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2005-A3チャンピオンズカップ・・なかなか面白いコンテンツがありました・・とにかく、頑張れマリノス!・・(マリノス対浦項、1-1)・・(2005年2月13日、日曜日)

まず、A3チャンピオンズカップ(東アジアクラブ選手権?!)から。日本、韓国、中国のプロリーグチャンピオンクラブが東アジアでの覇権を争うという大会。マリノスの初戦は、韓国Kリーグ準優勝チーム「浦項」との対戦です。開催国は2チーム参加ということで、三日にわたるマッチデー(日曜日、水曜日、土曜日)に常に二試合あるというスケジューリング。全体的なゲームの流れを簡単に追いながらテーマを拾っていくことにします。

 ・・試合開始早々にマリノス清水に先制ゴールをたたき込まれた浦項がガンガンと攻め上がってくる・・その攻撃を、安定した守備ブロックで確実に受け止めるマリノス・・要は、常に自分たちの視野の範囲のなかで(背後スペースを突かれることなく)展開される個人プレー主体の攻めだから、マリノス守備ブロックは、守備イメージを素早く描写することで浦項の仕掛けを確実に抑制できているということ・・キープ&ドリブルが多く、ボールがないところでのアクションの量と質も低レベルだから、マリノス守備ブロックが、その「仕掛け意図」が手に取るように予測でき、余裕をもって対処できるのも当然だネ・・

 ・・それにしても、まったく一人でボールを奪い返してキャノンシュートを決めた清水範久の「独演ゴール」は素晴らしいの一言だった・・彼が魅せた、忠実でチャレンジャブルなプレー姿勢に乾杯!!・・彼は、浦項チームの最後尾でボールをキープする守備ブロックのブラジル人選手サントスへアタックを仕掛けながら感じていたに違いない・・ヤツは絶対に「切り返す」・・そして実際に清水は、サントスが進もうとしている左サイドへアタックを仕掛けると「見せかけ」、最後の瞬間にスッと右サイドへ足を伸ばすことで、サントスの切り返したボールを引っかけて奪い返してしまう・・そして最後は、見事な、本当に見事な「吹っ切れたシュート」を相手ゴール左サイドへたたき込む・・「ヨ〜〜〜シッ!!」・・そのとき思わず声が出た・・ってな具合・・

 ・・その後は、前述したように、二人のブラジル人オフェンス選手(ダ・シルバとタバレス・・タバレスがチャンスメイカーでダ・シルバがストライカー)の個人プレーを中心に仕掛けようとし過ぎることで、全体的なキープ率は高いモノの、まったくといっていいほどマリノス守備ブロックの「ウラ」を突いていけない浦項という展開がつづく・・この二人のブラジル人選手のプレーコンテンツは、どちらかといったら、組織プレーリズム高揚の阻害要因だった?!・・「個の才能」は、組織プレーと個人プレーのバランスという永遠のテーマにとって「両刃の剣」?!・・そんなだから、ボールがないところで勝負を決めるという発想が希薄になり、マリノス守備陣のウラの決定的スペースを突いていけない浦項ということになってしまう・・監督もブラジル人ということで、逆に、韓国の伝統的な強さの「背景ファクター」を抑制してしまっている?!・・そんなことを感じていた・・

 ・・後半も同じような展開・・たぶんマリノス守備ブロックは、「ヤツらの仕掛けコンテンツだったら御しきれる・・」と確信レベルを高揚させていたに違いない・・そんな展開がつづいていた後半19分、フリーキックから、浦項に同点ゴールをたたき込まれてしまう・・スコアラーは、自分のミスから先制ゴールを奪われたサントス・・このシーンは興味深い・・サントスをマークしていたのは栗原・・フリーキックは、マリノスゴールのニアポストスペースへ送り込まれたわけだが、蹴られる直前、もう一つの「マーキング・ペア」が、サントスと栗原の間に「割って入ってきた」・・そのことで、栗原のサントスに対するマークの間合いが空いてしまう・・そして最後は、栗原が身体をあずけるところまでタイトにマークすることが叶わず、サントスに、ほぼフリーな状態でヘディングシュートを決められてしまったという次第・・

 ・・このシーンには興味深いテーマが詰め込まれている・・まず、セットプレーからのチャンスメイクでは、やはり「スペース狙い」のみが本物のチャンスになるというテーマ・・要は、動きをベースにした最終勝負アクション(パサーとレシーバーのシンクロアクション!)のなかで仕掛けていくピンポイント攻撃が、もっとも実効レベルが高いということ・・だから攻撃側は、相手がマンマーク守備の場合、どこかにスペースを空けるという発想でスタートポジションを探る・・もちろんキッカーも、そのことを意識する・・

 ・・次のテーマは、マンマークの機能性を崩壊させるような、攻める側の協力アクション・・この浦項同点ゴールシーンでは、栗原とサントスの間に、別な「ペア」が割って入ったわけだけれど、それは意図的なものだったに違いない・・サントスに、フリーで、意図したスペースへ入り込ませるために・・

 ・・逆にそこには、守備にとってのテーマもある・・要は、ディフェンダーは、攻撃側の意図を察知して、最後はどのスペースを狙っているかを明確にイメージできていなければならないということ・・「セットプレーでの守備方法はマンマークとゾーン・・」なんていうステレオタイプの発想ではダメ・・最終勝負では、常に「人を見る」ことになるのだから・・ゾーン的なスペースケアの発想と、人を見るというマンマーク発想が、常に同居していなければならないということ・・

 ・・試合だけれど、同点になった後の展開は、ものすごくエキサイティングなモノへと変容していった・・要は、勝ちたいマリノスも、リスクを冒して攻め上がりはじめたことで(守備ブロックをちょっと開けたことで)ゲームコンテンツが動きはじめたということ・・主力が欠けているとはいえ、やはりマリノスもチカラがある・・でも結局は、両チームともにチャンスを作り出しながらも決めることができずにドロー・・その最後の時間帯でのマリノスの吹っ切れた攻撃に、昨年レッズと争ったチャンピオンシップ第二戦の延長戦でみせたマリノスの積極攻撃に似たモノを感じていた・・

 ・・マリノス岡田監督のテーマは、美しさと勝負強さのバランス(でもまず確実に勝つことを明確なターゲットにするところからスタート!)・・チームが徐々に発展するなかで、「石橋を叩く回数」を減らしていこうというものでしょう・・積極的な攻撃サッカーと、それで希薄になる(希薄になっていくに違いないと判断される?!)選手たちの守備意識との相克・・ってな具合かな・・そこには、2006ドイツワールドカップ最終予選プロセスにおけるサッカーコンテンツと、予選を通過した後に目指すサッカーとを明確に分けて考えている(そうに違いない!)ジーコジャパンとも相通じるモノがある?!・・現場にとってそれは、たしかに永遠のテーマだよネ・・その視点でも、とにかく「頑張れマリノス!」なのですよ・・

 ・・テーマは、(社会的なポジショニングも含めた)サッカーの発展にとって、攻守にわたってガンガン前から仕掛けていくリスクチャレンジ攻撃サッカーが内包している意義はものすごく大事だということ・・まあそこには、経済主導のプロサッカー環境や生活者の深層にある期待内容(生活者の哲学コンテンツ?!)、はたまた政治的な思惑などなど、サッカーの本質的な魅力の発展プロセスを左右する、プラスとマイナスの両ファクターが絡み合う様々な錯綜メカニズムがあるわけだけれど・・でもまあ突き詰めたら、やっぱり生活者こそが全てを決めるということだけれどネ・・

 あっと、テーマがまたまたあらぬ方向へ行ってしまった。とにかく水曜日(2月16日)に行われる深セン(中国)との勝負マッチに期待しましょう。この試合は、日本テレビで、2355時より録画放映されるとのことです。では・・

 



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