トピックス


06_ヨーロッパの日本人・・今回は高原直泰と中村俊輔・・(2006年3月4日、土曜日)

1800時ころに成田に到着した湯浅は、そのままクルマで自宅へ急行して「J」の開幕ゲームをレポートした後、つづけて稲本潤一、高原直泰、そして中村俊輔のプレーに目を凝らしました。今回はビックリするほど機内で熟睡できたこともあって、見終わった午前2時でもまったく眠くならない。ということで、軽く、ヨーロッパの日本人についてもレポートしておこうかな・・なんていう気になった次第。まあ、守備的ハーフとして安定したプレーを展開した稲本については次の機会ということで(彼のチームは、ココゾ!の個の勝負だけを集中的にイメージした勝負強さ世界一のチェルシーの術中にはまって完敗しちゃいました!)、今回は高原と中村についてショート&ショートコメント。

 相手に怖がられるストライカーとしての存在感をアップさせていかなければ・・。高原については、以前からこんな課題イメージが脳裏に浮かびつづけていました。前々節のフランクフルト戦でも(私がスタジアム観戦した前節のシュツットガルト戦では出場機会はなし)、様々な意味を内包する「イーブン」という状況での一対一勝負では、ギリギリのところで競り負けてしまうというシーンの方が多かった。これでは、相手ディフェンダーにとって怖い存在にはなれない。それは、スピードやパワーが、フットボールネーションの規格からしたら十分ではないということです。だからこそ、相手ディフェンダーに追い込まれてギリギリの「イーブン」の競り合いにならないようにクレバーに最終勝負シーンを演出するという発想が大事になってくるのです。

 ただ今節のバイエルン・ミュンヘン戦ではひと味違った存在感を魅せてくれましたよ。ハンブルクが久しぶりに(20数年ぶり!?)ミュンヘンのホームゲームに勝利を収めたということもあったしね。組み立て段階では、持ち味のハイレベルなボールコントロールを基盤に、落ち着いた確実プレーでボールを展開したり、自らが起点になったコンビネーション(ワンツー突破など)に入っていったりする・・勝負のコンビネーションを仕掛けたり、周りの味方が「期待を抱ける」くらいに競り合いに強いヘディングで決定的な「流しパス」を出したり(この頃は特にヘディングの競り合いに強くなっていると感じる!)・・はたまた、素早く正確なボールコントロールから決定的スルーパスを出したりする・・。

 ただこのバイエルン戦では、タテスペースへの爆発的なパスレシーブの動きを繰り返すことで何度もタテパスを受けていました。そして確実にボールをキープしたり(組み立ての起点ポストプレー)、そのままドリブルで突っかけたり、コンビネーションの起点になったり。また、ドリブルからのミドルシュートにもチャレンジしていました。最前線での仕掛け人としての存在感・・。

 彼の場合は、タイミングとスペース感覚に優れたパスレシーブの動きと巧みなトラッピング&フェイントというキーワードが大事になってきます。要は、ボールを持つ高原に対して、相手ディフェンダーが十分な体勢でボール奪取勝負を仕掛けられないように常に工夫するということです。この試合では(まあフランクフルト戦の前半でも)そんなプレーが出来ていたと思うのですよ。

 それでも、試合後に話した友人のドイツ人ジャーナリストが、「タカは、同点にされた直後に絶対的なヘディングシュートのチャンスがあった・・そのポジションに入るまでは素晴らしい動きだった・・でも結局は決め切れなかった・・それこそがタカの課題だよな・・」なんて厳しいことを言っていた。チャンスをモノにする・・。やはり、効果的なイメージトレーニングを、最高の集中力を基盤に繰り返すことが大切だよネ。

-----------------

 さて中村俊輔。この試合では後半18分から登場し、攻守わたって抜群の存在感を披露してくれました。

 とにかく、何かを渇望するかのように動く、動く。それも、攻守にわたって、ボールがないところでの全力ダッシュのオンパレードなのです。中村の頭のなかでは、仕掛けイメージが連続的に描写されつづけている。そして、何10メートルも全力で相手ボールを追いかけ回したり、中盤での魔法のタメを演出したり、ドリブル突破にチャレンジしたり、最終勝負のコンビネーションをリードしたり、実際に決定的スルーパスを決めたり、右サイドをドリブル突破して決定的なクロスを送り込んだり・・。

 そんな中村の存在感に対し、中盤をリードする究極のチームプレイヤーロイ・キーンも敬意を表していると感じます。パスレシーバーとして中村を捜すだけではなく、自ら中村にボールを預けてタテのスペースへフリーランニングしたり、中村のためにスペースを作るような汗かきの動きをしたり・・。

 とにかく頼もしい限りです。もちろん日本代表での中核プレイヤーとしてもね。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]