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2012_EURO(7)・・あ〜あ、オランダが落ちてしまった・・でもまず川勝良一から・・(J2のVvsJEとBグループ最終日)・・(2012年6月18日、月曜日)

昨夜は、味スタで行われたヴェルディ対ジェフの「J2首位攻防戦」に舌鼓を打った。とてもエキサイティングで、内容の濃いゲームだった。

 ウワサ通り、ジェフの守備は秀逸だったね。たしかにセットプレーとPKで二点を献上したし、カウンターで二度ほどピンチはあったけれど、流れのなかでは、強力なヴェルディ攻撃に、ほとんどといっていいほどスペースを使わせなかった。とても忠実で創造的&想像的な「イメージ連鎖ディフェンス」。彼らが首位にいる(いた!)のも道理・・ってなところ。

 対するヴェルディ。彼らが展開する高質なサッカーからすれば、まさに順当な「首位奪取」だったとするのがフェアな評価だろうね。組織プレーと、ヴェルディ伝統(!?)の個人勝負プレーが、とても高い次元でバランスする。ホント、とても良い・・

 たしかに、「スピード&テクニック&高さ&経験・・」のコラボレーションとも言えそうな、西紀寛、飯尾一慶、阿部拓馬に杉本健勇の前戦カルテットが魅せる「組織&個の饗宴」も素晴らしいけれど、私は、何といっても、ちびっ子コンビのダブルボランチに注目していた。和田拓也と梶川諒太。とても、とても楽しめた。

 いまの高みで安定したヴェルディの組織パフォーマンスの源泉とまで表現できそうな、攻守にわたるダイナミズムの塊コンビ。

 爆発チェイス&チェック、協力プレス、カバーリング、ボールがないところでの忠実マークなどなど。また攻撃でも、素早く効果的な展開パスやタテパスを(シンプルなタイミングで!)繰り出すだけじゃなく、中盤でのスペースをつなぐ高速ドリブルや勝負ゾーンでの勝負ドリブル、そしてタテのスペースへ忠実に飛び出していく3人目、4人目の動き、等なども素晴らしい。

 とにかく、ヴェルディの川勝良一監督は、小林祐希に対するマネージメント(翻って、チーム全体に対する刺激!!)も含め、とても良い仕事をしていると思うよ。まさに、ストロングハンドだね。

 これからもヴェルディとベルマーレに注視して「J2」の観察をつづけよう。あっと・・甲府や京都、千葉もね・・

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 さて、EURO。

 昨日おこなわれたAグループの結果には度肝を抜かれた(チェコとギリシャが決勝トーナメント進出だぜ!)。だから今日のBグループは、「ある期待」をもって観戦していた。

 その期待とは・・。オランダがポルトガルに「ある程度の点差」で勝つこと、そしてドイツが、順当にデンマークを退けること。そうすれば、オランダ、ポルトガル、デンマークが「勝ち点3」で並び、互いの直接対決という視点でも「イーブン」になる。ということで、最終の順位は、得失点差や総得点で決まる。

 そう、私は、オランダにトーナメントへ進出して欲しかったんですよ。たしかに厳しい状況だけれど、可能性は大いにあるでしょ!? でも・・

 オランダ対ポルトガル。立ち上がりは、オランダが完璧にペースだった。ガンガン押し込み、ファン・デル・ファールトが目の覚めるようなミドルシュートまでブチ込んでリードを奪ったんですよ。

 観ているこちらの心拍数が上がっていく。もちろん「そこ」からは、ポルトガルも少しは上がっていくようになる。でもすぐに「再び」、ポルトガルが守備を安定的に固め、オランダがゲームのイニシアチブを握る・・っちゅう展開に落ち着いていくのですよ。

 そう、ポルトガルは(デンマークがドイツに負けることを前提に!)この時点での得失点差や総得点ではリードしていることを意識して(!?)、あまり「リスキーな攻め上がり」は控えるというムードで落ち着いていったんですよ。多分・・

 このまま最少失点で負けても(多分!?)大丈夫だし、あわよくば、カウンター一発で引き分けられれば御の字・・ってな具合ですかね・・面白いネ〜〜・・

 そんなときに、まさに狙い通りのカウンターから、これまた狙い通りにクリスティアーノ・ロナウドが、爆発ドリブルから、オランダゴールの右ポストを直撃するシュートを放っちゃう。微妙な展開だね〜・・フ〜〜・・

 それでもオランダは、もちろん追加ゴールを狙いにいくのですよ。彼らには、「それ」しか選択肢がないからね。そしたら、自分たちに完璧なミスパスで、ポルトガルのポスティガにボールを渡してしまい、完全フリーでオランダGKと一対一になってしまう。

 そのシュートは右に外れたから事なきを得たものの、何か、そこからの展開が、おぼろげながらにイメージされるような数分間の展開ではありました。

 そこからのゲーム展開は、まあ、こんな感じ・・

 ・・オランダが攻め上がり、ポルトガルが守備の組織を安定させる・・それでも、オランダが下がれば、ポルトガルも全体的に押し上げていく・・とはいっても、決して、オーバーラップなどのリスクにチャレンジせず、あくまでも次の守備を考えた「安定」した攻め上がり・・

 ・・そんな流れのなかで、セットプレーなどから、オランダが何度かチャンスを作り出す・・それに対してポルトガルも、カウンターだけじゃなく、「安定攻撃」から繰り出す一発ロングクロスや決定的スルーパス攻撃を仕掛けていく・・そしてクリスティアーノ・ロナウドが、抜群の高さのヘディングや一発の抜け出しフリーランニング、はたまた真骨頂の突破ドリブルでオランダゴールを襲う・・

 ・・そして前半28分に「そのとき」がくる・・抜群のタイミングで決定的スペースへ飛び出したクリスティアーノ・ロナウドに、スルーパスがピタリと合ったのです・・そしてクリスティアーノ・ロナウドの落ち着いたシュート・・これで同点・・状況は、ますますオランダに厳しいモノになっていく・・

 ・・そこらあたらから、オランダの勢いに「息切れ」が見えはじめる・・もちろん、試合巧者のポルトガルが、そんな雰囲気を感じないはずがない・・たしかに「リスクなし」の安定した攻めだけれど、それでも、明らかに、積極性はアップしていく・・

 ・・ということでゲーム展開は、とても拮抗したものへと変容していったのですよ・・フムフム・・

 ・・後半・・どうもオランダのエネルギーが減退気味だと感じられる・・もうダメかも知れない、という雰囲気が蔓延しはじめた!?・・サッカーは究極の心理ゲームだからネ・・でもオランダには、そんな沈滞したマイナスの雰囲気を打破するような絶対的チームリーダーがいない・・

 ・・どうしてファン・デル・ファールトを、ファン・ボメルの代わりに出場させたのだろうか・・たしかに局面勝負では良いプレーを魅せるシーンもあるけれど(ミドルシュートでは存在感を発揮したけれど)、次の守備やリーダーシップという視点じゃ(要は、汗かきの仕事を積極的に探すというプレー姿勢では!)、ファン・ボメルの足元にも及ばないのに・・

 ・・その後の展開は、もう推して知るべし・・とても安定したサッカーを展開するポルトガルが、カウンターから、クリスティアーノ・ロナウドを中心に、何度も決定的チャンスを作り出す・・コエントランやナニの決定的シュート(オランダGKの奇跡的なセーブが光り輝いた!)・・その演出家は、クリスティアーノ・ロナウド・・やっと本領発揮かな・・

 ・・そして後半28分・・完璧なカウンターから、ナニ、クリスティアーノ・ロナウドとつなぎ、そのままクリスティアーノ・ロナウドが、落ち着いて決勝ゴールをブチ込んだ・・フムフム・・まあ、仕方ない・・

 さて今日おこなわれるグループC。その見所は、何といってもイタリア。勝ち点4同士の対戦(スペイン対クロアチア)を横目に、イタリアは、チカラの劣るアイルランドと対戦する。

 ということで、勝ち点5が堅いイタリア。もしスペインとクロアチアが引き分け、3チームが勝ち点5で並んだ場合、これまた互いの直接対決は「全て」引き分けということになるから、得失点差、総得点で最終順位が決まる。だからイタリアは、なるべく多くゴールを奪わなければならない。

 イメチェンのイタリアが、どこまで攻撃的なサッカーを貫けるか。注目じゃありませんか。もちろん、アイルランドの意地という視点もね。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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