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2013_ACL・・「ドン・ドン・ドンッ!!」って、何か別の次元でやられちゃった感じ・・(レッズvsチョンブク・ヒョンデ、 1-3)・・(2013年4月3日、水曜日)

何か、こう、スッキリしないね。

 相手が、ものすごく強かったわけじゃないし(チーム総合力やサッカーの内容じゃ、まあレッズの方が上だと思う・・)、前半にあれだけのチャンスを作りだしたわけだからね。

 それに後半の立ち上がりにしたって、前半と同様に、良いペースだったし、再び、決定機も作りだしたしさ・・

 たしかに、スーパー・ストライカーのイ・ドングを投入した後半のチョンブク・ヒョンデは、いくつかのゲーム戦術的な「役割イメージ」を変更したみたい だったけれど(基本的なポジション&タスクイメージの微妙な調整!?)、でもさ、そんなこた〜、まあ、大勢にゃあ関係ネ〜よな。

 とにかく、このゲームの、もっとも重要な「現象」は、何といったって、イ・スンギがブチかました、「まさに唐突」な同点シュートだったんだよ。

 それまでのゲームの流れからすれば、誰もが「エッ!?」ってな感じで目を疑ったに違いない。

 かく言う私も、これまでに何千回となく「そんな唐突ゴール」を体感してきたよ。でも、いくら経験しても、慣れないね。

 そのことについちゃ、たぶんレッズ選手たちも同様だったに違いない。それは、心理的にいったら、唐突であるからこその「大ショック」・・ってなことだったでしょ。

 逆に、チョンブク・ヒョンデにしたら、勇気百倍ってなことだったでしょ。何せ、それまでは、多くの局面でレッズに「やられて」いたことで、ちょっと落ち込み気味だったわけだからね。

 そう、その同点ゴールによって、チョンブク・ヒョンデの意志のパワーが何倍にも増幅したということなんですよ。

 そんな、意志パワーの逆転現象は、もちろん中盤ディフェンスの(まあ・・協力プレスの)量と質に如実に現れてくる。そして、ゲームが、本当の意味で「動き」はじめることになった。ゲームの趨勢の逆流・・!?

 サッカーってさ、いつも書いている通り、本物のチーム(パス)ゲームですよね。

 だから、一人でも、そう、ホントに一人でも、意志のパワーを減退させたら、そのネガティブ・ヴィールスが、瞬間的にチーム全体に蔓延しちゃう。

 要は、ミハイロ・ペトロヴィッチも言っていたように、ボールがないところでの動きの量と質が、急激にダウンしちゃったんだよ。逆に、チョンブク・ヒョンデの「それ」は倍増しちゃった。

 これは、本当に微妙な現象なんだけれど、レッズ選手たちが、同点ゴールによる「大ショック」によって、ちょっと意志が減退し、攻守にわたる、ボールのな いところでの動きがダウンしはじめたことでボールの動きもダウン気味になっていった・・逆に、チョンブク・ヒョンデの動きは、アップしていった・・

 そして・・

 そんなゲームの流れの逆転プロセスが徐々に進行していくなかで、これまた唐突に、イ・ドングが、スーパーヘディングシュートを決めちゃうんだ。それは、同点シュートから12分後のこと。

 そして、その勝ち越しゴールの6分後には、エニーニョの右足が炸裂する。

 たぶん、そのシュートは、ものすごく「ブレ」たんだろうね。レッズGKの加藤順大は、まったくといっていいほど対応できなかった。

 もしかしたら加藤順大は、最初はクロスだと思ってアクションを起こしたことで、ボールの変化にまったくついていけなかった!? さて〜〜・・

 ちょっとハナシが変わるけれど、実はわたしは、この試合では、原口元気を、事細かに観察していたんですよ。

 要は、攻守にわたる、ボールがないところでのアクション(攻守にわたるハードワーク)の量と質がアップする傾向にあることを確かめたかったんだよ。そして実際に・・

 別に、彼がスーパー先制ゴールを決めたから書くわけじゃないよ。

 いつも書いているように、天才の「本物のブレイクスルー」の証人になることは、この上ない感動だということが言いたいだけなんですよ。

 今年から連載をはじめた、ソフトバンクの動画配信サイト「スポーツLIFE」でもコラムを一本アップしたけれど、わたしは、中村俊輔の「本物の大ブレイクスルー」を詳細に追いかけていたんだ。

 それは、まだ彼がイタリア、セリエAのレッジーナでプレーしていた2004年当時のこと。彼は、その2004-2005年シーズンに、徐々にブレイクしていったんだよ。

 そして、2005年6月にドイツで行われたコンフェデレーションズカップで花開き、ベストイレブンにも選ばれた。セルティックのゴードン・ストラカンに見初められたのも道理だったね。

 あれ程の天才なのに、攻守にわたるボールがないところで、まさに鬼神のハードワークをブチかましつづける中村俊輔。いまでも、彼の素晴らしい組織ハードワークと、スーパーな才能プレーを観るたびに、当時のことが思い出されるっちゅうわけさ。

 そして今、もしかしたら原口元気も、その「天才の覚醒という感動」を味わせてくれるかもしれないと思いはじめたんだよ。だから、彼のことを、しっかりと観察するようになった。

 もちろん、まだまだ仕事量が足りない。もっと、もっと、自分から仕事(ハードワーク)を探しつづけなければいけない。

 でも、まあ、一番大事なことは、本人の「自覚」だよね。そう、意志のパワー・・なんだよ。

 「それ」が、徐々に高揚しはじめていることを実感できはじめたことで、このところ、とてもハッピーになっている筆者なのです。

 あっと・・もちろん、今日の、「相手の、ドン、ドン、ドン!!」で大敗しちゃったことには、アタマにくるけどね。

 まあ、いいさ・・

 来週の火曜日にゃ、同じチョンブク・ヒョンデと、「アチラ」でアウェーマッチを闘うんだよね。そこで、まったく逆の結果をブチかましてやればいいんだよ。

 こうなったら、もう、やるっきゃないわけだし、選手たちにしても、体感として「やれるぞっ!!」と感じているに違いないからね。

 とにかく、「ドン・ドン・ドンッ!!」って、何か、別の次元での出来事みたいな「後味」が残ったゲームではありました。

 フ〜〜・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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