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オリンピック男子サッカー・・このチームは追い込まれた方がいい・・(日本vsパラグアイ、3-4)・・(2004年8月13日、金曜日)

あ〜あっ、やられてしまった・・でも、まあ、ゲーム内容からすれば順当な結果ではあるけれど・・。ラジオ文化放送でのスタジオ解説を終えて帰宅する途中、そんなことに思いを巡らせていました。もう朝の5時半になってしまったから、とにかく簡潔にレポートをまとめることにします。

 そこでのテーマは四つ。まず、ゲームペース掌握の源泉である中盤ディフェンスから。要は、ゲームへの「入り方」という視点です。

 日本代表は、例によって「注意深く」ゲームに入っていきました。そして、例によって、全体的なプレーが消極的になってしまう・・。とにかく前半の日本のディフェンスは、まさに「局面勝負のぶつ切り」。ボールを奪い返すイメージが、まったくといっていいほど、有機的に連鎖しないのです。チェイス&チェックアクションは確かにそこそこ・・でも次のパスレシーバーに対する狙いが甘く、マークも甘い・・パスをレシーブした相手選手をうまく抑えられず、「そこ」でのボール奪取勝負がうまく機能しないから、その次のディフェンスアクションも受け身(慎重)になってしまう・・そしてチーム全体に、消極ビールスが万円していってしまう・・まさに心理的な悪魔のサイクル・・。

 前半の日本は、まったくといっていいほど自分たちでペースアップできず、ジリ貧のサッカーをくり返すばかりでした。ということでテーマNo.2は「本物のリーダー不在」。

 たしかにトゥーリオは「刺激プレイヤー」です。でも彼は最終ラインですからね・・。だから、もう一人ミッドフィールドにリーダーが欲しい。でも結局は・・ってな具合なのです。小野伸二に、大声で見方を叱咤する「刺激アクション」は期待できないでしょう。今野は、爆発的な守備アクションで味方に刺激を与えるタイプだし、阿部にしても、やはり難しい・・。私が言っているのは、本番でのギリギリ勝負だからこそ、瞬間的な怒りや憎しみなど、人間心理の「ダークサイドパワー」を総動員しなければならないということです。

 「オマエ、フザケルナよ・・何やっているんだ! 何故もっとマークを詰めないんだ!! それだったら味方のチェイスアクションが無駄になってしまうだろう!!!」等々、とにかく、不満をぶつけ合うようなアグレッシブな雰囲気が必要になってくる場面は多いのです。「怒りをぶつけ」たら、もちろん自分は、それ以上の積極プレーをやらなければならなくなる・・そんなアグレッシブなテンションが高揚し、それがチーム全体に波及すれば、確実にチームパフォーマンスは、100パーセントを超越していく・・それこそが、本物の心理ゲームであるサッカーの背景に潜んでいるメカニズム・・というわけです。そのメカニズムが機能しない日本代表・・。

 それでも、後半はどんどんと吹っ切れていきます。それがテーマ3。要は、失うモノがなくならなければ吹っ切れた積極プレーがができない日本代表ということです。そのことは、アジア最終予選で、繰り返し書いたとおりです。「よかった・・本当によかった・・引き分けでも大丈夫というぬるま湯の心理で最終勝負に臨めないところまで追いつめられて本当によかった・・」。でも本当は、失うモノが何もなくなってしまう前に、その前兆を感じ、自らゲームを活性化していけなければならないのに・・。やはり彼らの「セルフモティベーション能力」はまだまだということです。それは、リーダーシップ不在というテーマにもつながりますが・・。

 最後のテーマが、それでも、最後の時間帯は、日本がイメージするダイナミックサッカーが機能するようになったこと。そのキッカケは、積極的な選手交代でした。

 後半の立ち上がりから、那須に代えて松井を投入。そして後半20分には、森崎に代えて田中達也をグラウンドへ送り出す。特に、田中の登場によって、日本代表の攻めがポジティブに活性化されていったと感じました。

 後半でのゲームへの入り方は、まあまあ。それでもまだまだ不満だったのですが、それが田中の登場によって、サッカー全体が本当の意味で活性化しはじめたと感じたのです。もちろんそれには、後半17分に「4-2」とされてしまったこともありましたが(失うモノがないところまで追いつめられた)・・。

 日本の中盤守備が活性化していった・・それによって、ボール奪取ゾーンが、どんどんと高くなっていった・・そのことで次の攻撃に人数をかけられるようになっていった・・また、田中達也という「ドリブルによる攻め手」が一つ増えたことによって、逆に、人とボールが良く動く組織プレーもうまく活きるようになった・・要は、攻撃での変化が演出できるようになり、組織プレーと個人勝負プレーがハイレベルにバランスしはじめたということ・・そして後半36分に「3-4」となる日本の追いかけゴールが決まる・・やっと流れのなかで相手守備ブロックを振り回す仕掛けを完遂できた・・そのキッカケプレイヤーはやっぱり田中達也・・田中達也のドリブル勝負という「攻撃の変化」・・その「アクセント」が、日本の攻めを本当の意味で活性化した・・。

 ちょっとアタマが回らなくなってきました。このグループのもう一つの試合、イタリア対ガーナは「2-2」の引き分けに終わったそうな・・。まあ、日本にとってはポジティブな結果でしょう。とにかくイタリア戦での日本は、最初から吹っ切れた闘いを仕掛けていかなければならないし、もし結果がついてきたら、限りなく決勝トーナメントが近いモノになりますからね。とにかく、やるっきゃないという状況に追い込まれたことはよかった・・。

 誤字・脱字・乱筆・乱文・・失礼。ちょっと寝ます。

 



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