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サッカー三昧のウイークエンド・・A3(マリノス対水原、1-3)、ちば銀行カップ(ジェフ対レイソル、0-1)、そしてヨーロッパの日本人・・(2005年2月21日、月曜日)

さてマリノスと水原サムスンによる「A3-決戦」・・立ち上がりの時間帯、「よし、いいぞマリノス!」なんていう声が出た・・多くの主力がケガで不在のマリノス・・相手の水原サムスンは、実績のある才能プレイヤー揃い・・たしかに個の能力ではかなわないけれど、マリノスは組織プレーの実効レベルで内容的に相手を上回っている・・さまざまなプレーイメージコンテンツを内包する組織プレーイメージではマリノスの方が明らかにうまく機能している・・なんていうところまで書いたところで、急にパソコン(マッキントッシュ・パワーブックG4)がフリーズしてしまったのですよ。かなり書き進んだコラムもオシャカ。それだけではなく、パソコンのリカバリーもうまくいかず、結局は次の日までまったく仕事ができないという体たらくだったのです。

 コンピューターを立ち上げるときディスプレーには「内蔵メモリーに問題があります・・」なんて表示されるのだけれど、本当のトラブルはメモリーではなくロジックボードかもしれないし(よくある原因把握ミス・・実際にロジックボードがメモリーを認知したりしなかったり・・)、他にも隠された原因があるのかもしれない・・たぶん「ハード的な問題」だとは思うのだけれど・・なんてネ。結局アレやコレやと試行錯誤しているうちにやっとスムーズに動くようにはなったけれど、まだまだ不安な心理状態でコラムを書いているというわけです。あっと・・今は、ちばテレビで録画放送されている「ちば銀行カップ」を観ているところです(日曜日の2000時あたり)。

 そのゲームを観ながら、「この試合コンテンツと、A3のそれには共通ファクターがあるよな・・」なんて思っていたもので、このコラムは、その視点で書きはじめることにしました。要は、個人が有する本来のチカラがうまく噛み合わないことで、それが組織的なチーム総合力のベースとして機能していないチームと、個のチカラでは劣っているけれど、攻守にわたる忠実プレー(忠実なプレーイメージ)がしっかりと有機的に連鎖しつづけるハイレベルな組織プレーを魅せつづけるチームとの対戦という「ゲームの構図」のことです。有機連鎖チームとは、「A3」ではマリノス、「ちば銀行カップ」ではジェフ・・そしてそこには、両チームとも負けてしまったという共通項もある・・。

 マリノスは、個人的な才能レベルが高いだけではなく、組織プレー(イメージ)でもかなりのレベルにある水原サムスンが相手ですからね、そんな強者を相手に、全体的なゲーム内容で互角に近いサッカーを展開していたのは見事という他ありません。特に前半のサッカー内容は特筆ものの素晴らしさでした(後半に勝ち越しゴールを入れられてからは、バランスを崩してでも攻め上がるしかなかった!)。その優れたサッカーのベースは、もちろん互いのプレーが有機的に連鎖しつづけるという優れた機能性を魅せていたディフェンスにあります。だからこそ、次の仕掛けにも勢いが乗り、ボールの動きと、ボールがないところでの人の動きがうまく噛み合った・・。

 とはいっても、最後のチャンスメイクでは、明らかに「個のチカラの限界」が感じられたけれどネ。やはり組織パスプレーだけで強固な相手ディフェンスを崩し切るのは難しい。ボールがないところでの決定的パスレシーブの動きを活性化しようとしても(最終勝負に絡んでくる人数を増やそうとしても)、相手が強いことを体感しつづけていたマリノス選手たちだから、次のディフェンスに問題が乗じるかもしないという後ろ髪を引かれる心理に陥るのも道理・・ってなことだったのでしょう。まあ、組織的に相手ディフェンスブロックを崩し切るところまで吹っ切れたリスクチャレンジを仕掛けられなかった・・という表現になるのかな。内容的には決して「完敗」なんかじゃなかったし、素晴らしいバックアップ選手たちという「層の厚さ」を明確に証明したマリノスというのが妥当な評価でしょう。今シーズンもヤツらは強い・・。

 さてジェフ。とにかく、守備においても攻撃においても、彼らのボールなしの動きの「量と質」は本当に素晴らしいと再認識させられました。本当によくトレーニングされたチームです。攻守の目的を「どのように達成するのか」という具体的なイメージ描写をベースに、何人もの選手たちの次のプレーがうまく噛み合いつづける・・だからこそ、意図が満載されたボールがないところでの全力ダッシュのオンパレードになる・・だからこそ、全員が、自動的にパス&ムーブの動きを積み重ねつづけられる・・。攻守にわたる勝負所でのダイナミックなボールなしの動きなど(何人もの選手たちが、明確な意志をもって、ボールがないところでの全力アクションに入っていく!)、ジェフ選手たちのアクション連鎖を観るだけでも入場料にオツリがくるというものです。

 守備での彼らの「アクション」は、まさに有機的なプレー連鎖の集合体。チェイス&チェックアクション、周りでのタイトマークやボールがないところでの忠実マーク、間合いを空けてのインターセプト狙い・・等など、とにかく各人が、次のボール奪取勝負を明確にイメージできていると感じます。また攻撃でも、どこにどうやってボールを動かしていくのかという明確なイメージを持てていると感じる・・だからこそ、ボールなしの動きの「量と質」が相手を凌駕してしまうのですよ。ちょっと表現が月並みになってしまったけれど、とにかく全員守備・全員攻撃という「トータルサッカー」を標ぼうするオシムさんは健在。今シーズンのジェフも、それなりのサッカーを魅せつづけてくれる(そして自然と結果もついてくる)ハズです。期待しましょう。

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 さてヨーロッパの日本人。今日は、久しぶりに大久保から。もちろん彼のプレーはフォローしていたけれど、ちょっと内容が低レベル(まだ時間が必要?!)ということで、調子が上向きになるまでコメントは「タメ」ておこうなんて思っていたのですよ。でも今日は、彼のプレー姿勢(攻守にわたるプレーイメージコンテンツ)についての基本的な考え方・捉え方だけは押さえておいた方がいいかな・・ということでコラムをアップすることにした次第。まあ今回も、彼に対する期待が高いからこそネガティブコメントが先行する・・ということになってしまいますがネ。悪しからず・・。

 この試合では、後半26分から交代出場した大久保でしたが、いつものように、実効レベルで存在感が薄い。要は、攻守にわたる効果的なボール絡みシーンの頻度が低すぎるということです。もちろん「相手は強豪バルセロナだから・・」ということもあるけれど、この存在感の薄さという現象の背景には、彼の基本的なプレー姿勢の方が大きく作用しているのですよ。

 攻撃では、たしかに決定的な場面で鋭い決定的フリーランニング(そのコース取りと爆発スタートは特筆!)は魅せるけれど、結局はパスがこなかったり、よい体勢でボールを持てなかったり(そして簡単にボールを失ってしまう)というシーンばかりが目立つ。味方の信頼感が薄いことでパスも積極的に回されてこない?! まあそれもあるでしょうが、その「傾向」の背景にひそむモノでもっとも大切なところは、ボールのないところでの動きの「量と質」が良くない・・つまり組織プレーに対する貢献度か薄いということです。

 最前線からの「汗かきディフェンス」と、特に組み立て段階における「汗かきフリーランニングとシンプル展開プレー」の量と質がまだまだ不十分。前線からのチェイス&チェックや、相手の次のパスレシーバーに対する予測ベースのプレス&アタックに対する意志が希薄なだけではなく(イメージ描写力が足りないだけではなく)、攻撃での最終勝負段階では、決定的な場面「だけ」にしか動かなかったり、パスを受けても次につながるシーンをうまく演出できないというのでは、味方に信頼されないのも道理だし、彼らが大久保を、大切なボールをあずけるコアプレイヤーとして探さないのも自然な流れというわけです。もっと彼は、攻守の「準備段階」における、ボールなし&ボール絡みの組織プレーも意識しなければならないのですよ。とにかく、「守備からゲームに入っていく」こと、そして「動きまわってボールに多くタッチし、まずシンプルな組織プレーに徹しながら決定的シーンへの実効ある絡みを忠実に狙いつづける」という意識が大事だということです。

 そんなベースが整ってくれば、大久保に対する味方の信頼感も上がってくることで、組織プレーの善循環も回りはじめるに違いありません。そうなってはじめて大久保も、ストライカーとして、自分がもらいたい良いカタチでパスを受け、そのまま(自分がコアになって)最終勝負を仕掛けていけるということです。とかにく、彼はマラドーナではないのだから、汗かき組織プレーを意識しながらも、決して勝負シーンでの自信を減退させないようにしなければならないのです(それこそ真のバランス感覚!・・そこでは、リスクチャレンジに対するイメージトレーニングこそが大事!!)。頑張れ、大久保・・。

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 それにしても、残り10分というタイミングで登場し、組み立てパスのデバイダーとして、また仕掛けのコアとして、すぐに大いなる存在感を発揮した小野伸二のプレーは、快哉を叫びたい心境になりましたよ。とはいってもネ、ミッドフィールドでの守備タスクという視点では、(たしかに正確なポジショニングや穴埋め作業は良いけれど・・)まだまだ不安の方が先に立つけれど・・まあこの試合では、はじめから前気味タスクということだったのだろうけれどネ・・稲本も、いまのチームでは攻撃的ハーフとしてのタスクをこなしていると聞き及んでいるし・・やはり日本代表のミッドフィールドの底には、彼ら以外の「忠実な汗かきタイプ」が必要なのかも・・さて・・。小野のダイナミックなクリエイティブプレーを観ながら゛、そんなことを考えていましたよ。

 そうそう、その「日本代表」という視点で、今節(シエナ対フィオレンチーナ)の中田英寿のプレーコンテンツには、ちょっと心配の方が先に立ったモノです。守備でも、攻撃でも・・。たしかにボールには絡むのだけれど、どうも「そこから何かがはじまった」という存在感に欠ける・・。攻撃で彼が「仕掛けのコア」という雰囲気が前面に押し出したシーンは、右サイドからの早めのグラウンダークロスと爆発カウンターシーンくらいだったですかね。

 もちろんボールは集まるけれど(彼がフリーでいれば、多くのケースでボールが渡される!)、そこからのプレーでもどうも「安全策マインド」の方が目立つようにも感じる。何度か、中盤の後方からタテへの「リスクチャレンジのタテパス」が出たのだけれど、シエナのクレバーな守備ブロックに簡単に抑えられてしまった。それが、彼のプレー姿勢を小さくしてしまった?! もちろん、例によってのシンプルタイミングの「コンビネーションスタート意図」が、うまく味方に伝わっていないということもあったけれど・・。逆に、コンビネーションがうまく連鎖しなかった背景に、味方のボールがないところでの組織プレーイメージに広がりがなかったからというポイントもあったのかもしれない。要は、日頃のトレーニングでのイメージトレーニング不足ということです。もちろん「そのこと」には、相手のシエナ守備ブロックが非常によくトレーニングされているということもありますがネ。

 とにかく中田英寿の完全復活に対する期待値は天井知らずだから(そのことは彼自身も同じに違いない!)、どうもフラストレーションの方がたまってしまった前半だったのです。だから後半は大いに期待していたのですが、その中田が、後半の最初からヨルゲンセンと交代してしまった。そりゃないだろう・・。

 今週はキックオフタイムがうまく組合わさったことで、大久保、小野伸二、中田英寿、中村俊輔とつづけて観戦できるはずだったから(このリストに高原直泰が加わったら言うことナシ!・・だったのですがネ、「J-Sports」さん・・)、本当に楽しみにしていたんですよ。でも、まず私のコンピューターがポシャッた・・高原の試合が中継されなかった・・全快していない小野が最後の10分にしか登場しなかった・・中村はケガでベンチにも座らなかった・・そして中田が、おかしなゲームの流れに呑み込まれるように調子に乗れず、そのイヤな展開を逆流させることが期待された後半は交代してしまった・・。フ〜〜ッ!! まあ、こんなこともあるさ。次だ、次・・。

 



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