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2006_ワールドカップ日記・・次の日の反響と、私の母校・・(2006年5月31日、水曜日)

今日はオフにしようと思っていたけれど、朝からドイツの友人たちが続けざまに電話を掛けてくるものだから、これは記事にするしかないと仕方なく起き出して「日記」を書きはじめた次第。とにかく日本の皆さんに、(サッカーを通した)異文化接点コミュニケーションの素材(要はハナシの肴)として使えるような、素肌感にあふれる情報を提供することを使命としている「つもり」の湯浅ですからね。まあ、思い上がりだろうけれど、とにかく、そんな活動をつづけようというモティベーション自体を持つことが出来たことは、ひとえにインターネットという「個人が情報発信できる」双方向メガメディアが浸透してきたおかげなのです。

 あっと、蛇足。さて、友人たちからのメッセージ。「おめでとう・・ドイツ人は、素直に日本を見直さなければならなくなったよな・・いいことだ・・」とか、「ドイツのアロガンツ(思い上がり)をギャフンと潰してくれて感謝するよ・・ヤツらにもいい薬になったに違いない・・ヤツらは謙虚にワールドカップに臨むべきなんだ・・根拠のない過信ほど怖いモノはない・・その意味で、ドイツ代表は、後から日本に感謝することになるはずだよ(要は、2002年のように、謙虚に、汗かきの忠実プレーを繰り返すことで勝ち進むことに対する期待!)」。

 またこんな電話もありましたよ。「ドイツは客を歓待することにかけては世界一なんだよ・・だから日本に2点も先行させてあげた・・それに、ドイツは2点までで反撃を止めたからな・・ホントは3点目もブチ込んで勝てたのにな・・グッド・ディプロマッツ・ドイッチュランドなのさ・・アハハハハハハッ・・」なんていう自嘲の笑いで終わるブラックユーモア。もちろんこちらは、電話を掛けてきた本人のパーソナリティーは十分に分かっているし、そんな信頼関係の上でしか成りたたないジョークではありました。

 とにかくこの試合は、ドイツにおける日本サッカーの存在感(国としてのイメージも含む!?)を格段にアップさせるキッカケになったことだけは確かな事実だと思います。トルシエ時代の2002年3月27日に、アウェーでポーランドを破ったときに似た誇らしい感覚に心地よさを覚えたモノです。それこそが、アイデンティティー!?

 もちろん実際のゲーム内容については、前日レポートでも書いたように、まだまだ課題が多く見い出されましたよね。まあ、それについてはドイツも同じ。あれだけ、(パスレシーバーのフリーランニングと見事にシンクロした)スルーパスや大きなサイドチェンジパス、はたまたロングパスを通されつづけちゃネ。とにかく、攻め上がったときのタテの人数&ポジショニングバランスがいい加減だったし、攻撃から守備への切り替えも遅すぎた(それこそが日本を甘く見ていた証!)。まあ、ドイツにとっても、大変に貴重な学習機会だったというわけです。

 監督会見の後に、選手たちに対する(ドイツ語だけの)記者会見があったのですが(参加選手は、イェンス・ノヴォトニー、イェンス・レーマン、そして代表デビューを果たした俊足の若手攻撃的ハーフ、オドンコール)、その最後に、「ドイツには決勝まで勝ち進むだけの実力は備わっていないと思うのだが・・」というハードに質問に対し、イェンス・レーマンが、ストレートに答えていたのが印象的でした。「そうかもしれない・・ただ、皆さんもご存じのように、現実をしっかりと認識したときのドイツは勝負強い・・たしかに我々の能力はそんなに高くないかもしれないけれど、それを意識したときのドイツ代表の強さは2002年で証明済みだよね・・」。

 そんな質疑応答が出るということは、メディアも含むドイツサッカー界が、この試合を通して現実をしっかりと把握した(対策の方向性が定まった)ということを示唆すると思っていた湯浅です。だからこそ、ドイツにとっても良い学習機会だった。

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 今日は、この話題以外に、軽く、私の母校である「ケルン国立体育大学」を写真を使って紹介しようと思います。でもネ、施設自体は、本当に写真に収め難いのですよ。何せ、すべてが「森のなか」だからね。

 要は、ケルン国立体育大学が、ケルンの市街地を円形に取り囲むように繁るシュタットヴァルト(市の森)のなかに位置しているということです。東京で言えば、環状八号線が全て深い森になっているという感じですかネ。その森のなかに私の母校があるというわけです。点々と配置された様々な大学の施設。もちろん一般的な理解でのキャンパスらしきものもあるけれど、その規模は大きくはありません。何せ、シュタットヴァルトそのものがキャンパスのようなものだから。

 写真は、ちょっと分かりにくいけれど、大学の学生寮(24階建ての細長いビル)の最上階から撮影したモノです。ベランダが閉まっていたから、どこかの部屋をノックし、「わたしは貴方の先輩で、日本のジャーナリスト・・ワールドカップ取材で、是非あなたの部屋から写真を撮らせて欲しい・・」と強引に彼の部屋に入り込み、窓から撮らせてもらった次第。彼も、190センチの、早口のドイツ語でたたみかけるアジア人にビビり気味で、「もちろんどうぞ・・」だって。あははっ・・。そんな経緯で撮った写真だけれど、ちょっと角度が悪いから分かりにくいかもしれないね。手前の森の彼方にケルンのドーム(大聖堂)やテレビ塔が、かすかに見えるかもしれません。ということで、同じ角度で、ズームで撮った写真も載せておきます。

 ところでケルンのワールドカップスタジアム。それは、大学に隣接するように、これまたシュタットヴァルトのなかにあるのですよ。写真は、その全景ですが、手前にあるのが、1970年代まで使われたサッカー場を改修して作られた「ケイリン場」、そして奥のスタジアムの手前にある広場に設置されているテントが、言わずと知れた「FIFAマネージメントセンター」です。たぶんケルンのメディアセンターもそのなかに入るはず。予定では、明日の6月1日にオープンするはずだから、明日の昼にでも行ってこよう。

 さて私の母校。左上の写真が、大学のセンターストリートである「Karl-Diem-Weg」。ケルン国立体育大学の創設者である「Karl-Diem氏」を記念して命名されました。そして右が、大学の「正面玄関」。この道路を挟んで両側に、オープン施設や体育館などがあるというわけだけれど、ご覧のように、すべてが木に隠れて全景を確認することは困難ですよね。一つひとつの施設としては、左の写真のような昔からある小型の体育館が15あまり点々と存在し、右の写真にあるような大規模な体育館やスポーツ医学研究所、そしてもっとも古いマネージメントビルがあるっちゅうわけです。

 そして最後が学生食堂。いまは天候不順だから学生たちは食堂の中でダベっているけれど、これで夏の天気が安定してきたら、学生たちは外の芝生で日光浴するというリラックスしたキャンパスムードが展開されるというわけです。それにしても、いまのヨーロッパの天候不順は尋常じゃない。昨日のゲームの時は、摂氏10度を下回っていましたからね。ドイツでも珍しい悪天候がつづいているというわけです。まあそれでも、来週あたりからは再び夏に向かうという長期予報が出ています。これで太陽が通りはじめたら、それはそれでものすごく暑くなるんだろうね。ホントに体調を維持するのに苦労するよね。

 



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