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2012_ACL・・(ランコが言うように)雰囲気としては負けに等しい引き分けだった・・(FC東京vsウルサンヒョンデ、 2-2)・・(2012年3月20日、火曜日)

このゲームでのFC東京「も」、鈍い立ち上がりから、時間の経過とともにペースを上げていった・・「それ」が最初のテーマかな!?・・ゲームへの「入り方」、「心理・精神的な準備」に課題を抱えているFC東京!?・・

 同じような現象は、「J」の開幕ゲーム(対アルディージャ)でも、2戦目のホームでのグランパス戦でも観察された。まあ、とはいっても、それらの現象の「背景要因」が全く同じだったというワケじゃなかったけれどネ。

 とにかくこの試合でも、同じように、立ち上がり時間帯にイニシアチブを握ったのはウルサンだったのですよ。ボールを奪い返すことに対する執念が違う・・と感じられた。

 そんな展開を観ながら、「サスガに韓国チーム・・素晴らしい意志のサッカーを魅せてくれるな〜・・これは、FC東京にとっても素晴らしい学習機会になるはずだ・・」なんてことを思っていた。

 要は、ウルサンの方が、勢い(意識と意志のポテンシャル)で優っていたということです。そう、中盤でのボールを巡るせめぎ合い・・中盤ディフェンス・・。そこでは、明らかにウルサンに軍配が上がった。だから、ゲームのイニシアチブもウルサンに握られた。

 そして、イ・グノやキム・スンヨンといった「猛者」が仕掛けていく、後ろ髪を「まったく」引かれることのない、抜群にパワフルな個の(ドリブル)勝負に、東京のディフェンスブロックがタジタジに受け身になる場面が繰り返されちゃうんですよ。

 でも、(これもテーマだけれど・・)そんなゲームの構図が、徐々に変容していくのです。

 FC東京が、少しずつ盛り返していったということだけれど、この前半での「ゲームの流れの変容現象」のバックボーンについては、よく分からない。まあ、ウルサンの監督さんが言っていたように、彼らがコンディション的な問題を抱えていたことで、その攻守にわたる運動量に陰りが見えてきたということなのかもしれないね。

 そして、ウルサンの「勢い」が少しずつ減退しはじめたことで、逆に、FC東京が盛り返していった!? まあ、そういうことだったのかもしれない。でも後半は・・

 そう、後半は、明らかに、FC東京の選手たちの意識が(要は、中盤でのディフェンスの量と質が!)ガラリと変わったと感じられたのです。ハーフタイムで、ランコ・ポポヴィッチの強烈な「ゲキ」がブチかまされた!? まあ、そういうことだったんだろうね。

 とにかく、ボールを失った直後からスタートするチェイス&チェックだけではなく、次の協力プレスやインターセプト狙い、相手トラップの瞬間を狙うアタックなどなど、中盤でのボール奪取勝負の勢い(意志と集中力)が格段にアップしたと感じられたのですよ。

 ということで、FC東京の「主体的な変容」と、ウルサンのコンディション的な減退が相まって、後半は一方的なゲーム展開になっていった。そしてFC東京は、その流れに乗って、何度か、とても良いプロセスから決定的チャンスも作り出した。でもゴール(追加ゴール)を奪えない・・

 とはいっても、そのときの私は、ウルサンに一発カウンター同点ゴールを喰らってしまう・・なんていう不安は、まったく感じませんでした。それほど、FC東京のドミネーション(ゲーム支配の内容)が素晴らしかったのです。それでも・・

前半37分に徳永悠平が挙げたラッキーゴールでリードを奪ったFC東京だったけれど、(誰もが、そのままゲーム終了までいくと確信していた!?)後半35分にウルサンに同点ゴールをブチ込まれてしまうのです。

 でも、その3分後には、梶山陽平が、素晴らしいコンビネーションからダイレクトシュートをたたき込んで、またまたリードを奪う。そして(これまた)誰もがFC東京の勝利を確信していた後半43分に、一瞬の「気の緩み」によってマラニョンにウラへ走り込まれて二度目の同点ゴールをブチ込まれてしまう。

 二度もリードを奪ったFC東京。その都度、誰もが、このゲーム展開からすれば「このまま」最後までいくに違いない・・と確信していたはず。でも、一瞬の気の緩み(!?)で同点ゴールを許してしまう・・。フ〜〜・・

 ランコ・ポポヴィッチは、とても怒っていたね。ゲームの内容自体には(立ち上がりの時間帯のゲーム運びを除いて!)ある程度は満足していたらしいけれど、一瞬の「気抜け」を相手に突かれて同点ゴールを奪われたことが許せないようだった。まあ、よく分かる。

 でも、指揮官は、そんなネガティブ現象をも、次の発展の糧としてポジティブに活用できなければなりません。まあ・・、優秀なコーチならば誰でもやっていることだけれど・・ね。

 そうそう・・指揮官は、あの二つのゴールに対しては、次のゲームまで「怒りのオーラ」を放散しつづけられなければならないのですよ。そりゃ、緊張感も出てくるでしょ。でも、それもまた、監督のミッションだからね。

 ・・誰もが、あの悔しさを忘れないために・・そのときのシーンが脳裏に焼き付いて離れないように・・そして、必要なときに、そのイメージが瞬間的に呼び覚まされるように・・

 「怒りエネルギー」だけれど、その放散の「仕方」は、もちろん選手たちが、その失点に対しての怒りだと感じられなきゃダメだよ。それ以外のチーム内のコトについてもアドレナリンをブチかましつづける(ネガティブな雰囲気をかもし出してしまう・・)のは良くない。

 要は、メリハリの効いた心理マネージメントということだけれど、ランコ・ポポヴィッチは、その意味でも、素晴らしい「ストロング・ハンド」を示してくれるに違いない。

 さて・・

 これから、三ツ沢まで足を伸ばし、横浜FCと東京ヴェルディのゲームを観戦してきます。テーマが抽出できれば、またレポートします。では〜・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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