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2013_国際親善試合・・ザッケローニが使った素敵なキーワード・・そして前半と後半の「違いの背景」についても・・(日本vsグアテマラ、 3-0)・・(2013年9月6日、金曜日)

ザッケローニが、とても素敵なキーワードを発信しましたよ。曰く(こんなニュアンスのコメント)・・

 ・・この試合で、一番よかったことは、選手たちが楽しみながらサッカーをしていたことだ・・そのためにも、全員がアクティブに参加するディフェンスが重要だった・・特に、最前線からの積極的な守備がうまく機能したからこそ、全員がサッカーを楽しんでプレーできた・・

 ザックは、その「楽しむ」という素敵なテーマに関連して、こんなニュアンスの内容もコメントしていたっけね。曰く・・

 ・・最前線からのディフェンスだが、それは、ボールを追いかけ回すことだけではない・・考えつづけ、適正なポジショニングを取るなかで、適正にディフェンスアクションを仕掛けていく・・そんな効果的なアプローチが大事なんだよ・・

 ・・それが上手く機能しつづけたからこそ、後方の、特に(大人の!)ダブルボランチがカバーしなければならない範囲が狭まっただけじゃなく、より効果的に(楽しんで!?)相手の攻撃の芽を摘むことができた・・

 この日のザックは、とても魅力的な表現が多かったね。例えば、こんなニュアンスのコメント・・

 ・・この日のチームは、楽しめているからこその優れたプレーを展開し、多くのチャンスをつくりだせていた・・そこまでは高く評価するけれど、ただ、例によって、それを実際のゴールに結びつけられていなかった・・

 ・・このチームも、既に何度も体感したわけだが、世の中には、1本のチャンスをゴールに結びつけて(勝負を決めて)しまうようなチームもある・・日本代表チームは、そんな(世界の)決定力から学ばなければならない・・

 ・・全体的に、コンパクトなサッカーが出来ていた・・それもまた、前線からのディフェンスが優れた機能性を発揮していたからだ・・

 ・・そして、だからこそ、守備ラインと中盤ラインを「高く」保つことができ、だからこそ中盤より前からのプレッシングも、とても有効に機能させられた・・そして、だからこそ、相手の攻撃を、とても効果的に無力化させられた・・

 ・・この試合では、前後だけではなく、横方向でも、選手同士の「距離感」が、とてもうまくマネージできていた・・それもまた、前線からのディフェンスが効果的に機能していたからに他ならない・・

 ・・サッカーの基本は、チームスポーツであるということだ・・そう、攻守にわたる組織プレーが基本になるということ・・だから、チームのためにハードワークをこなすことが重要になってくるというわけだ・・そして、そのなかで、たまに「個の局面」が出てくる・・

 ・・選手は、「個の局面」になったら、勇気をもって(ふり絞って!)、自分の役割を果たさなければならない(リスクにチャレンジしていかなければならない!)・・それこそが、組織と個のハイレベルなバランスという表現の本質的な意味なのだ・・

 そんな会見だったけれど、やっぱり、冒頭で書いた「サッカーを楽しんでプレーする・・」というテーマについて、もう少し深めて欲しかった。

 だから質問しようとしたけれど、時すでに遅し。最後の質問は、別の方が指名された。

 でも、まあ、次のガーナ戦があるからネ。そこで、このテーマについて聞いてみよう・・アッ・・

 ・・そうだった・・ガーナは強いチームだったっけ・・それじゃ、我らが日本代表も、そんなに楽しんでプレー出来ないかもしれないね。

 まあ、いいや、この試合に比べて(ガーナ戦では!?)そんなに「楽しめなかった・・」という視点でも、同じディスカッションができるはずだからね。

 要は、楽しむためには(自由を謳歌するためには!?)、攻守にわたる効果的なハードワークを積み重ねるしかない・・という視点のことです。ザックには、そのメカニズムを、もっと深めて欲しかったっちゅうわけです。

 まあ、楽しむというテーマについては、次の機会を待つということで、ここからは、この試合を、ザックリと追いかけてみましょ。

 テーマは、何といっても、前半と後半の「違い」だよね。

 たしかにザックが言うように、前半でも、しっかりとチャンスは作り出せていた。だから、後半との違いは、そのチャンスをゴールに結びつけられたかどうか・・ということになるかもしれない。

 でも私は、もう少し突っ込んでみようと思う。私のメモ・・

 ・・前半は、積極的に勝負を仕掛けていかなかった・・横パス(安全パス)が多すぎた・・もちろん、はまったら、スピーディーなコンビネーションも出てい た(それが決定的チャンスにつながった!)けれど、そんな仕掛けの流れにしても(その勢いが!?)一味も、二味も違った・・

 ・・要は、後半は、より、ギリギリまで「勝負していった」ということ・・別な表現をすれば、気持ちの部分で、前半よりも確実に「乗っていた」ということなのかもしれない・・

 ・・本田圭佑・・素晴らしいヘディングを決めたり、怒濤の勝負ドリブルで相手守備ブロックを崩しかけるようなエキサイティングな最終勝負シーンを演出したけれど・・

 ・・それではなく、私にとっては、香川真司がドリブルで中央ゾーンへ持ち込み、そして「事前」に全力スプリントをスタートしていた岡崎慎司への、ウラの決定的スペースを完璧に攻略するスルーパスを決めたシーンが、とても印象的だった・・

 ・・そのシーンは、短い間に、二つもつづいた・・素晴らしい・・たしかにゴールにはならなかったけれど、それこそが、日本が目指すべき決定的チャンスメイクの「代表的なタイプ」でしょ・・

 ・・もちろん、そんなチャンスにしても、後半の日本代表の「気合い」が乗っていたからこそ作り出せたんだよ・・だからこそ、リスキーな勝負ドリブルチャ レンジ(香川真司の突っ掛けていく勝負ドリブル!)が出てきたし、スーパーなスルーパス・コンビネーションが決まった・・

 ・・そんな後半だったけれど・・前半には、こんなことも考えていた・・

 ・・バルサのコンビネーションでは、3人目、4人目が、ハンパじゃなく、全力スプリントで「抜け出して」いく・・だからこそ、「そこ」に、ダイレクトの スルーパスを決められる!・・でも日本代表のコンビネーションでは、3人目の動きが、どうも鈍重だし、そこに確信も感じられない・・

 ・・それじゃ、グアテマラ守備にしたって、まったく怖くないでしょ・・

 ・・決定的コンビネーションでは、最後まで「走り抜ける」全力フリーランニング」が欠かせないし、勇気をもった「個のチャレンジ」も必要になる・・それが揃って、はじめてウラを攻略できるんだ・・

 ・・ところで、清武弘嗣だけれど・・遠慮プレーのオンパレードだった・・勝負のチャンスでボールを持っても、仕掛けていくのではなく、香川真司や長谷部誠、長友佑都や遠藤ヤットが寄ってきてくるのを待っている・・っちゅう雰囲気の方が強かった・・

 ・・どうして、もっと自分から(主体的&積極的に)勝負していかないのか・・ミスや失敗が怖い!?・・チームに迷惑をかけるのが怖い!?・・代表から外 されるのが怖い!?・・もし、そんな後ろ向きの心理でプレーしているのだったら、決してチームに価値を提供することなどできない・・

 ・・サッカーで自由を謳歌するためには、リスクへチャレンジしていくことは「義務」なんだぜ・・サッカーに自由がなくなったら、そりゃ、価値はゼロだ・・

 ・・とにかく前半の日本代表では、個の勝負プレーで相手を警戒させるような選手が出てこなかった・・だから組織コンビネーションも危険な雰囲気を醸(かも)し出せなかった・・そのことが、とても残念だった・・

 ・・要は、攻撃の変化(選手たちの積極性=攻撃性)という視点で、前半と後半では、雲泥の差があったということだと思う・・

 ・・最後に、柿谷曜一朗・・

 ・・とても良かった・・攻守にわたるハードワークという視点でも、大きく発展している・・まあ、日本代表に残りたいという超絶のモティベーションもポジティブに作用しているんだろうね・・

 ・・また大迫勇也も、引けを取ることなく良かった・・この若い二人が「切磋琢磨」しつづけたら、日本のワントップは、ものすごく活性化する・・

 ・・あっと・・私が、以前から「お薦め」していたFC東京の森重真人・・彼も、存在感を発揮したね・・とにかくヘディングが強い・・それに1対1もいいし、読みもいい・・とても優れたディフェンダーだと思うよ・・

 良かった、良かった・・

 次のガーナ戦が、とても、とても楽しみになってきた。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームでは、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしました。

 一つは、毎回違う一つのテーマを深める「コア・コラム」。

 そして、もう一つが、私の「バイオグラフィー」。この連載は、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノに出来れば・・と考え、近々、取り敢えずスタートすることにしました。

 そのときは、「トピックス」で告知しますし、リンクボタンも張りますよ。請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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