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2006_ヨーロッパの日本人・・相変わらず全体的なパフォーマンスは高みで安定している中田英寿・・(2006年5月4日、木曜日)

たしかにボルトンの平均パス距離は「長め」だね。この試合でも、中田の「アタマ越し」っていう展開もかなりあった。デイヴィーズやヴァス・テ、はたまたノーランのアタマやポストプレーを狙った究極の「効率追求」の仕掛け?! まあ、チームのなかで同じ仕掛けイメージが共有されていることは大事だし、その視点じゃ、たしかにある程度の結果はついてくるとは思うけれど・・。

 中田が攻守にわたって魅せつづけた全体的な「意志のパフォーマンス」は、前節のトットナム戦同様に、高みで安定しているよね。要は、自分がやりたいサッカーイメージ(意志)を「現実との兼ね合い」で、プラグマティック(実際的な)に変容させてグラウンド上に表現している・・っちゅうことだろうね。もちろんその「意志」は、ボールがないところでのプレーコンテンツに如実に表現される。彼の頭の中には「ロンドンへの移籍」という二文字が固着しているようだし、その意味でも、とにかく「良いプレー」ができるように、様々な妥協も含め、最善を尽くしているわけです。

 このミドルスブラ戦では、オコチャと一緒に先発です。左右のハーフ。その真ん中に、イヴァン・カンポが陣取るという布陣。まあ、テクニシャンがいることで少しはボールの動きが活発になっていると感じますよ。だからこそ、中田のボールがないところでのアクションも活きてくる。タテのスペースへ入り込んだ中田へ、オコチャやカンポからタテパスが出たり、最前線のデイヴィーズから「落としのパス」が回ってくる・・そしてそこから、素早い勝負のコンビネーションを繰り出していく・・また最後尾でボールを持ち、サイドチェンジの展開パスを回してすかさず最前線へオーバーラップして最後のシュートチャンスに絡む・・なんていうシーン。

 ボールをもった時のプレーコンテンツは、例によって確実ですよ。爆発ドリブル突破や決定的タメとかいった派手なプレーは少ないけれど(あっと・・前半35分に左サイドを突破ドリブルでぶち抜いてデイヴィースへラストクロスを通した場面は素晴らしく派手でしたよ!!)、正確なテクニックでボールをコントロールし、味方が欲しいスポットへ正確に展開していく。そんな高質な組織プレーを魅せつづける中田だから、彼がボールをもったら、味方もしっかりスペースへ動こうとしているよね。

 中田英寿は、決して「ここにきて調子が上がってきた・・」っちゅうニュアンスではなく、ずうっと調子は高みで安定していたのだと思いますよ。ただし、戦術的なチームコンセプトとの「ギャップ」によって・・。まあ、これについては、中田のアダプタビリティー(順応・適応性)はディスカッションテーマにならないだろうね。とにかく彼の場合は、(オファーという)選択肢があるのだから、諸々の条件が整えば、やはり気持ちよくプレーできる場所へ移っていくのが自然ですよ。そう、ボローニャのときのような輝きを目指して・・。




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