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05_世界クラブ選手権(トヨタカップ)準決勝の2・・圧倒的な差があったけれど、その背景には組織プレーイメージの有機連鎖があった・・(リヴァプールvsサプリサ、3-0)・・(2005年12月15日、木曜日)

リヴァプールは強いね。やっとフットボールネーションの本格的サッカーを堪能できましたよ。何が凄いかって? まあ、一言でいったら、組織と個がハイレベルにバランスしたサッカーってなところですかね。個人的にも優れた選手を揃えているリヴァプール。そんな強者たちが、攻守わたって組織プレーに徹する様は、やはり感動モノなのですよ。もちろん「ココゾ!の場面」では、それまで我慢してきた個人勝負プレーへの渇望を爆発させる。そのメリハリがいいのです。

 それにしても、昨日の準決勝と比べたら、両チームの「差」があまりにも明確に見えた試合ということになりました。もちろん、その差を構成する本質的なファクターは個人能力にあるわけだけれど、サッカーはチームゲームだから、その個人能力の差に、チーム戦術的な「イメージレベルの差」が上乗せされたことで、あのような「大差」になったということでしょうね。現代サッカーのコーチ連中にとってもっとも魅力的な仕事は、何といっても、才能たちに、攻守にわたる(汗かき)組織プレーを「全力」で実行させること。だからこそ、才能がチームに参加してきたら、それはコーチにとっての大いなるチャレンジ・・ということになるわけです。リヴァプールのベニテス監督は、やはり確かなウデをもっているということです。

 両チームの「差」ですが、具体的には、まず何といってもディフェンスの「量と質」に、そのもっとも大きな部分が潜んでいます。ボールを奪い返すという目的を達成するための汗かきプレーの量と質だけではなく、協力プレスのタイミングの測り方やインターセプトの狙い方などいった「クリエイティブ」な部分でも大いなる差を感じます。要は、リヴァプールの方が、数段チームとしてまとまった守備が展開できていたということです。とにかく、ボールへの寄り(チェイス&チェック)のスピードや迫力が違うし、自らボール奪取勝負シーンを探しつづけるという積極プレー姿勢でも差がある。だからこそ、サプリサよりも、より高い頻度でボールを奪い返し(それも、より高い位置で!)、それを次の攻撃に実効あるカタチで結びつけられていたのです。

 また攻撃ですが、あれだけのタレント集団が組織パスに徹するのですからね。強いはずですよ。要は、前述したベニテス監督の確かなウデの現出というわけです。とにかくボールが、素早く、広く動きつづけるのです。特にダイレクトパスを回すシーンは、見事というほかありません。止まった味方の足許へパスをつなぐこともあるし、パス&ムーブで動いた味方が狙うスペースへダイレクトパスを決めてしまうこともある。変化に富んだボールの動きを演出しつづけるタレント集団。そんななかで、たまにジェラードが、50メートルは優に超えるような距離のサイドチェンジパスを決めたり、自らドリブル突破にチャレンジしたりする。要は、攻撃の変化も、しっかりとミックスできているということです。

 ダイレクトパスだけれど、最終勝負シーンで効果的に繰り出していくシーンの連続には、思わず、「そうそう・・これだ、これだよ!」という声が出てしまいましたよ。例えば、最終勝負シーンでの素早いコンビネーション。サイドをえぐり、そこからセンターゾーンへ向けての鋭い横パスが飛ぶ。そして相手を引きつけた最初のパスレシーバーから、これまたビシッというダイレクトのリターンパスが飛び、それで完璧なシュートチャンスが演出される・・ってな具合。そんなレベルを超えた鋭いダイレクトパスを積み重ねる「揺さぶり」を仕掛けられるのですからね、相手守備ブロックがズタズタにされるのも道理といったところです。

 この最終勝負でのダイレクトパスによるチャンスメイクですが、そこでのキーポイントは、ある程度フリーでパスを受けるレシーバーです。そのパスレシーバーが、パスが転がってくるプロセスで相手の意識と視線を独り占めにした次の瞬間、これまたダイレクトでのリターンパスが飛ぶってな具合なのです。例えばこんなシーン。しっかりとボールをキープし、相手ディフェンダーを「引きつけた」シセから、右サイドのスペースへ全力ダッシュで押し上げたジェラードへ、ゆったりとした勝負パスが送り込まれる・・誰もが、パスを受けたジェラードが、そのままドリブルシュートへ入るに違いないと確信する・・ただ彼は、シュートを打つ素振りから、これまたダイレクトで、シセへのリターンパス(完璧なアシストパス)を決めちゃうのですよ。このシーンでは、シセが空振っちゃったけれど、まさに溜息もののチャンスメイクでした。

 まあ、そんなところかな。帰宅したのは夜中。それから書きはじめたのですが、どうも疲れ気味で意識がもうろうとしている。今日のところは、リヴァプール対サンパウロの決勝を夢見ながら寝ることにしましょう。では、オヤスミナサイ。あっと・・乱筆・・乱文・・失礼・・グ〜〜グ〜〜




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