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05_ヨーロッパの日本人・・ボランチ、稲本潤一!・・(2005年11月24日、木曜日)

一体あの前半は何だったんだろう・・。ウエストブロムウィッチ・アルビオンの本拠地にエバートンを迎えたプレミアシップマッチ。そこで稲本が魅せつづけた、攻守にわたる高質でダイナミックなパフォーマンスを見ながら、そんなことを思っていましたよ。

 「あの・・」とは、アンゴラ戦の前半。スリーバックだし、中田や中村もどんどん守備に参加してくることで、またアンゴラが人数をかけて攻め上がってこない(こられない!?)ことで、後方の人数が余り気味という状況がつづき、そのなかで稲本が、何か所在なげにしていたという現象。結局は、彼自身の戦術的なプレーイメージが「カタチにはまり」過ぎていた(戦術プランに左右され過ぎていた!)ということなんだろうね。サッカーは、最後は自由な判断と決断でプレーせざるを得ないボールゲームなのに・・。アンゴラ戦の前半での稲本は、自分は前気味リベロ(中盤守備の基点・・中盤の底!?)だという意識に凝り固まっていたということなんでしょう。彼は、もっともっと、状況に応じた自己主張(攻守にわたるリスキー勝負)にもチャレンジしなければならなかったということです(まあ後半にフォーバックになってからは良くなったけれど・・)。

 それができなかった(やろうとしても、どうしても中途半端になってしまうシーンの方が多かった!)のは、日本代表における自らのポジションに「まだ」自信が持てていないから・・ということもあるんだろうネ。その心理は本当に微妙な意味合いを持ちます。それによって、堅くプレーしようとする意識にはまり込んでしまい、消極的なネガティブマインドを先行させてしまうケースもあるだろうし、逆に、醸成された緊張感をバネに、ガンガンの積極プレーを前面に押し出す(自己主張の)心理エネルギー源にもなる・・。

 このホームゲーム(ウエストプロム対エバートン)で稲本が魅せた、攻守にわたるグッドパフォーマンスを見ていると、アンゴラ戦でのフラストレーションが、彼にとって良い学習機会(刺激)になったと思えてきますよ。彼の基本ポジションはセンターハーフ。この、基本ポジションの呼称についてですが、中盤の底とか守備的ハーフ、はたまた前気味リベロ、そしてボランチ等々、それは、自らのパフォーマンスコノテーションによって自然と決まってくるという性格のものです。何せサッカーは、最終的には自由にプレーせざるを得ないボールゲームなんだからネ。ということで私は、そのプレー内容から、このホームゲームでの稲本をボランチと呼ぶことにした次第。ブラジルに対する敬意も含め、「ボランチ」という呼称には、特別なコノテーションを込めている湯浅なのですよ。日本代表では、これまで中田英寿には「本物のボランチ」という呼称を使ったことがありましたが・・。

 最終ラインとの兼ね合いで、常に高めにポジション取りをする稲本。そこをベースに、忠実なチェイス&チェックアクション(=守備の起点プレー!)だけではなく、次のインターセプト、相手トラップの瞬間を狙ったボール奪取勝負を仕掛けていったり、ボールがないところでの忠実マークをつづけたりと、この試合では、彼の悪いクセである「状況を見すぎてしまう」という現象はほとんどありませんでした。また攻撃でも、シンプルなパスを基調に、勝負シーンでは、勝負のタテパスを送り込んだり、自らドリブルシュートにトライしたりと、しっかりと「個のリスク」にもチャレンジする。まさに「存在感」という表現がふさわしいというプレーコンテンツでした。
 最後に一言。やはり、実戦(勝負のかかったゲーム)に代わる学習(発展)機会はない・・。稲本が、このままレギュラーを張りつづけることを心から願って止まない湯浅でした。

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 最後になりましたが、遅ればせながら、私も神達彩花ちゃんを助けるための募金活動に、非力ながら協力させていただくことにしました。お父さんは、日本におけるサッカー文化の発展に尽力している方であり、私も以前、あるプロジェクトで間接的に協力していただたことがあります。彩花ちゃんが、なるべく早く、サバイバルの可能性にチャレンジできるようになることを心から願っています。詳しくは「こちら」を参照してください。




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