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2011_UCL・・それにしてもマンUは強かった・・その2・・(マンチェスター・ユナイテッドvsシャルケ04、 4-1)・・(2011年5月5日、木曜日)

全体的な趨勢(すうせい)的には、既に、ほとんど決着していた準決勝の第二戦。このゲームからピックアップするテーマは、ピタリとツボにはまった「マンUのゲーム戦術的イメージ・・」ってなところですかね。シャルケを、意図的に攻め上がらせたマンU・・!?

 マンUは、(第一戦の結果を受けて!)どちらにしても攻め上がって行かざるを得ないシャルケ04だから、彼らが「もしかしたら行けるかも・・」なんていう期待を抱くように、うま〜く「マインド・コントロール」した・・なんていう風にも捉えられるかな〜。

 要は、「行かざるを得ない」シャルケ04が、淡い期待を抱いて前に重心を掛け「過ぎ」てしまうようにゲームの流れをコントロールし、そのなかで、狙いすました必殺カウンターを仕掛けていくというゲーム戦術イメージのマンU・・ってことです。

 実際マンUは、しっかりと守備ブロックを安定させるなかで(もちろん無為に下がり過ぎるわけじゃないよ!)、常に『次のボール奪取からのカウンター』をイメージしながらプレーしていた。もちろん、マンチェスター・ユナイテッドが支配する時間帯もあったわけだけれど・・ね。

 ということで、先制ゴールは、そんなマンUのゲーム戦術的イメージが、まさにピタリとツボにはまったシーンだった。

 ・・内田篤人からの正確なタテパスがフラードへ糸を引く・・ただ、フラードのダイレクトバックパスがミスになり、直接マンU選手にわたってしまう・・そこからギブソンにわたり・・同時に超速スプリントをスタートしていたバレンシアが突進していく決定的スペース(逆サイドの裏スペース)へ、ギブソンから見事なスルーパスが出た・・最後は、飛び出してきたシャルケGKマニュエル・ノイヤーの股間を抜くシュートがゴールに吸い込まれていった・・という次第・・

 このシーンは、ショートカウンターの典型でした。そこでは、シュートを決めたバレンシアをマークしなければならなかったシャルケ左サイドバックのエスクデロが、前へ押し上げようとしていたことで、完全に戻り遅れてしまった・・というわけです。

 サイドバックが押し上げるオーバーラップのウラを突かれた・・っていうシャルケ失点シーンといえば、マンUの4点目もそうだったね。

 ゴールを決めたのは、逆サイドで長い距離を走り上がっていたアンデルソン。そのシーンで戻り遅れたのは内田篤人。もちろん、内田篤人がオーバーラップしたら、サイドバックや守備的ハーフ、はたまた状況に応じてセンターバックが「その穴」に対応するのだけれど、いかんせん、チーム全体が前掛かりになっていたわけだから・・

 とにかく、ゴールシーンだけじゃなく、(前後のスペースをつないでしまうような)超速の直線ドリブルや、相手を引きつけてから(タメてから)送り込むクレバーなタテへのスペースパスでマンUがブチかましたカウンターシーンは、目立ちに目立っていたのでした。

 もちろん、マンUが支配するゲームの流れもあったし、そのなかでチャンスも作り出したわけだけれど、全体的なゲームの構図としては、やっぱり「マンUの狡猾な意図」が目立っていたわけです。わたしは、組織的なディフェンスからはじまる、マンUの流れるような「カウンターイメージ連鎖プロセス」に舌鼓を打っていました。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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