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2013_ACL_・・ふくれ上がった期待と結末が大きく乖離(かいり)してしまった・・(レイソルvs広州恒大、1-4)・・(2013年9月25日、水曜日)

試合の後、「タラレバ」のニュアンスも含めて、かなり落胆していた筆者でした。

 何せ(ネルシーニョ監督も言っていたように)、レイソルは、ゲーム展開からすれば、明確に「勝利コース」に乗っていたわけだからね。

 たしかに、前半の立ち上がりは、広州恒大が、個の才能を前面に押し出しながら高質な組織サッカーを展開するなど、彼らの強さが目立っていた。

 中国代表のディフェンスブロックを絶対的ベースに、3人の優秀な外国人プレイヤーに、1人の中国人「汗かきプレイヤー」が絡むという流れで、広州恒大の攻めが抜群の存在感を魅せつづけるなかで、完璧にゲームを牛耳っていたんだよ。

 わたしは、マルセロ・リッピの優れた仕事に対して拍手をおくっていた。でも・・

 たしかに立ち上がりは、「やっぱりコイツらは強いな〜・・」なんて感嘆していたのだけれど、1分も経たないうちに、ゲームの流れの「内実」が見えてきたんだ。

 レイソルの守備は、とても、とても忠実で「堅い」んだよ。

 中国代表も含めて、広州恒大で攻め上がってくるヤツらは、みんな上手くて、速くて、パワフルだからね。簡単にアタックを仕掛けたら、ホントに簡単に「置き去り」にされちゃうでしょ。

 私は、すぐに気付いていた。レイソルは、最初から、粘りのディフェンスを展開するということで、チームが完璧に「一つのユニット」になっていたんだ。

 決して安易に当たりに行かず、しっかりと付いていく。そして、「ココゾッ!」のチャンスに、もちろん相手に身体をあずけながら、必殺のタックルをブチかますんだよ。

 だから、広州恒大は、たしかにボールはキープできていたけれど、まったくといっていいほど、レイソル守備の「ウラ」を突いていけない。

 そして、徐々に、広州恒大プレイヤーたちの「足」が止まりはじめていくんだよ。

 そう、その流れこそが、ネルシーニョの狙いだったんだ。

 彼は、誰かの質問に対して、ちょっと憤ったように、こんなニュアンスの内容をコメントしていたっけね。曰く・・

 ・・アナタは、我々が展開したディフェンスの機能性まで見えていましたか?・・我々が、どんな守備コンセプトでこの試合に臨んでいたか、観察できていましたか?・・

 ・・最前線のクレオが、相手にボールを奪われた次の瞬間には、相手ボランチに(展開パスの出所に!)しっかりとプレスを掛けつづけていたことに気付いていましたか?・・

 ・・我々は(特に前半は!)良い守備が展開できたと思っているんですよ・・だから、効果的なカウンターも繰り出していけた・・また、サイドゾーンを攻略 し、そこから良いクロスも送り込めた・・そして我々は、先制ゴールだけではなく、2点目や3点目まで奪えるチャンスだって作りだした・・

 ・・そんな良いサッカーが展開できたのも、しっかりとしたディフェンスが出来ていたからに他ならないんですよ・・

 スミマセン・・最後の一文は、わたしの「創作」でした。でも、たぶんネルシーニョさんは、その内容を否定しないと思いますよ。

 ことほど左様に、「あの」悔しい同点ゴールが決まるまでは、レイソルが「勝負の流れ」を牛耳っていたんだよ。

 その流れを見ながら、わたしは、レイソルの勝利を確信していたんだ。でも・・

 とにかく、上海申花が奪った同点ゴールと勝ち越しゴールは、まさに偶発だったよね。

 もちろん、3点目のコーナーキックからのゴールと、完璧にツボにはまった「広州恒大カウンター」によって奪った4点目は、見事の一言だったけれどサ。

 そして、この4点すべてを、「あの」優秀な外国人プレイヤーたちが挙げたんだよね。

 あっと・・4点目は、アジア1のヘディングキングであ「ガオ・リン」のフリックヘッドが起点だったっけ・・でま、まあ・・ネ・・

 とにかく、このコラムでは、あの、強烈な「個の才能集団」である広州恒大を、しっかりと抑えつづけたレイソル守備を称賛したかったんだよ。

 そして、そんな粘りのディフェンスが、とても効果的に機能したからこそ、広州恒大の「良さ」を抑え込んで、足も止まり気味にさせられた。

 いくら才能集団の上海申花とはいっても、あのようにボールがないところでの動きの量と質がダウンしちゃ、自分たちがイメージするサッカーを機能させられるはずがない。

 そして、案の定。個人勝負ばかりが目立つ「寸詰まりサッカー」へと落ちこんでいった。だからこそ、彼らのタテパスも、とても効果的にインターセプトできたんだよね。

 この試合では、何度も、ホントに見事なタテパスカット(インターセプトや相手トラップの瞬間を狙ったアタック)が、気持ちよいほど決まっていたっけね。

 でも、まあ、微妙なゲーム(勝負の)展開ではあったけれど、あんな風に派手に、大逆転マッチを完遂させられたこともまた、広州恒大ならでは・・っちゅうことなんだろうね。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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