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ヨーロッパの日本人・・アイデンティティーに目覚めた中村俊輔?!・・高質なプレーコンテンツが彼のスタンダードになりつつある・・(2004年9月27日、月曜日)

さて、覚醒し、その好調を「高み」で維持する中村俊輔。今節の、アウェーでのシエナ戦でも、後半20分に交代してしまったとはいえ、全体的な出来は高いレベルで安定していましたよ。

 彼は、このチームでもっとも大きな「自由」を与えられた選手です。だからこそ、攻守にわたって主体的に仕事を探しつづけなければならない・・それが出来ないのならば、確実に淘汰される・・。この二列目センター選手について、「Jレポート」でこんなことを書きました・・。

 二列目センター・・それは(通常の場合)、攻守にわたって「限りない自由」を与えられるポジション・・常に全力で仕事を探し、それを主体的に実行していくという積極プレー姿勢がないと務まらないのも道理・・だからこの、そのチャンスを与えられた選手は、セルフモティベーション能力(考えるチカラ=インテリジェンスレベル・・等々)を厳しく評価される・・とにかくその「自由」を与えられた選手は、チェイス&チェックなど、最前線からの積極ディフェンスを仕掛けていくだけではなく(守備の起点プレー!)、積極的に動いてタテパスのターゲットになったり、積極的に戻って前方にスペースを作り出すことで、後方選手たちがオーバーラップできる可能性を大きくしなければならない(タテのポジションチェンジの演出!)等々、攻守にわたる自分主体のコアプレーで「前線ブロックの実効レベル」を引き上げられなければならない・・だからこそ彼らは、ゲーム内容や結果に応じて、チームのなかでもっとも評価され易いし、逆にコテンコテンに叩かれ易い立場にいる・・。

 以前の中村俊輔は、(攻撃では)足許パスを「待つ」姿勢が強すぎるだけではなく、パサーとして機能しようとするだけで、次のアクティブゾーンへ全力で移動しようとするパス&ムーブの意志もほとんど見えないなど、実の効果が見えないプレーの方が目立っていました。そして、パスが回されてこなかった場合、「チェッ」ってな態度で下を向いてしまう(フテくされてしまう?!)のが常でした。それが今では、パスを要求する激しい動きのなかで、両手を大きく広げて「こっちへパスを回せよ!!」などと強く要求するくらい自己主張が全面に押し出されるようになっている。攻守にわたる、強烈な意志が詰め込まれた「全力ダッシュ」のオンパレード。いや、素晴らしいですよ。そんな自己主張の心理ベースは、もちろん自信・確信レベルの深化。私は、中村自身が、攻守にわたって、ボールがないところでもしっかりとチームに貢献できているという強い自覚を持てていることが、その心理パワー発展の背景にあると思っています。「どうだ、オレのプレーには誰も文句を言えないだろう!!」ってな具合。頼もしい限りじゃありませんか。

 そんな心理・精神パワーが、前線からの全力チェイス&チェック守備アクションだけではなく、シンプルなパスを回すなどボールに絡んだ直後に「次の勝負ゾーン」へ全力ダッシュを仕掛けるといったボールがないところでのクリエイティブなムダ走りをつづけるための原動力にもなっている・・。これだったら、本当に「中田&中村」のニュー・コンビネーションも見てみたくなるっちゅうものです。何せ、両人ともに、パサーにもなれるし、汗かきの動きも含めたクリエイティブなパスレシーバーにもなれるのですからね。主体的に、ボール絡みやボールがないところでのお仕事を積極的に探せる二人が、互いに使い、使われるというメカニズムに対する深い理解をベースにして協力し合う・・。まあ、もちろん日本代表での中村は、もっともっと守備でも実効ある汗かきプレーをしなければなりませんけれどネ・・。とにかく、「中村俊輔というニューストーリー」も楽しみになってきました。

 それにしても、中村俊輔の急激なイメージチェンジ。お子さんが生まれるとのことですが、たぶん「それ」が、もっとも大きなモティベーションなのだろうと思っている経験者の湯浅なのです。アイデンティティーに目覚めた中村俊輔?! まあ、そういうことかもしれません。もちろんその意味は、父親として、強い誇りを持ちたいということです。

 



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