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ヨーロッパの日本人・・覚醒した中村俊輔?!・・ポジティブコメントができるのは、やっぱり気持ちいい・・(2004年9月23日、木曜日)

そのとき、本当に目を疑った・・自陣ペナルティーエリア際でパスを受け、例のスムーズなボールコントロールからのフェイク動作で相手を翻弄して横パスを出した中村俊輔・・いつもだったら、そのまま足を止め、次の味方のカウンターを「眺める」だけになってしまうのに、そのシーンでの彼の行動はまったく違うものだった・・横パスを出した中村俊輔が「全力ダッシュ」でタテへ走り上がり、ボールを「追い越して」右サイドへ回されたボールの次の「タテパス・ターゲット」になっちゃったのだ・・その全力フリーランニングは50メートル以上・・ビックリした・・その全力パスレシーブの動きの迫力に、右サイドにいた味方ボールホルダーも完全に呑み込まれ、まさにその迫力に圧倒されるように中村俊輔へパスを出した・・そこからの中村のプレーも「常軌を逸して」いた・・ボールをこねくり回し、「オレはパサーだもん・・」と怠惰にパス出しタイミングを「待つ」のではなく、パスをコントロールした次の瞬間には、すかさず、中盤の高い位置から勝負ドリブルを仕掛けていったのだ・・エッ??なんて目を疑う湯浅健二・・そのドリブルアクションからは、オレがシュートまで行ってやる!という爆発的なスピリチュアルエネルギーが放散されている・・だからこそ、自らシュートできる可能性だけではなく、最後の瞬間でのラストパスの可能性も限りなく大きいモノにすることができる・・そんなリスクチャレンジプレーがあったからこそ、最終勝負の可能性を限りなく広げることができたのだ・・最後は全力で追いかけてきた二人の相手ディフェンダーに引っかけられ、ブッ倒された・・もちろんファール!・・でも私は、そのプレーに本当にショックを受けていた・・中村俊輔が、本来のプレーマインドに覚醒した・・そう、コンフェデ・フランス戦のプレーイメージをである・・

 一気に書いてしまいましたが、これは、三日前に行われたラツィオ戦、後半残り数分というタイミングで飛び出した中村俊輔のスーパープレーシーンの再現でした。それが試合終了直前のプレーだったこともあって、とにかくインプレッシブだったのです。前回のコラムでは書き忘れちゃいましたがネ・・。そしてこの試合でも、それに通じる素晴らしいアクティブプレー。これは、本物だ・・。

 この試合での中村も、フォワードで先発。もちろん、限りないプレーの自由度を与えられた前線プレイヤー(チャンスメイカー)というわけです。そしてその「自由度」を最大限に活用しようという強い意志を、攻守わたって振りまきつづける・・。

 全般的な運動量の多さと、最前線からの積極的なディフェンス参加がまず目を引く・・何といっても、いままでの中村のプレーイメージからしたら、大きなイメチェンだから・・攻守にわたる、意図が凝縮された全力ダッシュの量と質が高揚しつづけていると感じる・・最前線からのチェイス&チェックも、確実な守備の起点として機能している・・そして、そんな積極ディフェンスプレーを基盤に、次の攻撃では、シンプルパスプレーと、勝負ドリブル・タメ・タテパス・ラストクロス等々の勝負プレーといったボール絡みプレーだけではなく、長い距離を走るパスレシーブプレーや爆発的なバス&ムーブなど、仕掛けシーンでの「ボールなしアクション」もアクティブ・・前節同様に、何度彼が、ボナッツォーリを「追い抜いて」決定的スペースへ抜け出すようなフリーランニングを魅せたことか・・。フムフム・・

 とにかく、これだけ攻守にわたる「実効あるアクション」がつづけば、中村俊輔にボールが集まるのも道理なのですよ。とはいっても以前は、運動量が増えても、それがうまくボールタッチの増加に寄与しないケースも多かった・・。まあその背景には、中村の動きの「質」に問題があったし、守備参加の姿勢もおざなりだった・・また、監督からのチームメイトに対する意識付けも十二分ではなかった・・等々、複合的な要因があったことでしょう。それが、中村のなかの心理的なネガティブサイクルを助長していた?! そしてここにきて中村俊輔のなかで何かが「弾けた」?! 監督による刺激? 家庭的な事情?? さて・・。

 それにしても、コルッチ、テデスコ、モザルトといった中村の中盤センターパートナーたちが展開する攻守にわたるダイナミックプレーは素晴らしい。そんなことも、中村の大いなるポジティブ刺激になっていることは間違いのない事実です。

 さて、ブレイク傾向にある中村俊輔というストーリーに実が詰まってきた・・。

 



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