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2010_J2_・・「ハーフナー・マイクという現象」が引き起こした(!?)信じられない神様ドラマ・・(横浜FCvsヴァンフォーレ, 3-4)・・(2010年5月2日、日曜日)

信じられない大逆転ドラマだった。さて、何をどうやって書こうか・・。

 まあ、やっぱり、ハーフナー・マイクの、チームメイトに勇気と確信を与える存在感(実効プレー)と、それを出来るかぎり活かしていこうとするヴァンフォーレの仕掛けの勢いを抑制しきれなかった横浜FCの守備というテーマですかネ・・。

 ゲーム展開を、「ハーフナー・マイク」というテーマがスタートするところまで(要は前半を)流れだけ簡単に表現すると、こんな感じになりますかネ・・

 ・・まず横浜FCが、前半20分までに、あれよあれよという感じで三ゴールを挙げ「3-0」という大量リードを奪ってしまう・・先制ゴールは、飛び出してきたヴァンフォーレGKの信じられないキックミスに乗じてボールを持った大黒が、見事なフェイントで持ち込み、最後は、フリーで走り込んできた寺田紳一にラストパスを通したというモノ・・次の二点目、三点目は、いずれもコーナーキックからの見事なダイレクトゴール(特に、二点目シーンでは、ゴールを決めた大黒が、ニアポストで器用にボールを流し込んだのが印象的!)・・この時点で、誰もが横浜FCの勝利を信じて疑わない・・それほど横浜FCは、それまでの時間帯でも、そしてその後も、とても立派なプレーで、状況に応じた効果的サッカーを展開できていた・・そして、前半の44分・・

 ・・そこで、ヴァンフォーレにコーナーキックが与えられる・・もちろんゴール前では、両チームの選手が、身体全体をつかって「せめぎ合い、揉みあっている」・・一方は、相手マークを振り払おうと・・そしてもう一方は、決してフリーにさせじとハードマークをつづける・・そして蹴られたコーナーキックを、横浜FCの選手がクリアしたとき、レフェリーのホイッスルが鋭く響いた・・PK!!・・たしかに、ヴァンフォーレのダニエルは、相手に掴まれていたけれど、彼自身も手を使っていたし押してもいた・・微妙だね・・まあ、コメントは控えよう・・

 そして後半、ハーフナー・マイクが登場してきたというわけです。彼が、とても良くなっているということは聞いていた。でも、これほどとは・・

 後半も、横浜FCは、十分にダイナミックで自信あふれるサッカーで立ち上がった。誰もが、横浜FCの勝利を信じて疑わないという状況に変化なし。しかし・・

 後半の9分あたりのこと。右サイドを駆け上がったハーフナー・マイクに、ロング・クロスが送り込まれる。このシーンでは、横浜FCのGK大久保択生がしっかりとキャッチしたけれど、そのスポットにダイナミックに飛び込んでいったハーフナー・マイクが演出した「レベルを超えた雰囲気」は、ヴァンフォーレ選手たちの意識を「覚醒」したに違いない。

 ・・そうだ・・マイクだ・・ロビングでもタテパスでも、ヤツにボールを供給すれば、必ず何か起きるはずだ・・それは、チャンスにつながるゾ!・・

 そして、その20秒後、左サイドでタテパスを受けたハーフナー・マイクが、そのままマークを振り切り、ゴール前へ素晴らしいグラウンダーのラストクロスを入れるのですよ。飛び込んだのは、片桐淳至。彼は、ハーフナー・マイクがしっかりと折り返すと確信していたのです。そう・・覚醒パワー・・。それは、まさに絶対的なシュートチャンスでした。でも片桐は、微妙にキックミスを犯してしまう。また、その一分後には、金信泳が、絶妙なボールコントロールから、決定的なフリーシュートを放つ(僅かにバーを越えた)。フムフム・・

 その数分間で、ヴァンフォーレ選手たちの「心理的な確信レベルと実際のプレーダイナミズム」が大きく増幅しはじめたと感じていたのは私だけではなかったはずです。そして、その一分後。そんな、両チームの「心理的なパワーシフト」が実際のゴールにつながってしまうのです。ハーフナー・マイク・・

 左サイドでボールを持ち、自信をもって突っ掛けていく金信泳。横浜FCの守備ブロックは、ズルズルと下がり、全員の視線と意識が、金信泳のドリブルに引き寄せられている。

 そして最後は、金信泳が、意識と視線をフリーズさせられた横浜FCディフェンダーのスキ間をぬうように、まったくフリーで後方から上がってきたハーフナー・マイクに、置くようなラスト横パスを通したという次第。そのときのハーフナー・マイクのプレーは見事の一言。横パスを、一発で、次のシュートポジションへ「運び」、そのまま正確なシュートを決めた。これで「3-2」。横浜FCのリードは「二点」ということになった。フムフム・・

 その後は、徐々に横浜FCの足が止まりはじめ、それに伴って、ヴァンフォーレの運動量がアップしていく。もちろん、ヴァンフォーレの守備の機能性が充実していったことは言うまでもありません。

 たしかに、横浜FCの守備が崩壊したというわけではありません。ゲームを支配され、攻め込まれ、ハーフナー・マイクを中心に(パスを送られた彼の周りに、常に、三人目、四人目の味方がサポートすることで)仕掛けのカタチを作り出されたり、後半25分には、ヴァンフォーレ右サイドバック吉田豊のスーパードリブル&ラストパスから、ハーフナー・マイクに決定的なシュートを打たれもした(またその三分後にも、チームのイメージが統一されたような大きなタテパスを胸でトラップしたハーフナー・マイクが、見事な反転からギリギリのシュートを放った=僅かに右ポストを外れた!!)。それでも横浜FCは、最後の最後のところで、持ちこたえていたのですよ。しかし・・

 最後の時間帯は、横浜FCも、選手交代などで勢いを少しは吹き返していった。たしかに、追い付きたいヴァンフォーレが、全体的にはゲームを支配してはいるけれど、後半の半ばあたりのような決定機を作り出すというところまで行ける雰囲気は消え失せていた。

 まあ・・これでゲームは、横浜FCのモノだな・・彼らはよく闘った・・よく頑張った・・なんて思っていた矢先のことでした。後半44分。ヴァンフォーレのフリーキックのシーン。そこで、ハーフナー・マイクが、彼をマークしていた横浜FCのセンターバック金裕晋に倒されたのです。ペナルティーエリアのなか・・

 帰宅して、そのシーンを確認した。まあ、金裕晋は、ハーフナー・マイクを完全に身体で押さえている。たしかにハーフナー・マイクも、フリーになるために動こうとしていた(金裕晋のマークを、力ずくで振りほどこうとしていたし、そのために金裕晋に身体を預けて押し返してもいた!)でも、最後は「不運な見え方」になってしまった。金裕晋が、完全にハーフナー・マイクを身体で押さえ込んで一緒に倒れた・・。もちろん、そんな「全身のせめぎ合い」のなかで、そのエネルギー利用してハーフナー・マイクが「わざと倒れた」という見方が出来るかもしれない。またまた微妙だね。さて・・

 その二分後にヴァンフォーレがコーナーキックから挙げた決勝ゴールは、何か、夢の中の出来事のように感じましたよ。神様のドラマ・・

 何か、 あまりにもドラマチックな展開だったことで(!?)ゲーム展開を追いかけるだけのコラムになってしまったようにも感じます。このコラムのテーマは、あくまでも、「ハーフナー・マイクという現象」が引き起こした大逆転ドラマというもののハズですが・・あははっ・・

 これから私は、味スタへ行きます(ヴェルディ対鳥栖)。テーマがあったら後ほどレポートしますので。

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 お知らせですが、きたる5月3日の月曜日。NPO法人横浜スポーツコミュニケーションズ(ヨココム)が主催する「湯浅健二の独演会」が、昨年につづいて開催されることになりました。テーマは「岡田ジャパン」・・まあ、「日本人はなぜシュートを打たないのか?」っちゅうテーマにも入っていかざるを得ない!? さて・・。詳しくは「ここ」を参照してください。

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 ところで、三年ぶりに新刊を上梓しました。4月14日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定したらしい。フムフム・・。タイトルは『サッカー戦術の仕組み』。池田書店です。この新刊については「こちら」をご参照ください。

 




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