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2013_日本代表(W杯最終予選)・・粘りの闘いを披露した日本代表・・素晴らしい締めになった・・(イラクvs日本、0-1)・・(2013年6月12日、水曜日)

すごかったネ〜、イラクが魅せつづけたスーパーな闘う意志。とても感動した。

 やはり闘う意志こそが、人々に感動を与える最大のリソースなんだと再認識させられた。イラクは勝つしかなかったわけだけれど、その事実を、プレーで表現し尽くしたと思うのですよ。

 結局は負けてしまったけれど、それでも、イラクの歴史と文化をバックボーンに培われた「強烈な闘う意志」には、深い畏怖の念をいだいたんですよ。素晴らしい。

 もちろん、そんな強烈なイラクだったからこそ、立派に対峙した日本チームにも、頼り甲斐と誇りを感じたわけだけれどね。

 以前だったら、これだけの激烈な闘う意志をブチかましてくる中東チームと対戦した場合、日本チームが受け身になってしまう(心理的な悪魔のサイクルにつかまってしまう!?)傾向が感じられたものだった。でも・・

 そう、この試合での日本チームは、イラクがブチかましてくる激烈な攻撃性をも、冷静に受け止め、そして盛りかえしていったんだよ。

 そのことを如実に感じたのは、もちろん守備。決して受け身にならず、最後の最後まで、粘り強く、エネルギッシュに、そして冷静に対処できていた。

 特に、今野泰幸。

 何度、ピンチを防いだことか。その冷静な状況判断と、最後の勝負ポイントへ急行し、そして「身体で防いでしまう」意志の強さ。それもまた、感動のリソースだった。

 もちろん、長友佑都や岡崎慎司に代表される、フットボールネーションで(激烈な競争環境において!)培われた強固な意志(攻守にわたるハードワークと実効プレーの量と質)も素晴らしかった。

 何か、良かった・・良かった・・のオンパレードで内容が伴っていないような・・フ〜〜・・

 要は、アタマが回っていないから、一つのグラウンド上の現象を分析するなかで膨らんでいくべきイメージが「枝分かれ」していかないっちゅう体たらくなんですよ。

 でも、とにかく、(ゲーム直後の!)今コラムを仕上げてしまわなければ時間がなくなってしまうからね。そう、今日は、この後ブラジルへ向けて出発するのです。

 ところで、このイラク戦の結果は、この数時間前に、ホームでヨルダンを「4-0」で粉砕し、グループ2位に浮上したホルガー・オジェックとオーストラリア代表にとっても、とてもポジティブな出来事だよね。

 何せ、この結果によって、最終戦をオーストラリアと戦うイラクは(オーストラリアのホームゲーム)、完全に望みを絶たれてしまったわけだから。

 前回のコラムでは書かなかったけれど、私は、ホルガー・オジェックが率いるオーストラリア代表も応援しているのです。だから、「ホントに良かったな〜、ホルガー・・」なんてね。

 実は、ホルガー・オジェックは、昔からの知り合いなんですよ。

 最初の出会いは、1979年3月に、西ドイツのヘネフにある「スポーツ・シューレ」で行われた、西ドイツサッカー協会主催の「A級ライセンス・コーチングスクール」でした。

 A級は、セミプロレベルまでコーチできるライセンスなのですが、その養成コースの責任者(メイン・インストラクター)だったカールハインツ・ヘダゴットの下で、アシスタント・インストラクターを務めていたのが、ホルガー・オジェックだったのです。

 その出会いは、とても印象的なものでした。

 実は、コーチングスクールの初日に、忘れがたいアクシデントが起きてしまったんですよ。

 初日の紅白マッチ。まあ、参加者同士の「挨拶」も兼ねたサロンフットボールね。

 そこで、私がシュートした際、相手GKが足許へ飛び込んできたことで、腓骨を骨折してしまったのです。でも、私のシュートは、しっかりとゴールへ入りましたよ・・念のため・・

 そして私が、足を引きずりながら、「これは、大変なコトになったかもしれない・・」なんて沈んでいたとき、ホルガー・オジェックが声を掛けてくれた。

 そして、病院まで付き添ってくれ、そこで、レントゲンで骨折であることが確かめられたという次第。彼は最後までしっかり面倒を見てくれましたよ。

 もちろん、「その回」のコーチングスクールは断念せざるを得なかったけれど、ホルガー・オジェックの助力もあって、次の回には、優先的に参加させてもらったっけ。

 その後ホルガーは、皆さんもご存じのように、フランツ・ベッケンバウアーのパートナーとして、1990年イタリアワールドカップの頂点にたった。

 また、FIFAの技術委員を何度も務めただけじゃなく、ブンデスリーガのボーフム、トルコのフェネルバフチェ、カナダ代表、浦和レッズなど、多くのクラブを率いて、数々のタイトルを獲得した。

 その間、世界中で何度も顔を合わせているのですが、その度に、「オマエは、世界中、どこにでもいるよな・・」なんて声を掛けられるのが恒例になっていたっけ。

 ということで、私は、ホルガー・オジェックのオーストラリア代表がブラジルワールドカップ本大会へ駒を進めることを心から期待しているというわけです。

 あっと、ちょっと脱線が長くなってしまった。スミマセン、頭が回っていないもので・・

 とにかく、粘りの闘いを展開した日本代表が、素晴らしい「締め」を成し遂げたことに、乾杯!!

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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