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2010_UCL・・バルセロナ・・天才たちが、攻守にわたる組織プレーでも踊りつづける・・(バルサvsシュツットガルト, 4-0)・・(2010年3月18日、木曜日)

そうだよな〜〜・・いまのバルセロナとシュツットガルトには、自分の思い入れも含めて、興味を惹かれるテーマが山積みだからな〜〜・・

 UEFAチャンピオンズリーグ、バルセロナ対シュツットガルトの勝負マッチを観ながら、ちょっと創作意欲をかき立てられ、キーボードに向かうことにした次第なのです。

 他のUCLやACLのエキサイティングマッチについては、面白かったし、様々な学習テーマもあったけれど、結局は「テレビ観戦だけで過去のゲームへと過ぎ去ってしまった・・」という体たらくでした。フ〜〜・・。でもこのゲームだけは(もちろん昨日の、本田圭佑が活躍したゲームは別枠だったけれどネ・・)、わたしのHPにコンテンツ(テーマ)記録しておいた方がいいなって直感的に思い、自然とキーボードを(というか・・ラップトップだから、コンピュータ本体を)引き寄せて書きはじめていたというわけです。

 バルセロナには「組織プレー」とか「美しさと勝負強さのバランス」とか、戦術的なテーマが満載だし、昨年12月に就任したクリスティアン・グロス監督が率いるVfBシュツットガルトの復調というテーマもあるし・・まあ、VfBシュツットガルトには、個人的な思い入れもあるからネ・・。

 VfBシュツットガルトだけれど、ドイツの名将クリストフ・ダウムが率いたこともあって(クリストフは私の旧友であり、彼の指揮の下、1991-1992年シーズンにリーグ優勝を果たした)、私にとって、とても近い存在なのですよ。クリストフがリーグ優勝したときは、私がドイツ留学中に受講したプロサッカーコーチ養成コースで同期だったローラント・コッホも、ヘッドコーチとして活躍していたし(そのときはギド・ブッフヴァルトもキャプテンだったっけ)、私も何度もドイツへ足を運んでリーグ優勝までのプロセスを体感したからネ。

 そのVfBシュツットガルトが「あの」バルセロナと勝負する・・。バルセロナについては、私の新刊(4月上旬に上梓予定)の骨子の一つである「5秒間のドラマ」でも多く取りあげた。バルセロナは、サッカー内容でも素晴らしいコンテンツを魅せつづけているから、そのコノテーション(言外に含蓄される意味)を分かりやすく記録しておきたいと思ったわけです。

 そんな二チームの勝負マッチ・・。そりゃ、気持ちが入るのも当然でしょ。この参加(当事者)意識がいいんだよね。まあ、一ファンとして観ていただけかも・・あははっ・・

 VfBシュツットガルトのクリスティアン・グロス監督だけれど、ご存じのように、彼はスイスのFCバーゼルで名を上げたサッカー監督です。そう、アントラーズに復帰する前に、中田浩二が活躍していたクラブ(もちろん、この二人の在籍期間は重なっています)。わたしも、バーゼルからドイツ国内を少し北へ上がったフライブルクで開催された、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟が主催する国際会議で話したことがありましたね。なかなか歯切れのよい理論家ですが、そこで感じられたポジティブなパーソナリティーからすれば、クリスティアン・グロスは、心理マネージャーとしても、かなり優秀だと確信させられたモノです。

 そのクリスティアン・グロスが、昨年12月、今シーズン絶不調に陥っていたVfBシュツットガルトの新任監督に就任したのですよ。そして、クラブが上げ潮に乗った。ブンデスリーガだけじゃなく、UCLでも存在感を発揮する。バルサとの第一戦でも、とても質実剛健な(決して受け身に守るだけではない)積極サッカーで、立派に引き分けた。

 ということで、楽しみにしていたこの試合。結局は「4-0」でバルサの圧勝という結果になったわけだけれど、メッシが、これぞ天才! という先制ゴールを挙げるまでは、ものすごく興味深い「動的に均衡した勝負マッチ」だったのですよ。

 でも結局は、二チームの間に厳然と存在する「明確な差」を体感させられた。それは、やはり・・というか、個人が秘める才能を、『組織プレー的に積み上げ』たモノの量と質の差・・というポイントに集約されるのかもしれないね。要は、優れた組織プレーを展開する両チームだからこそ、最後は、個のチカラが勝負を分けたということです。

 もちろん、個の才能が「ブツ切りで散見される」ようなチームだったらハナシにならないけれど、バルセロナの場合は、天才連中が、攻守にわたる汗かきにも精を出すのだから手に負えない。そう、組織プレーと個人プレーのハイレベルなバランス。だからこそ私も、オランダ代表チームと並んで、拙著で多く取りあげた。

 また、だからこそ今シーズンのバルセロナには、ズラタン・イブラヒモビッチという「異質なタイプの天才」が加入してきたことによって様々な「問題」が浮上してきたというテーマも内在しているというわけです。ズラタンは、(まだ!?)守備はあまりやらないし、攻撃でも、(自分がパスをもらうとき以外は)ボールがないところで動かないからネ。

 でも、ここ1-2週間のバルセロナのサッカーには復調の兆しが感じられるようになってきた・・と思う・・。

 たぶん(クラブのマネージメントも含む)チームのなかで、ズラタン・イブラヒモビッチのプレーイメージ内容が、まだバルサのサッカーにフィットしていない(あまりにも個人プレーを前出しし過ぎる≒前後分断気味のイタリアでのプレーイメージにまだ支配されている!)ことと、これからズラタンとの共同作業を、どのようにもっていくのがいいのかという方向性のニュアンスについて「理解」が共有されはじめたということなのかもしれないね。

 もちろんズラタンを「追い出す」というわけじゃなく、チームメイトたちも、彼の才能を「もっと」うまく活用できるように(彼に対する説得も含めて!?)協力しているということです。だから、グアルディオラも、イブラヒモビッチを、問題なくベンチに置くことも出来るようになった!? フムフム・・

 この試合でも、ズラタン・イブラヒモビッチは、ベンチからのスタートだった(ブスケッツの負傷で交代出場)。そしてピッチで踊った攻撃陣は、アンリ、ペドロ、メッシ・・。彼らを支える中盤のベースに、ブスケッツ、イニエスタ、トゥーレ・ヤヤ(シャビは不在・・)。そして、彼らが(まあ・・アンリは除いて!?)守備に「も」躍動するのですよ。

 言うまでもないけれど、バルサの素晴らしさの源泉は「守備」にあり・・なのです。彼らが展開する組織ディフェンスは、素晴らしい「積極プレッシング」というイメージ。イタリアのように、まず「ディアゴナーレを」なんていうのではなく、とにかくチェイス&チェック、チャレンジ&カバーを「ダイナミック」に積み重ねていくのですよ。

 だから、自然と、常に「トライアングル」が形作られている。もちろん彼らは、三角形をつくろうとしてボール奪取勝負を仕掛けているのではなく、あくまでも「守備のグループ戦術的なメカニズム」をしっかりと機能させつづけているだけなのです。カタチではなく、あくまでも「守備の目的」を、積極的&効率的&効果的に達成するというイメージ・・ということでっせ。

 繰り返し、メッシやペドロが、素早い攻守の切り替えをベースに「爆発チェイス」からのアタックでボールを奪い返してしまうシーンを見せつけられる。だからこそ、必殺のショートカウンターが抜群の実効レベルを魅せつづける。フムフム・・

 書きたいことは山ほどあるのですが、これからミーティングへ行かなければなりません。後で、またビデオを見直してから書き足すかもしれません。では・・

 




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