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2012_なでしこ(キリンチャレンジ杯)・・世界トップでの確固たる存在感・・(なでしこvsUSA、1-1)・・(2012年4月1日、日曜日)
				
   
   
   
   
			 
			
なでしこが魅せつづけた自信満々のプレー。それは、地道に、様々な要素を「積み重ね」ていったことからの賜物(たまもの)ということなんだろうね。 
			
				 ・・北京オリンピックでの、(ドイツと互角の勝負を展開した三位決定戦も含め)ある意味の成功体感・・ワールドカップでのギリギリのせめぎ合い(競り合い)を通した『頂点』体感・・そして「それ」を自分のモノにする地道なトレーニング・・ロンドンオリンピック(アジア)予選での成功体感・・そして地道なトレーニング・・アルガルベ杯での成功体感と経験・・そして・・
			
				 ・・自信があるからこそ、臆することなく、自分たちの秘めたるチカラを120パーセント発揮できる・・手足が縮こまったり、慌てたりすることなく、余裕をもって相手のアタックをかわすことが出来る・・だからこそ「なでしこ」は、サッカー内容をどんどんと進化・深化させることで、世界の強豪とも、常に互角の戦いを展開できるまでに成長した・・
			
				 とはいっても、世界の強豪との間に、パワー、スピード、そして高さで絶対的なハンディキャップがある(明らかに不利!)というのも厳然たる事実。
			
				 でも、そんな不利な要素だって、地道なトレーニングによって乗り越えてしまう頼もしい「なでしこ」なのです。
			
				 例えばパワーやスピード。典型的なのは、「ヨーイドン!」でスタートしたり(せざるを得なかったり!)、身体をガンガンぶつけ合うような一対一の競り合いシーンだよね。そんな状況じゃ、もちろん「なでしこ」は絶対的に不利。
			
				 だから、そんな状況に陥らないように工夫するのですよ。予測ベースで「先にスタートしちゃう」とか、相手とフィジカルな接触をしないように「人とボール」を素早く、広く動かしちゃうとか・・。それもまた、なでしこの、重要なトレーニングテーマということでしょ。
			
				 また、高さへの対処だけれど、この試合では、相手が簡単にハイボールを放り込めないように、細心の注意を払って「チェイス&チェック」を仕掛けていたね。
			
				 それでも、やはり何度かは、ハイボールを放り込まれて危険なヘディングシュートをブチかまされたり、一発ロングパスや長めのスルーパスを通され、決定的スペースへフリーで走り込まれちゃったりしたわけだけれど・・。
			
				 そんな危ないシーンは二度、三度とあったね。
			
				 例えば、ハイボール。
			
				 トレーニングの成果として身体をしっかり寄せられているから、ほとんどのケースで自由にヘディングさせなかったけれど、それでも競り負けちゃうシーンが出てくるのは、どうしても避けられなかったね。
			
				 また、最終ライン背後の決定的スペースへスルーパスを通されるような場面では、マークする相手に走り負けて置き去りにされ、フリーシュートを放たれる危険なシーンもあった。
			
				 とはいっても、そんな、絶対的なハンディキャップが原因のピンチが劇的に減少していることも確かな事実です。そのことは、世界の強豪とのゲームを観るにつけ、実感させられる。
			
				 佐々木則夫監督の(ハンディを克服する)日々の努力とストロング・ハンド(優れた心理マネージメント)に敬意を表します。
			
				 ということで、なでしこが繰り出しつづけた素晴らしい組織コンビネーションというテーマでコラムを締めることにしま〜す。何せ、「あの」パワフルでスピーディーなアメリカの強者女子連中がキリキリ舞いさせられちゃうんだから、舌鼓を打てないハズがない。
			
				 この試合では、ショート&ショート&ショートというリズムで(人と)ボールを動かしながら、急に、一発のロングパスを、最前線の(相手の背後の)決定的スペースへ送り込んだりするような「仕掛けの変化」も、より多く観察された。
			
				 もちろんその背景には、そんなロングパスを「呼び込む」ような、(川澄奈穂美に代表される)決定的フリーランニングもあったわけだけれど、その仕掛けが、とても素敵だったのです。
			
				 これもまたトレーニングの成果であり、そのことでアメリカ最終守備ラインのイメージが少し混乱し、なでしこが得意とするコンビネーションが、より大きな効果を発揮したモノです。
			
				 何度あっただろうか、魅惑的な(人とボールが動きつづける)コンビネーションから、3人目、4人目がチャンスを迎えたシーンが。
			
				 とはいっても、なでしこが、3人目、4人目が絡むようなコンビネーションで仕掛けてかなければウラを突いていけないというのも事実。アメリカのように、パサーとレシーバーの二人だけでシュートまで行っちゃうような芸当は難しいんだよ。
			
				 だからこそ、川澄奈穂美がブチかましつづけるパス&ムーブ&決定的(3人目としての)フリーランニングが、殊のほか重要な意味をもつのです。
			
				 ・・例えば、こんなシーン・・
			
				 ・・川澄奈穂美からの「ワンのパス」を受けた永里優季が、後方にいる宮間あやへ、ダイレクトでバックパスを回す・・その間、もちろん川澄奈穂美は、決定的スペースへ向けて走りつづけている・・そして宮間あやが、これまたダイレクトで、川澄奈穂美が走り込む決定的スペースへルーパスを通してしまう・・なんてネ(実際にあったシーンだよ!)・・
			
				 この試合。チャンスの量と質では日本に軍配(要は、日本にとって悔しい引き分け!)・・という評価に首を横に振る方はいないに違いありません。
			
				 とにかく今の「なでしこ」は、世界のトップグループで確固たる存在感を確立しつつある。その意味合いも含め、次のブラジル戦が楽しみで仕方ない。
			
			
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				 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
			
			
			
			
			
			
			
			
				 追伸:わたしは
”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
			
			
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				 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
			
				 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
			
				 
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
			
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