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2006_ワールドカップ日記・・イングランドも初戦を飾れて良かった・・ところで、「予選C組」はとんでもない死のグループだぜ・・(2006年6月10日、土曜日)

この試合を観ながら、思わず、先日おこなわれたジャマイカとのテストマッチについて書いたレポートを読み返していた湯浅です。そして思ったものです。「そうか、あの試合では、イングランドが大勝したこともあったから、ジャマイカを相手にしても流れのなかでうまくチャンスを作り出せないというニュアンスを削ったんだっけな・・それで、ベッカムの魔法の右足やクラウチのこと、そしてジェラードとランパードの本物ダブルボランチなどのポジティブ要素ばかりに焦点を当てたんだっけ・・」。

 とにかく、ワールドカップ初戦のイングランドは、全体的に「足りない内容」だったと言わざるを得ないのですよ。まあそれには、試合開始早々の前半4分に、パラグアイ守備の重鎮であるガマラの自殺点でリードしてしまったということもあったに違いありません。だから、ランパードとジェラードの押し上げも、徐々に「安全重視の注意深い」ものになっていき、全体的な仕掛けのエネルギーが減退していった・・。

 このイングランドチームの場合、とにかくランパードとジェラードが積極的に絡んでいかなければ、仕掛けプロセスが上手く機能しないと思うのですよ。ものすごいドリブラーがいるわけじゃないからね。あっと・・ホントはいるんだけれど、オーウェンはケガ明けで本調子じゃないし、全快プロセスにあるルーニーはまだベンチを温めているといった状態。そんなだから、ベッカムの魔法の右足に頼ったり(流れのなかでの、イメージが明確にらシンクロナイズしたクロス攻撃や、ものすごく危険なセットプレーといった)、ランパードとジェラードの中距離&ロングシュートに頼るようになっていくというわけです。

 こういうことがあるから、ウェイン・ルーニーという天才は諸刃の剣なんだよね。彼がいて、ドリブル突破という攻め手もあるというイメージが選手のなかに明確に残っているはずだからね。それが急になくなってしまうと、その後の応用が寸詰まりになってしまう。

 それにしてもパラグアイは立派なゲームを展開しました。なかなか良いチームですよ。例によってカッチリと堅牢に機能する守備ブロックを基調に、蜂の一刺しのカウンターを仕掛けていく。アクーニャ、バルデス、サンタ・クルーズといったスターが注目を集めるけれど、この試合では、パレーデスが素晴らしいプレーを展開しました。クレバーでハードな守備をベースに、攻撃の最終ゾーンまで攻め上がって(ものすごく強力な!)イングランド守備ブロックのバランスを崩したりする。イングランドの堅牢ディフェンスブロックが、パレーデスの「後方からの侵入」によって何度もバランスを崩しそうになったからね。負けはしたけれど、彼等も、トーナメント進出への大きな可能性を残していますよ。

 書き忘れたけれど、イングランドの守備ブロック。最終フォーバックと、(左から)ジョー・コール&ジェラード&ランパード&ベッカムで構成される中盤ラインによる組織守備は、特筆ものの堅牢さです。やはりイングランドは守備ベースのチームだということです。そんな彼らの素晴らしいディフェンス機能性を観ていて、やはりドイツも、ダイヤモンド型ではなく、フリングスとバラックのダブルボランチを基盤にするのがいいよな・・なんてことを思っていた次第。もちろん両サイドハーフのシュヴァインシュタイガーとシュナイダーの「シュ・シュ・コンビ」は、言われなくても全力でボール奪取勝負に絡んでくるからネ。フムフム・・

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 後でスウェーデンとアルゼンチンについても簡単にリポートする・・なんて書いたけれど、アルゼンチン対コートジボワール戦がセンセーショナルな内容になったから、そちらを中心にショートレポートすることにしました。

 アルゼンチン対コートジボワール。両チーム共に、フィジカル、技術、戦術、そして心理・精神的に、ものすごくハイレベルなサッカーを展開したのですよ。特にコートジボワールが展開した、モダンでスピーディーな攻撃サッカーには本当に驚かされた。ダークホース? いやいや、ドログバがアフリカ予選を突破したときに言った、「これで晴れてワールドカップ取りにいける」という発言に対して微笑んだ人々も(まあ私もその一人だったわけだけれど)、このサッカーを見せられて寡黙になったことでしょう。そのサッカーをランダムにまとめると「下記のような感じ」になりそうです。

 素晴らしいテクニックと素晴らしい組織プレーイメージ・・まさに、個人プレーと組織プレーが、これ以上ないという高いレベルでバランスしたサッカー・・だからこそ、彼等本来のスピードやフィジカルの強さが存分に活かされる・・2002年のセネガルを上回る、アフリカ発のモダンサッカー・・

 ・・もちろん選手たちは、例外なくヨーロッパのクラブで活躍している・・そんなコートジボワールのサッカーを見ていて、ヨーロッパにおけるプロサッカー市場の開放が、世界的な規模でサッカーの内容を「収斂」させていると感じる・・要は、ヨーロッパのプロサッカーに、世界中から優れた選手たちが集まっているということ・・サッカーにおける情報化と(選手移動も含む)国際化の波は、既に「第二、第三段階」に入ったということか・・こうなったら、生理学的な意味も含むフィジカル能力で世界一のアフリカが、本当に世界を席巻してしまう日も近いと思えてくる・・以前は、彼等のような社会体質(社会文化)だったら、世界を席巻することは考えられないといった捉え方が主流だったけれど、既に選手たちのなかにはヨーロッパ文化が深く浸透していることを考えれば、本当に近いうちに・・フムフム・・。

 そんなコートジボワールにタジタジのアルゼンチンだったけれど、そこは、百戦錬磨の強者たちですからね。しっかりと守備を固めることで「チャレンジャーの爆発エネルギー」をしっかりと受け止め、カウンターやセットプレーで応酬していくのですよ。そして、試合の流れや内容からしたら、まさに「したたか」という表現がピタリと当てはまるチャンスを作り出し、実際にゴールまで奪ってしまうのです。リケルメのスーパーフリーキックからの、クレスポの粘りの先制ゴール。そして、一瞬のスキをリケルメが突いた(リケルメのスルーパスとサヴィオラのフリーランニングが、素晴らしいタイミングでシンクロナイズした)追加ゴール・・。

 試合巧者のアルゼンチンという印象が強く残った試合だったけれど、後半の展開には、かなり興味深いものがあったと思っている湯浅なのです。2点をリードされたコートジボワールが、前半のような勢いを持続できず、徐々にアルゼンチンにペースを握られはじめたのですよ。「あ〜あっ、やはりこれが限界なのかな・・ペース配分なんて必要ないけれど、心理・精神的な持久力とか、したたかさとか、チャンスを待つ忍耐力とか、そんな微妙な勝負マインドに差が見えてくるということか・・」なんてことを思っていたのだけれど、それが、後半も半ばを過ぎたあたりから再びコートジボワールが勢いを取り戻しはじめるのです。そして何度かのチャンスメイクの後に、ドログバが、「2-1」となる追いかけゴールまで決めてしまう。結局そのまま終わっちゃったけれど、とにかくコートジボワールの本物の強さを体感させられて、ビックリしていた(情報収集が追いつかなかったことを恥じ入っていた)湯浅だったのです。

 ところで「予選Cグループ」。とんでもないぜ。この2チームの他に、セルビア・モンテネグロと「あの」オランダがいるんだからね。こりゃ、本物の「死のグループ」だぜ。こちらは、とことん楽しませてもらいまっせ。
 



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