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ジーコジャパン(43)アジアカップ準決勝・・内容あるサッカーで逆境をはね返した日本代表・・この経験が、10月13日の決戦に生かされることを願って止みません・・(日本vsバーレーン、4-3)・・(2004年8月3日、火曜日)

スゴイ・・本当に凄いドラマチックな闘いを魅せてくれました。最後まで諦めずに闘い抜いたこの日本代表チームを誇りに思わない日本人はいないに違いない・・。逆境に次ぐ逆境をはねかえしての大逆転勝利ですからね。準々決勝での奇跡の逆転PKをモノにしてから、そのポジティブな流れに乗った日本代表・・!?

 この試合でのジーコジャパンは、今大会のなかでは最高のサッカー内容で立ち上がりました。守備ブロックが押し上げることで前からボール奪取勝負を仕掛けられている・・だからこそ、高い位置でボールを奪い返せているし、次の仕掛けにも人数をかけられている・・これはいい・・。でも、そんな期待がふくらんでいた前半6分のことです、バーレーンが仕掛けた、例によってのドリブル勝負(個人プレー)をつなぎ合わせる単発の仕掛けから先制ゴールを奪われてしまうのですよ。

 日本代表は、その後も攻めつづけてチャンスを作り出すものの、どうしても同点ゴールを奪うことができない・・また前半40分には、遠藤が一発レッドで退場になってしまう・・フ〜〜ッ!! そんなゲーム展開を観ながら思ったものです。「ホントに皮肉だよな・・これまで、内容が良くないにもかかわらず、セットプレーなどのワンチャンスをゴールに結びつけて薄氷の勝利をつづけてきたのに・・この試合では、やっと本来の日本のリズムでプレーできるようになり、バーレーン守備ブロックを崩し切ったチャンスも作り出せているのに、ゴールを割ることができないで、逆に負けパターンにはまりはじめている・・ホント、皮肉だよ・・」。

 前半に日本が魅せたチャンスメイクのコンテンツは、(もちろん気候条件が厳しいから限界があるにしても・・)人とボールの活発な動きをベースに、組織パスプレーで相手守備ブロックのウラを突いていくなど、まさに良いときの日本そのものでした。そこでは、素晴らしいドリブル突破を魅せた田中や(そこから玉田のポストシュートにつながった!)、「影」のように前線へ飛びだしていく両サイドや遠藤など、選手たちのタテのポジションチェンジもうまく機能していたのです。また前線の鈴木と玉田も、自分たちが仕掛けていくだけではなく、味方を飛び出させるための効果的な犠牲プレーを魅せたりと、大車輪の活躍を魅せつづけていました。

 そんな活発なプレーを観ながら、やはり日本が、実効ある攻撃を仕掛けていけるためには、とにかく人数をかけた組織プレーを機能させなければならない・・そのためには、積極的なディフェンスが絶対的な前提だ・・それがあれば、自ずと次の仕掛けにも「人数が乗って」くるようになるし、自然とボールが活発に動くようにもなる・・なんてことを反芻していました。

 だから、後半3分に飛び出した、コーナーキック(セットプレー)からの中田浩二の同点ヘディングゴールに、まさに順当な展開だと胸をなで下ろしたものです。一度フェイク動作を入れ、間髪を入れずに、スッとニアポストゾーンへ入り込む中田浩二。そこへ、まさに測ったようなクロスボールが中村俊輔から送り込まれたという素晴らしいゴール。ヨシッ!! 思わず声が出ました。何せ、やっと内容あるサッカーが展開できるようになった日本代表でしたからネ。やはり結果もついてきて欲しい・・。

 ハナシが前後しますが・・後半の日本代表は、前半終了間際の田中と中田浩二の交代につづき(これでフォーバックの前にダブルボランチという布陣になる)、福西の代わりに小笠原を投入します。東アジア選手権での韓国戦のように、人数が足りなくても、とにかく攻める姿勢を前面に押し出すジーコ。そんな指揮官の積極姿勢が、玉田の積極的なドリブル勝負姿勢につながった!? 後半10分に、見事なドリブルシュートを決めた玉田でしたが、その前にも、まさに「爆発!」という表現がピタリと当てはまるような、大迫力の直線ドリブル突破を決めてしまうのですよ(惜しくもゴールにはつながらなかったけれど・・)。

 人数が足りないから、とにかくチャンスがあったらドリブル勝負を仕掛けていくしかない・・。そんな吹っ切れた心理が、玉田の持ち味を存分に引き出したというわけです。そして一本目のドリブル勝負が決まったからこそ、自信&確信レベルを高揚させ、次につなげることができた・・。

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 ここからが、非常に興味深い展開になっていきました。何せ相手は11人。それに対し日本は、人数が一人足りないだけではなく、守備的ハーフタイプも、既に一人削ってしまった・・。こうなったら、中村俊輔と小笠原のディフェンス意識の高揚に賭けるしかない・・。そんな展開を観ながら、私は、彼らの守備意識がポジティブにブレイクするチャンスだと思っていましたよ。とにかく、守備をアナタ任せにできないわけだから、ボールがないところでの忠実で実効ある守備参加など、自らが積極的にディフェンスの仕事を探し、それを忠実にこなさなければならないというわけです。またボール絡みでも、ちょっとでも諦めたら、それが日本の守備ブロック全体の破綻につながってしまうのですからネ・・。

 その後は、バーレーンの動きが鈍重なこともあって、日本が誇るテクニシャンの中村と小笠原の「ワザ」が抜群の効果を発揮します。中盤であれだけ確実にボールをキープしてくれたら周りは楽だ・・それにしてもヤツらは上手いな・・なんて頼もしくさえ思ったものです。とはいっても、それも、その時間帯でバーレーンの守備がダイナミズムを失っていたからに過ぎませんでした。結局は、残り時間が少なくなってきたことを体感し、追い立てられるようにペースアップしたバーレーンに、後半26分と後半40分のゴールで逆転されてしまうのですよ。そこでは、日本代表の守備ブロックがウラを突かれてしまったわけですが、その要因は、中盤でのバーレーンの「仕込み」を、日本の中盤がうまく抑制できていなかったからでした。そしてゲームは、バーレーンの「3-2」のリードということに・・。

 でもゲームは終わらなかった・・。後半ロスタイムに中澤のヘディングシュートが決まった場面ですが、中澤や他のディフェンダーがそこまで押し上げていたという事実に、感動していた湯浅でした。それは、まさに執念。その勝負シーンに、自分主体の勝負マインドで押し上げていた選手たちと、一度、スッとバックステップすることで相手の視界から「消え」、最後の瞬間にズバッと前方へ飛び出すことで相手の「鼻先」でヘディングシュートを決めた中澤に対し、心からの拍手を送っていた湯浅でした。

 そして延長。玉田の「粘りのドリブルシュート」が決まった後も、ギリギリのドラマがつづきました。気温は30度を超え、湿度も80%超。両チームともに「限界を超えた闘い」をつづけたのです。バーレーンの決定的チャンスに、何度、息が止まりそうになったことか・・。もうそれは、神様の領域でした。

 (一人足りないにもかかわらず!)内容のあるサッカーで決勝へ駒を進めた日本代表。この経験が、10月13日の決戦に生かされることを願って止みません。さて、イラン対中国を観なければ・・。

 



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