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2011_ヨーロッパの日本人・・存在感を発揮した内田篤人と岡崎慎司・・(2011年4月21日、木曜日)

とても良いプレーを展開した内田篤人と岡崎慎司について、自分自身のメモとしてコラムをアップしておくことにしました。

 まず、内田篤人、前回のコラムでも書いたけれど、とにかく「本物のブレイクスルー真っ最中」ってな感じ。

 ・・忠実なマーキングやエネルギッシュなチェイス&チェック・・フェアで効果的なボール奪取勝負(インターセプトやスライディング等)・・読みベースの カバーリング(協力プレス)や、相手コンビネーションへの的確な対処(ワンツーへの対処)・・などなど。ということで、まず何といっても、守備が高みで安 定してきているというポイントから入らざるを得ないよね。

 いや、守備が安定してきている・・というよりも、内田篤人本来の実力を存分に発揮しはじめている・・と言った方が正確な表現かもしれない。要は、自信レ ベルが深化しているからこそ的確な判断がハイレベルに安定し、持てるチカラを存分に発揮できるようになっている・・っちゅうことだね。だからこそ、守備で のリスキープレーにも、確信をもってチャレンジしていける。ココゾッ!の協力プレスやインターセプト、はたまた、最終勝負シーンでの必殺スライディン グ・・等々。

 そして、そんな安定したディフェンスがバックボーンになっているからこそ(全てのスタートラインは守備にあり!!)次の攻撃も冴えわたる。

 彼の、仕掛けプロセスにおけるイメージ的なパートナーは、右サイドハーフのファルファンは当然として、このところ(ラルフ・ラングニックが監督に就任し てから!?)、ゴールゲッターとしてだけではなく、チャンスメイカーとしての仕事に「も」より精を出すようになったラウール・・。

 この二人とのイメージコンビネーション(仕掛けコンビネーションでのシンクロ状態)は、ホントに安定してきていると感じる。もちろんラウールに与えられ たハイレベルな自由度は、彼の『高質な守備意識』が絶対的なベースだよ。ラルフ・ラングニックも、ラウールが持つ、攻守にわたって仕事を探しつづける「忠実な組織マインド」を理解しているからこそ、モティベーションとして、次の次元のプレーイメージを植え付けた!? さて・・

 そうだよネ〜〜・・ラウールが、あれだけ必死に、守備や攻撃に精を出すのだから、右サイドのファルファンだってサボるわけにゃいかない。だからこそ内田 篤人にしても、より強固な「確信」をもってオーバーラップしていける。そしてそれが、素晴らしい同点ゴールのアシストにつながった。まあ前半には、ラウー ルの先制ヘディングゴールになってもおかしくない、オーバーラップ&正確なラストクロスシーンもあったけれど・・

 やっぱり サッカーは究極のチームゲームなんだよ。内田篤人にしても、ラウールやファルファン(もちろん彼のオーバーラップをサポートする二人の守備的ハーフ も・・)という『イメージパートナー』がいなければ、攻守にわたって、決して、あれほどの確信レベルを放散する積極プレーを展開できるはずがないからね。

 内田篤人のブレイクスルーを観ながら、またまた、環境こそが人を育てる・・っちゅう普遍的なテーマに思いを馳せていた筆者だったのです。

 ところで・・これは、シャルケの関係者から聞いたハナシなんだけれど、内田篤人が目立ちはじめたころから、シャルケのトレーニングに足を運ぶ女性の数が 激増しているんだってさ。まあ・・さもありなん。エッセン(シャルケの隣町)に住む30年来の友人(女性)も、「ウッチ〜・・かわいいわよね〜・・」だっ てさ。あははっ・・

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 ということで岡崎慎司。

 スゴイネ〜〜・・、ホントに。彼が魅せつづける、攻守にわたる全力プレーも、まさしく、日本のアイデンティティー(誇り)に違いない。彼のプレー(強烈な闘う意志)は、確実に、日本への「元気のフィードバック」につながると思いますよ。

 もちろん、いつも書いているように、彼は天才じゃない。でも、だからこそ、人一倍の努力で「ここまで」上り詰めたことに対する敬意が自然と湧き上がってくる。何せ、「あの」ブンデスリーガで、それも名門シュツットガルトでレギュラーを張っているんだからね。

 この、アウェーでのケルン戦でも、彼の「意志」が迸(ほとばし)りつづけ、「1-3」というアウェー勝利に大いに貢献した。1.FCケルンは私のマイチームだけれど、ここでは、そんな情緒的な思いは脇に置いておこう。

 とにかく、攻撃から守備への切り替えが素早く、そして効果的。その守備アクションのなかで、爆発するような勢いで、率先してチェイス&チェックへ動く。まわりの味方は、そんな岡?の忠実な仕掛けディフェンスアクションをイメージ出来ているからこそ、効果的に、次のボール奪取コンビネーションを機能させられる。

 もちろん、チェイス&チェックをベースに、次の忠実なマーキングや(必要とあれば、味方守備ブロックまで追い越し、自軍ゴール前まで戻ったりする!)予測ベースのボール奪取アタックでも存在感を魅せつづける。

 味方は、いつも「サンキュー・・シンジ・・」なんて、心なかで声を掛けているに違いない。そんな絶大な信頼感があるからこそ、攻撃でも、岡?の「ボールがないところでのアクション」を積極的にイメージしようとする。だからこそ、スペースでパスを受けられる・・危険なコンビネーションの実効あるコアになれる。フムフム・・

 とにかく、岡?のボールがないところでの動きは突出している。とても忠実でクリエイティブ。だから、自身でパスを受けるだけじゃなく(そこからの確実なボールキープと、シンプルな展開パスも効果的!)、味方にスペースを作り出すことも出来る。そう・・タテのポジションチェンジの演出家として・・

 それにしても、岡崎慎司のボール絡みのプレーは、ボールキープにしてもパスにしても、はたまたスペースをつなぐドリブルや勝負ドリブルにしても、とても進化していると感じる。いや、もしかしたら、これまでの私の認識が甘かったのかもしれない。

 ・・もしかしたら、以前から、岡崎慎司のボールがらみのプレーは、常に「このレベル」にあったのかもしれない・・でも、あまりにも決定的スペースを攻略するボールなしのプレー(決定的フリーランニング)が目立ち過ぎていたから、そんな高質なボール絡みプレーの印象が薄くなってしまったのかもしれない・・さて〜〜・・

 それにしても、こんなに良いプレーを展開し、多くのチャンスシーンに絡みつづけている岡崎慎司が、まだ移籍後ノーゴールというのは解せない。

 この試合でも、前半には、二つの「ニアポスト勝負シーン」と、一つの抜け出し&スルーパス&ドリブルシュートというチャンスシーンで主役を張り、後半も、絶対的ゴールチャンスだったヘディングシュート場面や、タテパスを巧妙にコントロールすることで相手マーカーを置き去りにし、最後はドリブルシュートで締めた場面も演出した。

 にもかかわらず、「まだ」ノーゴール。さて〜〜・・。まあ、このプレーをつづけていれば「あとは時間の問題・・」ということなんだろうけれど、それでもネ〜〜・・。ちょっとツキに見放されているのが気に掛かる。

 とにかく、ガンバレ〜〜・・岡崎慎司〜〜・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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