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2010_ナビスコ準々決勝・・小笠原満男が退場になったときは、アントラーズの勝利を確信したモノだった・・(FRvsA, 3-1)・・(2010年9月8日、水曜日)

昨日の日本対グアテマラ戦と同様に、この試合も、所用が重なったことでテレビ観戦ということになってしまいました。でも、特に今日のゲームは、後半からでもスタジアムに行けばよかった・・

 ・・後半29分に、アントラーズ小笠原満男が二枚目のイエローで退場になった・・そして、アントラーズのやるべきサッカーが明確になった・・守備ブロックを固め、ボール奪取からのチャンスに、トップに一人残ったマルキーニョスへ一発カウンターロングパスを送り込む・・

 ・・それだけじゃなく、後半に登場した牛若丸(中村憲剛)も、うまくゲームに乗っていけない(彼のところにボールがうまく集まらない)・・たしかにゲームは支配しているフロンターレだけれど、最後の勝負所では、まったくアントラーズ守備ブロックを振り回せないし、背後スペースも突いていけない・・そして前へ重心が掛かり過ぎた状況で、(比較的)高い位置でボールを失い、危険な一発カウンターパスを通されてしまう・・

 そんな展開を観ながら・・これは、もう、アントラーズの独壇場だな・・何といっても、彼らのディフェンスでの集中力は超一流だから・・そう、ボールがないところでの「想像力」豊かなカバーリングや忠実マーキングがね・・なんて思っていた。

 そして案の定、まさに、アントラーズのツボっちゅう展開になっていくわけです。

 そうだよな〜・・こんな展開になっていくよな〜・・フロンターレは、しっかりとサイドから仕掛けているし、たまには効果的なクロスを送り込んではいるけれど、何といっても、アントラーズの守備でのポジショニングバランスは秀逸だからな〜〜・・なんてコトを思っていた矢先の後半33分のことです、コトが起きたのは。牛若丸の爆発ミドルシュート・・

 それは、ビックリすることに、小笠原満男が退場になってから、たった四分後のことでした。印象的には、小笠原満男のレッドカードから、既にかなりの時間が経過していた・・というものだったのですよ。何故・・つて!? はっきりは分からないけれど、前述したような「アントラーズのツボ」っちゅう展開になっていったからかもしれないね。何せ、「先」が明確に想像できたからネ・・

 その勝ち越しゴールシーンは、まさに唐突に、テレビ画面上に映し出されました。

 その瞬間、ホントに何が起きたのか分からなかった。ゴールを奪ったのが、それまで「消えて」いた牛若丸だったということもあるしね。ホント、ビックリさせられた。こちらはテレビ観戦だから、憲剛がテレビ画面に入ったと思ったら、次の瞬間には、ボールがアントラーズゴールの左隅に吸い込まれていたんですよ。スタジアム観戦だったら、スルスルと(まさに影のように!?)ポッカリと空いたヴァイタルゾーンへ押し上げていく牛若丸が見えていたはずだけれど・・

 本当に見事な、キャノン中距離ダイレクトシュートでした。公式のアシストは、ジュニーニョなんだろうけれど、まあ、相手の足に当たってこぼれたボールを(ケンゴが)叩いたから、ある意味、偶発的な出来事ともいえる。だからこそ、唐突な瞬間だったのでした。フ〜〜・・

 そして、そこからのフロンターレは、勝ち点とゴールで全くイーブンに追い付いたことで焦りがなくなり、本当の意味で、数的に優位な状況が心理的にポジティブに作用しはじめた。だから、もう、イケイケ。要は、攻守にわたって「足が半歩前へ出る」っていう感じ。

 もちろん、そんな「イケイケの雰囲気」は、サポートの動きを活性化する。だから、不用意にボールを失わないし、ボールがないところでの活発な動きによって、より効果的にスペースを活用できるようになっていくのです。

 そして、これまた唐突に「決着」がついてしまうのです。右サイドで、タテに何度かボールを動かし、最後にはヴィトール・ジュニオールがタテへドリブルで突っ掛けたことでアントラーズ選手の動きを止め、最後は、丁寧なバックパスを田坂祐介へ返し、そこから、ゴール正面ゾーンへ、正確なクロスボールが飛んだ。

 そして最後の瞬間は、谷口博之が、オーバーヘッド気味にボールに触り、そこでこぼれたボールを、ヴィトール・ジュニオールが叩き込んだ。(二試合通算での)決勝ゴ〜〜ル!!

 このシーンでのヴィトール・ジュニオールは、田坂祐介からのクロスを自分が触ろうとして突っ込んでいった。でも彼がシュートする直前に谷口博之が触った。ただ次の瞬間、ヴィトール・ジュニオールは、走り込んだ勢いのまま、決定的スペースへ走り抜けていたのですよ。そして、その一連のプレーが、まさに偶発的に、「美しいイメージシンクロ最終コンビネーション」を成立させてしまったというわけです。

 ・・谷口博之のオーバーヘッド気味の「パス」が、自分とアントラーズ守備陣のアタマを越える・・それを「見越した」ヴィトール・ジュニオールが、後方から、ベストタイミングで、アントラーズ守備陣のウラに広がる決定的スペースへ飛び出し、まったくフリーでシュートした・・

 もし、そうだったとしたら、そのシーンは、世界のサッカーシーンに残るスーパーゴールだったよね。

 でも実際は、ロジカルに分析すれば、明らかな偶発ゴール。それでも、谷口博之の、どんなことがあっても、まず自分がボールに触ってやる!という執念と、ヴィトール・ジュニオールの忠実な走り込み(強烈な意志)が重なり合った美しいゴールだったことも確かな事実。だから、執念と強烈な意志が生み出した「半分以上は必然要素に支配された!?」ゴールだったとも言える・・と思うわけです。

 とにかく、素晴らしい勝負マッチではありました。アントラーズの勝負強さが、一敗地にまみれたゲーム。でも・・まあ・・こんなコトもあるさ・・

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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