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チャンピオンズリーグ・・やっぱりバイエルンだと、観戦エンスージアズムが違う・・それにしてもユーヴェの徹底サッカーは強い・・(2004年11月4日、木曜日)

やっぱりバイエルンだと、観戦エンスージアズム(熱心度とか意気込みとか・・)が違う。巷では「湯浅はレッズファンだ・・」と言われているそうですが、まあ、ちょっとファンというのとは違うかもしれない。要は、自分のアイデンティティーにかかわってくるから、自然と「入れ込みレベル」が高揚してくる・・ということなのですよ。

 私にとってドイツは、サッカー的な意味で第二の故郷。いつも書いているように、そのサッカー方向性に反発するなど、反面教師的な側面があるにしても、心理の深層ではドイツサッカーを誇りに思っているし、早くドイツが、以前にはそれで世界サッカー地図での存在角を確立した「美しく勝負強いドイツ的クリエイティブサッカー」を取り戻して欲しいと願っているのですよ。要は、ドイツサッカーとの「心理・精神的な距離」が近いということです。その意味で、レッズとの「距離」が近いのも道理ですよネ。何せ、「J」発足当時からドイツの香りが色濃かったのはレッズだけだったわけですから・・。もちろんサッカー内容に対する「ニュートラルな評価レポート」という姿勢に変わりはないけれど、昨日のナビスコ決勝も含め、観戦時の心理・精神的な入れ込みレベルが違うということです。

 そのことは、このバイエルン・ミュンヘン対ユーヴェントス戦でも同じ。どうしてもバイエルンに肩入れしてしまう。何せ、ここのところのバイエルンは、サッカー内容で完全に復活しつつありますからネ。「バイエルンというストーリー」のコンテンツを練る作業にもリキが入るというモノです。そのあたりの事情については、以前にスポナビで発表したコラムを参照してください。

 さて試合。ホームのバイエルンが、ドイツ的なダイナミズムで、攻守にわたって攻撃的なブレッシングサッカーを展開し、ユーヴェントスが、例によっての堅牢な守備ブロックを組織してその勢いを抑制しながら「蜂の一刺し(必殺カウンター)を狙う・・といったゲーム展開です。試合の実質コンテンツは深い、深い。

 それにしてもバイエルンは大変な復調ぶりじゃありませんか。フェリックス・マガートの優れたウデを感じます。全員に深く浸透した「主体的な守備意識」・・それを基盤にしたダイナミックなボール奪取・・そして、その次の瞬間から展開されるダイナミックな攻撃・・フリーランニング、バス&ムーブのオンパレード・・人とボールが、まさにダイナミックに動きつづける・・そして、クロスからのヘディング勝負、クロスと見せかけた戻し気味のラスト横パスからの中距離シュート、スルーパスによる中央突破、サイドからのドリブル勝負&積極シュートチャレンジ等々、「あの」ユーヴェ守備ブロックがタジタジという場面も多い・・ってな具合なのです。

 でも結局は、イタリア的な勝負強さが、その存在感を世界にアピールしてしまう・・フ〜〜ッ・・。ミランもそうだけれど、ユーヴェにしても、そのタクティカルな徹底サッカーは、それは、それで見所満点ですよネ。

 守備でも攻撃でも、最後の最後まで互いの基本ポジショニングを崩さず、一つのユニットとしてチーム全体がアクションしつづける・・特に守備は美しい・・相手ボールプレイヤーに対す最初のチェック作業でのポジショニングにハイレベルで狡猾な意図を感じる・・その守備起点をベースに、周りの選手たちが、次のボール奪取をイメージし、まさに有機的な連鎖と呼ぶにふさわしいポジショニングを取りつづける・・「ぼかし」も含め、中盤選手たちのクリエイティブなポジショニングは見所満点・・そして、協力プレスによるボール奪取を予測した次のパスレシーブポジショニングと、そのパスを受けた次の瞬間に繰り出す勝負タテパスに対するイメージ描写、そしてその勝負パスをイメージした最前線選手たちの動き出し・・彼らの場合は、守備に入ったときから、次の攻撃でのチャンスメイクイメージが描けているのかもしれないなんてことまで思ってしまう・・ホントに強いなヤツらは・・

 最後にバイエルンについて一言。たしかに勝負には敗れてしまったけれど(ユーヴェの勝負強さにため息!!)、この試合でヤツ等が魅せたサッカー内容には、攻守にわたる創造的なダイナミズムが満載でした。ユーヴェとは基本的なプレー発想が異なります。ユーヴェのカチッと決まったポジショニングバランスに対し、バイエルンの場合は、常にダイナミックなポジションチェンジをイメージしつづけるのです。もちろん、次の守備に対する相互信頼をベースにしてね。そう、主体的な守備意識。これからの継続的な発展というストーリーが目に見えるようです。

 



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