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05_コンフェデ_6・・とにかく、アルゼンチンが展開した夢のようなバランスサッカーに酔いしれていた湯浅でした・・(ドイツvsアルゼンチン、2-2)・・(2005年6月21日、火曜日)

ブラジルが日本を破って決勝トーナメントへ進むとしても、ほぼ二位抜けが決定という状況。誰も「あの」ブラジルとはやりたくないだろうし(もちろん二位抜けは日本になるかもしれないけれど!)・・さて、どんなゲームになるんだろう・・なんて興味津々でキックオフを待っていたら、ドイツチームは、中盤の主力コンビ、フリングスとミヒャエル・バラックをベンチに温存です。これは、もしかしたら二位抜け狙いか・・なんて一瞬は思ったけれど、まあそんなことが許されるはずもないとすぐに思い直し、とにかくドイツのプレー姿勢をまずしっかりと見極めようと目を凝らしていた次第。

 そして確信しました。たしかに主力のコンビは温存したけれど、とにかく「このドイツ代表チーム」は全力で勝ちにきている・・もちろんそれには、ベルント・シュナイダーとかエルンストといった、まだ確実に先発ファーストチョイスに含まれていない選手たちの意地もあったに違いありません。この試合に臨むドイツ代表は、アルゼンチン、ブラジル、そして決勝では再びアルゼンチンに土をつけてコンフェデのチャンピオンになってやる・・という意気込みでゲームに臨んでいたというわけです。

 それに対してアルゼンチンは、あからさまな引き分け狙いです。引き分けならば、もしブラジルが二位抜けで準決勝に進出したとしてもぶつからない。彼らには、それを達成できるだけのテクニックだけではなく、クリエイティブでダイナミックな守備ブロックも備わっていますからね。そのアロガントなプレー姿勢に、ちょっと憤っていた湯浅でした。でも試合が進むうちに、その世界最高のバランスサッカーに酔いしれてしまって・・。

 先制ゴールはドイツ。ダイナミックな攻め込みからのパワフルなシュートを、最後はクラーニーが決めました。そのとき私は、それだ! それだ!!と心のなかで叫んでいましたよ。アルゼンチンは、引き分け狙いであって、決して負けたいと思っているわけじゃありませんからネ。そのドイツの先制ゴールこそが、アルゼンチンに火をつけるだろう・・ってネ。でもその4分後には、リケルメが、まさに夢のようなフリーキックをドカンとたたき込んでしまうのですよ。そのときの落胆ったら言葉にならないれべるでしたよ。とにかく本気のアルゼンチンに、ドイツがどのくらい内容で対抗できるのかを確かめたかった湯浅ですからネ。ホント、その同点ゴールにはガッカリされられたものです。でも・・

 「その時間帯」までは、後半6分のアザモアの勝ち越しゴールまて待たなければならなかったけれど、そこからのアルゼンチンのスーパーサッカーを見ながら、「この試合に臨む同期は、スポーツ的には不純だけれど、でもあなた方のスーパーサッカーは世界の宝物だから、仕方ないよな・・」なんてことを思っていましたよ。アルゼンチンのサッカーを観ていて、またまた「サッカーは有機的なプレー連鎖の集合体」という、私が作り出した表現を反芻していた次第。

 人とボールが、夢のように素早く、広く動きつづけ、そのなかに、リケルメやテベスたちが繰り出す、魅惑的な個人のエスプリ勝負プレーがミックスするのです。組織プレーと個人プレーが究極のバランスを保つ世界最高峰のスーパーサッカー・・。そんなヤツらが、ドイツにボールを奪われた瞬間から、何人もの選手たちが全力で戻り、アタックを仕掛けたり、次のパスレシーバーに狙いを定めたポジションに入ってしまうのですからね。

 「2-1」とリードしてから「2-2」にされるまでのドイツは、まるで子供扱いでした(言い過ぎかもしれない・・ドイツファンの方々、ゴメンなさい)。テクニックの差が明白・・だから、いくら前からボール奪取勝負を仕掛けても、そのアタックアクションを、簡単にスッスッと外されてしまうのですよ。そして徐々にドイツ選手たちの足が止まり気味になっていく。こうなっては、もう如何ともし難いですよね。カンビアッソの同点ゴールは、まさに順当な出来事でした。

 この試合は、とにかくドイツが「2-1」とリードしてから「2-2」にされるまでの時間帯だけに、本物のコンテンツが詰め込まれていました。もちろんドイツでは、ミヒャエル・バラックとフリングスという「自信ソースコンビ」がいなかったことで、またベテランのベルント・シュナイダーの調子が期待はずれだったことで(ベルントには中盤のリーダーは無理・・)、若手もビビり気味になってしまって・・。期待のダイスラーにしても、自信にあふれた突破ドリブルは、たったの一回だけだったし、シュヴァインシュタイガーにしても、アザモアにしても、とにかく、勝負プレーが「縮こまってしまった」と感じました。

 願わくば、ドイツには、次の試合も勝って、是非決勝でアルゼンチンと再戦して欲しいものです。そして彼らの学習能力の高さを証明する・・。あの上手いアルゼンチンでも、ビビって様子見のタイミングになるのではなく、常に攻撃的に、素早いタイミングで「詰めつつげれば」、確実に、彼らがイメージする組織プレーリズムを乱すことができるものです。今の私は、そのことだけを願っています。

 いま真夜中。私はこれから、250キロ走ってフランクフルトの常宿まで戻ります。まだまだ元気だから、今日は大丈夫。ということで、今日はこんなところです。

 



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