に札幌ドームで行われたウルグアイとの親善マッチを思い起こしていた。そのコラムは、「こちら」。
 
 そして思った。
 
 2006年来、ウルグアイ代表の指揮を執りつづけているオスカル・タバレス監督は、本当に素晴らしい「ストロング・ハンド」だ・・
 
 彼は、前日の記者会見でも、「日本が、どう進化してきたか、観察しつづけている・・彼らがいち早くW杯への出場権を得たのもうなづける。彼らからは、学ぶことも多い・・」などと、優れた学習能力を誇示する素晴らしいコメントをしていたらしい。フムフム・・
 
 そしてウルグアイは、このゲームでも、長い歴史のなかで培われた深い自信と確信をベースに、堅守からのスーパーなカウンターを、ズバズバ決めちゃうんだ。溜息が出た。
 
 そのカウンターだけれど、日本の厳しいディフェンスにも、まったく動じることなく、ウルグアイの二大スターであるスアレスとフォルランが、ギリギリのタ
イミングとコースのタテパスから抜け出して危険な最終勝負をブチかましていくだけじゃなく、場合によっては、しっかりとボールをキープして効果的なポスト
プレーも魅せちゃう。
 
 そして、後方から押し上げてくる、ロデイロ、ゴンザレス、ロドリゲスといった、ウルグアイ中盤のハードワーカーたちが「有利なカタチ」でボールを持てる「活きたパス」を出したりするんだよ。
 
 ウルグアイがブチかますカウンターでは、とにかく、この「後方からのサポート」が、特筆に素晴らしかった。
 
 とにかく、スターたちだけじゃなく、一人ひとりのボールコントロールが素晴らしいから、周りのサポートにも自然とリキが入っていく・・なんて感じてしまう。
 
 要は、互いの信頼関係だよね。
 
 ・・アイツは、絶対にボールをキープしてくれる・・そして、あの前のスペースへ押し上げたら、絶対にパスを出してくれる・・
 
 そんな信頼関係。
 
 だからこそ、ウルグアイのカウンターには「覇気」がみなぎっている。だからこそ、「最初のタッチ」でボールを奪われても、すぐに奪い返し、今度は、もっと危険な「ショート・カウンター」までブチかませちゃう。
 
 そして、ここが大事なポイントなんだけれど、そんな鋭く危険なカウンターを繰り出していけるからこそ、逆に、彼らのディフェンスは、絶対に最後まで諦めずに、次、その次を「予測」して効果的なアクションをつづけられるんだよ。
 
 ところで、日本代表の攻め・・
 
 この試合での日本代表は、何度も攻め込み、ウルグアイ守備のウラスペースを突くような危険な仕掛けをブチかましていった。
 
 それは、それで素晴らしかった。それこそが、2008年の対戦と比べて、日本が大きく進化したポイントだったと思う。
 
 2008年の対戦では(まあ後半だけだったけれど)、効果的な組織サッカーで、しっかりと人数をかけて攻め上がれてはいた。ただ、最後のところで、ウルグアイ守備ブロックを崩し切ってシュートチャンスを作りだすところまではいけなかった。
 
 それに対して今回は、何度も、ウルグアイ守備ブロックを振り回してウラの決定的スペースを攻略し、決定的なシュートをブチかますところまで行けた。
 
 前半では・・左サイドをオーバーラップした酒井高徳の高速クロスが、ピタリと香川真司に合ったシーン・・CK(遠藤保仁)からの岡崎慎司のヘディング
シュートシーン(これはセットプレーだったけれど)・・その数分後には、ボールを奪い返した柿谷曜一朗と岡崎慎司のコンビから、最後は岡崎慎司から、右サ
イドのスペースへ3人目として走り込んだ柿谷曜一朗へスルーパスが決まったシーン(飛び出してきた相手GKに止められた)・・
 
 また、後半では・・立ち上がり2分に、相手ディフェンスのミスから相手GKと1対1になった岡崎慎司が、シュートを止められたシーンがあった(ウルグア
イGKのスーパーセーブに拍手!)・・そして、ウルグアイに3点目をブチ込まれた2分後に飛び出した、スーパーコンビネーションプレーからの、3-1とな
る追いかけゴール・・
 
 この追いかけゴールシーンでは、左サイドでボールをキープする遠藤保仁が送り出したサイドチェンジパスを、中央ゾーンに走り込んだ岡崎慎司へ向けて、ダイレクトで「返した」本田圭佑のセンスが光っていた。
 
 結局、その、大きな(グラウンド半面を二度も横切るような!)ダイレクトのリターンパスによって、ウルグアイ守備も振り回され、結局は、岡崎慎司が「潰れた」後方のスペースへ入り込んだ香川真司が、冷静に決めた。
 
 そのゴールを観ながら、思っていた。
 
 「あの」ような危急シーンでも、ウルグアイ守備は、岡崎慎司へのアタックが、ピタリと決まっていた(最後まで足が止まらずにアタックに入れていた!)・・素晴らしい・・
 
 要は、ウルグアイ守備は、3人目、4人目の「動き」が、本当の意味で効果的に「連動」しなければ崩れない・・ということです。
 
 このシーン以外にも、ウルグアイ守備は、何度も、何度も、ギリギリの危急シーンでの、クリエイティブな守備プレーを魅せていた。
 
 ・・最終勝負シーンでのマークが、全くズレなかったり・・日本の決定的なラストパスを、足が「一歩動きつづけた」ことでインターセプトしてしまったり・・最後の瞬間に(本来マークしなければならない相手を放り出しての!?)カバーリングが功を奏したり・・等など・・
 
 日本は、組織パスを「ピンポイント」に合わせることでシュートへ持ち込んでいく最終勝負コンビーションシーンが多い。
 
 そんな日本の攻めに対し、ウルグアイ守備陣は、まさに「最高の読み」で、最終勝負ポイントを「潰し」つづけられていたのですよ。
 
 私は、常に、ボールがないところでのウルグアイ守備のアクションを観察していた(そこまで視認できたテレビの映像作りに拍手!!)。そして思った。
 
 これは、ウルグアイがブチかます、ココゾッ!の(例えばカウンターからの)最終勝負が素晴らしいからこそ培われた、最終勝負ポイントを見極めるディフェンダーの高質イメージだ・・ってね。
 
 とにかく、この試合では、日本代表の攻めが(2008年に比べて)格段に危険になっていたからこそ、ウルグアイ守備の「真骨頂」を体感し、舌鼓を打てた・・っちゅうわけです。
 
 その視点でも、心ゆくまで楽しんでいた筆者なのでした。
 
 この試合を一言で表現したら、たぶん、日本代表が、世界の勝負強さ(ココゾッ!という勝負所での強烈な意志!?)を体感させられた・・ってなコトになるのかもしれないね。
 
 ところで、W杯へ向けた「新メンバーの融合」というテーマだけれど、今回は「ワントップの人選」に特化したトライということになった。
 
 とにかく、これからも、強い相手との「ホンモノの内容が詰め込まれたトレーニングマッチ」を積み重ねることで、日本代表が、世界との「最後の僅差の壁」に、コツコツと小穴を開けていくことを期待する筆者なのでした。
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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは ”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。 ”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
 
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