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2007_なでしこジャパン・・実力が熟してきた(韓国アン監督)なでしこジャパン・・日本vs韓国(6-1)・・(2007年6月3日、日曜日)

まあ、圧勝という表現が当てはまる「なでしこジャパン」の勝利でした。チャンスメイクだけではなく、したたかに、そして自信をもって、着実にゴールも決めてくれたという意味合いも含めてね。

 日本が、あれだけスムーズにウラのスペースを突いていけるのだから、実力の差は推して知るべし。ここでいう実力差とは、もちろんアタマに描写される仕掛けイメージの次元の違いという意味です。「勝負はボールのないところで決まる」という絶対的コンセプトを、心地よいほど見事にグラウンド上に投影してくれたなでしこジャパン・・ってなところですかね。

 人とボールの動き(組織プレー)の次元が高い日本代表ということなのだけれど、もちろんその「動きのイメージ」はチームの全員がシェアしています。だからこそ、いつスペースへ飛び出すのか・・いつスペースパスを供給するのか・・というコンビネーションイメージがしっかりとシンクロしているし、そのタイミングの次元も高いのです。

 逆に言えば、だからこそ守備の次元も高いということになります。ブラジル人ディフェンダーの実力が高いのは(まあ守備ブロックのコンビネーションについてはケースバイケースだけれど・・)、素晴らしく強力な攻撃下があるから・・というわけです。

 まあ、日本が想定するライバルは、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、アメリカ、中国、北朝鮮、ブラジル(最近めきめきとチカラを付けているそうな)といったところだからね。韓国のアン監督も、日本の大橋監督も異口同音に言っていたけれど、やはり経験の差ということが決定的に大きいんだろうね。日本は、メキシコとの厳しい勝負マッチを勝ち抜いただけではなく、その後にも北欧の強豪国ともフレンドリーマッチをこなしているからね。そこで蓄積された自信は、かけがえのないものです。

 チーム戦術的なポイントを一つだけ取り上げましょう。それは、両サイドからの仕掛け。

 この試合で大橋監督はフォーバックを選択しました。そして、その両サイドに、ガンガンと攻め上がらせた。もちろん相手が(実力の劣る!?)韓国ということもあったんでしょうが、それにしても、ゲーム戦術的な意図が見事にツボにはまりつづけ、サイドからの攻めが抜群に危険なウエポン(武器)として機能していました。要は「ツーバック」がうまく機能していたということです。

 興味をそそられたのは、左サイドに起用した柳田。彼女は、サイドバックが本職ではなく、所属チームの浦和レッズではゲームメイカーとしい素晴らしい存在感を発揮している選手だからね。そのことを質問された大橋さんは、「サイドバックのポジションは非常に重要なタスクを持つ・・守備だけではなく、ビルドアップやそこからの仕掛けも効果的にこなせなければならない・・ただ、そのポジションには適当な選手がいない・・ということで他のポジションからコンバートした・・」と答えていました。それほど大橋さんは、サイドバックが起点になった組み立てと仕掛けを重要視しているということです。そして本当にそれがまうく機能した。いや、素晴らしい。

 そこでは、両サイドハーフの宮間と酒井が、近賀と柳田の両サイドバックを縦へ送り出していた(サイドバックとの縦のポジションチェンジ)。要は、両サイドで、明確なコンビが組まれ、攻守にわたって協力していたということです。

 ところで「ツーバック」システム。もちろん、守備的センターハーフの宮本が、前気味リベロとして最終ライン(ツーバック)をうまくサポートしていたけれど、それにしてもなかなかのコンビネーションでした。まあ、相手が、チカラの劣る韓国だったということもあったんでしょうがね。もちろん、相手が強くなったらスリーバックのダブル守備的ハーフということにするのだろうけれど、それでも、サイドを起点にして仕掛けていくというイメージは変わらないだろうね。なかなか良いですよ。

 この試合でも、最前線の荒川と大野にタテパスを出し、そこに澤が絡んでいくことで相手ディフェンスブロックを中央へ寄せ、そこで空いたサイドのスペースを気持ちよく突いていった。右サイドの近賀(後に安藤)、そして左の柳田。彼女たちをサポートする宮間と酒井(後に伊藤)のサイドハーフ。もう一度書くけれど、本当に素晴らしいコンビネーションでした。

 日を置かずに韓国で行われるリターンマッチ(アウェーゲーム)も楽しみになってきた。そこでは、もっと様々な戦術的テーマにチャレンジして欲しいものです。

 




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