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2010_ACL・・アントラーズは、質実剛健な「補強」をしたネ・・(アントラーズvs長春, 1-0)・・(2010年2月23日、火曜日)

そんなことはほとんどないのですが、熱を出してしまい本調子ではありません。まあ、ファーストインプレッション的にだけでもコラムをアップしておこうと、キーボールドへ向かった次第。

 まず、オズワルド・オリヴェイラ監督が「強く!?」獲得を希望したフェリペ・ガブリエル。マルキーニョス同様、攻守にわたる徹底したチームプレーと「天賦の才を表現する方法」が、素晴らしく高いレベルでバランスしているに違いない!? さて・・

 この試合には、本山雅志(ケガ)と小笠原満男(出場停止)がいません。アントラーズは、小笠原の才能を活かしていくという方向性「も」含めてチーム戦術イメージを作り上げたグループです。究極の組織プレーを志向する日本代表チームでは、その、攻守にわたる「汗かきプレーの量と質」が足りないことで、うまくフィットしなかったわけだけれど、アントラーズは事情が違う。チーム全体が、彼の才能も(自分たちのためにも!)活かし切ろうという意志で統一されているわけです。

 まあ、それぞれのチームが置かれた立場の違いということだね。日本代表は、オランダやカメルーン、そしてデンマークという世界の強者と対峙しなければいけない・・それに対してアントラーズが相手にするのは、あくまでもドメスティックレベル・・。

 小笠原満男が素晴らしい才能に恵まれていることは誰の目にも明らかだけれど、世界トップの強者どもと相対しても「その個の才能が、実際の価値を発揮できるのか?」というテーマについては、ネガティブな評価の方が先にくるよね。ドリブルで「常に」相手を置き去りにできるわけではない・・中盤で仕掛けの起点になったときでも、相手守備ブロックの視線と意識を引きつけてしまえるようなリスキーな「タメ」を演出できるわけでもない(結局は逃げのキープへ落ち込んでしまう)・・

 あっと・・小笠原満男について語りすぎた。彼については、東アジア選手権のコラムも参照して下さい。

 さて試合。前述したように、仕掛けの「核(イメージクリエイター)」を欠くアントラーズ。前半は、とても仕掛けの流れが「鈍重」だった。だから長春に、何度か危険なショートカウンターを繰り出された。とにかく誰もリスクにチャレンジしていかない・・周りのフリーランニングも出てこない・・だから仕掛けの流れが加速していかない・・

 ということで、ここから本山雅志のハナシに入っていくわけです。そう、まず人が動くことでボールの動きを引き出し加速させる汗かきプレー。そのリーダーが本山雅志だからね。パスを呼び込むフリーランニング・・そのことで活性化される全体的な「動き」・・っちゅうわけです。もちろん、小笠原満男の仕掛けプレーをカバーする組織ディフェンスでも大車輪の働きを魅せつづける。

 もちろん本山雅志の場合、マルキーニョス同様に、サッカーではディフェンスが全てのスタートラインだという根源的なメカニズムを良く分かっている。彼が魅せつづけるチェイス&チェックこそが、アントラーズの攻守にわたる「全体的な動き」を加速させているのですよ。小笠原満男にしても、本山雅志の攻守にわたる汗かきプレーがあるからこそ、その『独特な勝負プレー』を行使していける。

 そしてフェリペ・ガブリエル。良かったですよ。何度か、素晴らしいチェイス&チェックを魅せてくれたし(何度か美しいボール奪取も魅せた)、タテのスペースへ決定的なフリーランニングを仕掛けた状況で、実際にはパスが回されてこなくても、不満な顔など見せずに次のプレーへ向かっていった。でも、マルキーニョスと比べたら、まだまだ個の勝負での「危険度」が低い。見ていても、まだ何となく自信なさげにプレーしていると感じるのですよ。

 まあ、日本でのプレーに慣れてくれば、自信レベルの高揚に伴ってプレーが良くなっていくこと太鼓判だね。彼のプレーには、その絶対的なベースである「意志」を感じるのですよ。意志さえあれば、おのずと道が見えてくる・・。サッカーはホンモノの心理ゲームだからね。

 あっと・・。アントラーズのその他の新戦力。左サイドバックのジウトンも、もちろん(さまざまな意味を内包する)良い選手だけれど、何といっても、韓国代表のセンターバック、イ・ジョンスを獲得したことが大きい・・とても大きい。

 素晴らしい選手ですよ。センターバックに必要とされるモノでは、局面での競り合いの強さ(相手からボールを奪い返すチカラ)は大前提として、何といっても「アンティシペーション(読み能力)」が挙げられます。彼の読みは、本当に素晴らしい。また適度にハードでもある。後半になってアントラーズが安定した試合運びが出来るようになった背景には、イ・ジョンスのチカラ「も」あったと思います。

 もしかしたらアントラーズは、イ・ジョンスの加入によって楽に4連覇を達成してしまうかもしれない・・とまで思えてくる。とにかく、アントラーズの素晴らしい補強に(オズワルド・オリヴェイラ監督と、彼を支える素晴らしいマネージメントに)拍手をおくっていた筆者でした。

 フロンターレが(アウェーで)城南一和に「2-0」負けた試合については、明日レポートするかもしれません。まだ風邪から完全にリカバリーできていないもので、コンテンツの発展&深化アイデアがわき出してこない。ということで、今日はここまでにします。

 




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