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05_ジーコジャパン(66)・・そりゃ、リスクにチャレンジしていかないのではチャンスメイクなんておこがましい・・(日本vs北朝鮮、0-1)・・(2005年7月31日、日曜日)

そりゃ、人数をかけて仕掛けていかないのではチャンスなど演出できるはずがない・・。効果的な仕掛けプロセスにとってもっとも大事なファクターは、もちろんリスクへチャレンジしていくマインド。最前線への「ズバッ!」というクサビのパス・・ドリブル勝負やタメなどのココゾ!の個人勝負・・二つ前のタイミングからイメージ的に準備して狙いつづける中距離シュート・・等々。

 実力では、かなり差をつけているにもかかわらず、日本代表は、最後まで「組織的な仕掛けのダイナミズム」を高揚させることができず、北朝鮮の守備ブロックに守り切られてしまいました。そりゃそうだ・・何せ、日本代表の仕掛けは、常に北朝鮮守備ブロックの「眼前」でプレーされているだけなのだから・・北朝鮮守備ブロックのウラをまったく突いていけない日本代表・・それほど組織パスの量と質が悪すぎた・・。安全につなぐ横パス、横パス・・。まあ、フラストレーションがたまるよね。

 要は、仕掛けのリーダーが不在だったということでしょう。仕掛けのリーダーは、まず自分にボールを集めさせるように、全力ダッシュも含めてボールがないところでしっかりと動きながらパスを要求する・・パスが来ないとガンガン文句を言う・・そしてボールを持ったら、まず一発ロング勝負パスを狙う・・そして次に自分が「起点」になったコンビネーションを「仕掛け」ていったり、たまには単独でドリブル勝負を仕掛けていったり・・等々。彼には、そのようなグラウンド上での自己主張が必然なのです。

 そんな、仕掛けイメージを引っ張るリーダーがいないのだから、足許への横パス(マインド的な逃げパス!)が横行するのも道理だよね。リーダーは、自分へボールを集めない味方に対して文句を言うだけじゃなく、チャンスにもかかわらずスペースへ上がらない(パスレシーブの動きに入らない)味方に対しても強烈な文句を言えるものだからネ。もちろん彼は、そんな攻撃的な心理エネルギー(=文句)が、結局は自分自身の行動にはね返ってくるという心理メカニズムをよく知っている。そりゃ、人に文句を言ったら、自分はその二倍は働かなければバカにされるばかりだよね。

 前半は、玉田と大黒でスタートした日本代表。人数をかけた組織プレーでの仕掛けの流れを演出できないから、小兵二人が孤立してしまうのも道理といった展開になります。まあ、遠藤や福西が「前のスペース」へ押し上げたときはチャンスになるけれど、それでも「二列目のフタ」がいるから効果的なオーバーラップもままならない。もちろん二列目のフタとは小笠原のことですよ。希にしても、二列目で良いカタチでパスを受けたら、素早いダイレクトパスをミックスした効果的なコンビネーションを演出するし、前半に魅せたドリブルシュートも危険そのもの。でも、リスクへチャレンジしていくマインドも含む全体的な「仕事量&質」が一流プロとしての許容範囲にまったく達していないことも確かな事実です。要は、全体的な動きの量と質、リスクチャレンジに対する意識の高さ(ミスしたくない逃げパスが多すぎる!)・・等々。たしかにツボにはまれば誰にも出来ない勝負プレーを魅せてくれる小笠原。いつも書いているように、だからこそ惜しいし、だからこそ腹が立つ・・。

 何か、小笠原が、良いコンビネーションを成就させるためには2-3人の味方の勝負イメージがピタリと重なり合わなければならない・・なんことを言っているらしいけれど、それは自分自身に対する言い訳なんじゃないの・・?? 良いパスが入ってこないし、コンビネーションの流れのなかで(味方の)ボールなしの動きが出てこないから効果的な仕掛けを演出できない・・!? フ〜〜ッ。

 正直わたしは、「いっそのこと福西にゲームメイカーとチャンスメイカーを任せたらいい・・」とまで思っていましたよ。守備意識は十分・・それに、攻撃において「自ら仕事を探すプレー姿勢」も高いレベルにある・・。少なくともこの試合では、福西の、攻守にわたるゲームメイクコンテンツばかりが目立っていました。

 そんな流れで入っていった後半。フォーバックにし、田中誠と交代した本山を前線二列目の小笠原のパートナーに据える。まあ、ちょっとは攻めの勢いは向上したけれど、選手たちの仕掛け(リスクチャレンジ)マインドが、最後のところで、どうしてもシンクロしないと感じていました。要は、ココゾのチャンスでのボールがないところでの動きの量と質が十分ではないのですよ。前半からの悪いプレーイメージを引きずりつづけた日本代表!? まあ、そういうことでしょう。

 そのなかでは、田中達也は持ち味を発揮してくれました。ココゾ!のリスクチャレンジ(単独ドリブル勝負からのシュート!)。また巻誠一郎も、高さで存在感を発揮しました。最後は、福西も最前線へ張るエマージェンシー布陣だったけれど、それでも、そのエマージェンシー布陣を活かさなければならない(攻守にわたる限りない自由を与えられた)仕掛けのリーダーたるべき選手があれじゃね・・。

 とにかくこの試合で、小笠原がフリーキックから同点ゴールを決めなかったことを本当によかったと思っている湯浅なのですよ。もしそんなことになったら、(例によって!?)次の日のメディアでヒーローに祭り上げられてしまい、サッカープロとしての彼の将来は確実に衰退の一途をたどるだろうからネ。トニーニョ・セレーゾさんも、そのあたりのメカニズムについて十分に分かっているはずです。以前(第6節のジェフ戦後の記者会見で)トニーニョさんには「こんな発言」もありましたからね。でも、アントラーズ自体が、そんな小笠原のプレーに合わせられるくらい、クリエイティブな汗かきプレーヤーを配置して全体としてうまく選手タイプがバランスしていること、そして勝ち続けているということを考えたら、どうもネ・・。やはりここは、外国において「最高レベルサッカーとの対峙」を経験させるのが得策かも・・。

 さて初戦を落とした日本代表。これで面白くなりました。何せ、第一試合の韓国対中国は「1-1」で引き分けましたからね。ガ〜〜ン!とアタマを殴られた日本代表が、次の中国戦で覚醒した積極プレーを展開してくれることを心から願っています。

 



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