トピックス


ヨーロッパの日本人・・まず小野伸二から(中田と中村は順次アップします)・・(2004年11月15日、月曜日)

さて、強豪アヤックスのホームスタジアムに乗り込んだフェイエノールト。期待が高まったのですが、小野伸二の出来は、どうもパッとしない。ここのところの2試合もそうだったのですが、良いカタチでボールに絡めないのです。また守備でも、例によってボール奪取勝負シーンも演出できない。フ〜〜ッ・・

 守備では、たしかにスペースを埋めるバランシングプレーやチェイス&チェックアクションによって味方のボール奪取勝負をバックアップしているし、前線へ押し上げた後の、攻から守への素早い切り換えからの全力での戻りも効果的なのですが、全体的な出来としては、どうも「無為にそこにいるだけ・・」という守備プレーの方が目立っているという印象ばかりなのです。もちろん「そこにいる・・」ことも、チームメイトのポジショニングバランスを取ったりスペースをケアーしたり等々、重要なタスクではあるけれど、ボール絡みの効果的守備プレーがあれほど少ないのではネ・・。

 守備の目的は、相手からボールを奪い返すこと。その目的達成のための貢献度という視点では、以前の調子が良いときから比べれば「なかり低落」といった具合なのですよ。このような、受け身で消極的なディフェンスでは、チームメイトから頼りにされるハズがないし、次の攻撃でも、積極的にパスターゲットとして「探される存在」にもなれない・・。

 また攻撃でも、ボールの安全なデバイダー(分配役)としてはある程度の機能性はみせられているし、影武者の押し上げ(三列目からの勝負のフリーランニング=決定的スペースへの飛び出し等)も忠実に繰り出しつづけるけれど、これまた「実効レベル」という意味では、以前の輝きが感じられない。

 要は、前述したように、良いカタチでボールに触れないという表現に尽きるわけですが、その主因は、しっかりと動けていないということ(全体的な運動量が少なすぎるということ!)です。「ここへパスを出せ!」と迫力あるバックアップの動きをつづければ、以前のように、もっと良いカタチでボールを受けられるだろうし(前へ向いたカタチでボールを持つことが出来るだろうし)、後方からのゲームメイカーとしての輝きも取り戻せるはずなのに、どうも、味方からの横パスを、足を止めて待つような受け身で消極的なシーンの方が目立ちすぎるのです。それでは、相手にパスを狙われるのも道理。そして、パスをレシーブしても余裕を持てないから、単なる「つなぎのダイレクトパス」ばかりになってしまう・・。

 攻撃の目的はシュートを打つこと。その目的達成プロセスに貢献するようなプレーは、何といっても、後方ゲームメイカーとして、「タテのボールの動きのマネージメント」でしょう。以前は、小野が中心になった「縦方向のボールの動き」をキッカケにした仕掛けの流れが何度も見られたのに・・。 

 たしかに、見事なインターセプトを2本と、全力ダッシュのオーバーラップで仕掛けの流れに効果的に絡んだシーンも2つありました。でも、それだけでは・・。彼自身も不満に違いありません。まだケガの具合が完全ではないのかな?! 前節のゲームも同じような低調コンテンツだったから、レポートするためのモティベーションを高められませんでした。まあ小野のことだから、体調が万全に戻れば、また以前の「攻守にわたって高みで安定したダイナミックプレー」を魅せてくれるに違いありません。期待しましょう。頑張れ、小野伸二!

===========

 さて次は、ユーヴェ戦ではフラストレーションのカタマリになっていたに違いない中田英寿。リヴォルノとのトスカーナダービーを観はじめてすぐに、「やっぱりユーヴェントスは強かったということだな・・」なんて納得していましたよ。相手の総合力がかなり上だから、どうしても押し込まれ、次の攻撃でサポートパワーを高揚させるのが難しい・・だから、中田ヒデとコンビネーションプレーを展開する味方が常に足りないのも道理・・ということです。中田にタテパスが出されても、「そこしかない」ことは相手も先刻ご承知だから、常にタイミングよく集中されて潰されてしまう・・これでは、いくら中田でも良いプレーを展開できるはずがない・・。

 でもリヴォルノ戦は様相が異なります。全体的にゲームをコントロールするのはホームのフィオレンチーナ。攻撃の仕掛けゾーンにも、(リヴォルノの引きが早いことで味方も押し上げられるから)十分な数の味方サポートが上がってくるのです。そして中田のプレーが、どんどん活性化していく。

 まさに縦横無尽という、ボールがないところでの動きから、ダイナミックなシンプルプレーを魅せつづける中田。右でボールをシンプルに展開したかと思えば、次には中央ゾーンでのワンツーを狙っている・・そのまま左サイドで、キエッリーニを前方スペースへ「送り出した」かと思えば、再び中央ゾーンで、オボドとのワンツーを決めてしまう・・もちろん今度は自分がパス&ムーブでシュートへチャレンジする・・。そんなダイナミックプレーを観ながら、やはりサッカーは「相対ボールゲーム」・・相手によってプレーコンテンツがガラッと変わってしまう・・なんてことを思っていました。

 中田は、ブーゾ監督から完全なる自由を与えられているにもかかわらず、とにかく常にディフェンスからプレーに入っていこうとしています。常に守備に対する積極イメージ&意志でプレーしているということです。それは前節のユーヴェ戦も同じ・・というか、ユーヴェ戦では、ゲーム戦術的なタスクが与えられていたのだろうけれど・・。だからこそ味方は彼を信用する・・だからこそ仕掛けイメージのコアとして頼りにする・・だからこそチームメイト達はパスターゲットとして「まず」中田を捜す・・。とにかく中田は、使うだけではなく、使われるのも、とても上手いですからネ。その両方で「全力プレー」ができることこそ、インテリジェンスの証というわけです。

 とはいっても、リヴォルノも良いチームです。押し込まれながらも、ディフェンスがすごく上手く堅牢なのですよ。そして徐々にフィオレンチーナが攻めあぐむようになり、全体的にも足が止まり気味になっていく。これでは、「個の勝負の傾向」が強くなっていくのも道理です。要は、ボールの動きが単調になっていったということです。これでは、中田が得意のポンポンと回るパスリズムが影を潜めていくのも道理といったゲーム展開になっていくのです。そして、何とかできないかな・・なんて思っていたら、中田が交代してしまったというわけです。

 中田の出来は良かったけれど、たしかに前半の終わりのあたりから、効果的なボール絡みのプレーが少なくなっていったことも確かな事実でした。それについては、相手のリヴォルノの守備ブロックがフィオレンチーナの組織プレーリズムに慣れ、うまくフィオのボールの動きを抑制することで、各ステーション(各パスレシーバー)で攻撃を潰せるようになったからという見方もできます。そんなふうにボールの動きリズムを分断されるケースが増えてきたことで、フィオレンチーナ選手たちのサポートの動き(パスレシーブの動き)も徐々に減退し、パスをつなぐコースがなくなったボールホルダーが、より頻繁にドリブルで(パワープレーで)状況を打開していくようになってしまった。まあ、勝負という視点では、そんな「力業」も必要ではあるけれど・・。

 本当の意味で中田英寿がチームのイメージリーダーとして確固たる地位を築くまでには、まだまだ時間が掛かりそうです。だからこそ、そのプロセスが面白い。

===========

 さて、最後は中村俊輔。ゲームを観ながら、それにしてもローマの病巣は深いよネ・・なんてことを考えていました。チャンピオンズリーグでも結果を残せていませんしね。

 ローマは、とにかくディフェンスの機能性が良くない。特に、ボールがないところでの様々な守備プレーに「明確なイメージ」が欠けているのですよ。先制ゴールのシーンでも、左サイドでパスを受けた中村俊輔はフリー、俊輔からパスが出されたコルッチもフリー、そして簡単に、コルッチとボナッツォーリにワンツー突破を決められてしまう(ワンのパスを出してパス&ムーブで走り抜けたコルッチに対するマークがいい加減!)。それだけじゃなく、コルッチのクロスを逆サイドで受けたメストもフリーだし、この状況で、センターゾーンにいるボナッツォーリもフリーにしてしまった(同時に二人が、後方から上がってきたレッジーナ選手のチェックへ行ってしまった!)。要は、選手たちのディフェンスマインドが落ち込んでいるということです。これでは、主体的なダイナミック守備プレーを有機的に連鎖させることなんて出来るはずがないし、守備がうまく機能しなかったら実効ある攻撃なんて繰り出せっこない・・。効果的なボール奪取ができず、引き気味で、一発ロングという単調な攻めをくり返すローマなのです。

 そんな相手の、機能性を失ったディフェンスもあって、この試合での中村は、かなりフリーでボールに触れていました。まあ彼にしたら、「オレのパスレシーブのクリエイティブな動きがあったからこそ良いカタチでボールに触れるんだ!」という自己主張があるに違いないけれど・・。またチームメイトたちが中村を捜しているという側面もありますよね。そんな傾向もまた、中村俊輔自身が「勝ち取った」ものです。だから、拍手!

 そしてボールをもったら「中村マジック炸裂!」ってな具合。そのマジックは、以前のような「局面マスターベーションプレー」じゃなく、常に突っかけていくアグレッシブなクリエイティブなリスクチャレンジプレーてんこ盛りなのです(ドリブルで抜いてやる!という意志が見えるからこそ、よりフリーな状況を演出できるし、パスかドリブルかタメか等々のオプションも増える!)。とにかく観ていて楽しいことこの上ありません。まあ、攻守にわたって、まだまだボールのないところでの気抜けプレーもあるけれど、ボール絡みで、あれほどの(自己責任ベースの!)攻撃的パフォーマンスを魅せてくれるのだったら・・ネ。

 この試合でも、基本的には、ワントップ・ボナッツォーリの周りで自由にプレーするというイメージなのでしょうが、中村は「その基本を超えて」、コルッチと積極的にポジションチェンジしたり、守備では自軍ゴール前まで戻ってボール奪取勝負を仕掛けたり忠実なマンマークをつづけたりなど、縦横無尽に「攻守にわたって仕事を探しつづける」のです。ボールがないところでの、攻守にわたる「全力ダッシュ」の頻度は、以前から比べれば、もう何倍。全力ダッシュとは、攻守の目的を達成するための具体的イメージが具現化された主体的な「自己主張」のこと。それがあるからこそ彼にボールが集まるし、ボールを持っても、その自己主張に対する確信レベルが高いからこそのリスクチャレンジプレーのオンパレード・・というわけです。頼もしい限りじゃありませんか。

 それにしても後半26分での中村の交代はちょっと残念。たしかに徐々に中村の「全力ダッシュの勢い」が落ちてきていたし、チカラのあるローマの前への勢いが加速しはじめ、逆にレッジーナの中盤ディフェンスの勢いにも陰りが出てきていました(この表現には本当に多くのファクターが込められているのです・・)。ということで監督さんの判断をレスペクトするし、結局その判断が功を奏した(結果につながった)わけですからネ。

 まあ「ホンモノの守備」という視点で、中村に対する評価はまだまだだということでしょう。そのポイントについては、私もアグリー・・。また、ローマの押し上げの勢いが加速してきたことで、次の攻撃へ人数を掛けられなくなったレッジーナだから、攻撃には、コルッチやメストなどが繰り出す「個のドリブル勝負」の方を優先するというイメージになったということでしょう。それについても、まあまあアグリー。中村に、相手をタテに抜き去る高速ドリブル勝負はあまり期待できないですからネ。それにしてもレッジーナのチーム力は、全体的に底上げしていると感じます。それがあるからこそ中村も活躍できる。さて、この善循環はどこまで発展しつづけるのか・・。

 



[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]