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ドイツ・ブンデスリーガ・・リーグ終盤のエキサイティングなドラマをとことん楽しんでいた湯浅でした・・(2004年5月1日、土曜日)

「ナイン〜〜ッ!」。私の背後から奇声が上がりました。ヴェルダーブレーメン対ハンブルガーSVで、ブレーメンが先制ゴールを入れたのです。まあゴールを奪ったとはいっても、ハンブルクのバルバレスのオウンゴールでしたけれど・・。ちなみに、冒頭の奇声を英語で表現したら「ノ〜〜ッ!」っちゅうことになります。言うまでもなく、この奇声の主は、ブレーメンと優勝を争うバイエルン・ミュンヘンのファンでした。

 それにしても、このところゴールを奪えずに引き分けがつづいていたブレーメンにとっては、本当に天からの恵みといっても過言ではないゴールでした。そしてその直後に、ケルン対バイエルン・ミュンヘン戦で、降格が決まっているケルンが先制ゴールを挙げる・・。そこでもまたまた、先ほどの奇声の主が「ヒエ〜〜ッ!」と悲鳴をあげたことは言うまでもありません。そのままだったら、ブレーメンのリーグ優勝が「ほぼ確実」になってしまう・・。

 所用が重なり、予定していたブレーメンでのスタジアム観戦を諦めなければならなくなってしまいました。仕方なく、友人宅でのテレビ観戦とあいなった次第。でも、それはそれで楽しい経験になりました。何せ、同時に流れつづける様々なドラマを、様々な視点で、とことん楽しむことができましたからね。

 こちらのテレビ中継は、いろいろと選択肢があります。一つのゲームだけを観つづける・・いくつかのゲームを選択し、ゴールなどの「動き」に応じて、画面が任意に切り替わる中継タイプを選ぶ・・また全試合を選択し、ゴールなどの「動き」に応じて任意に切り替わる中継タイプを選ぶ・・。我々は、全試合を並行して追いかけるタイプの中継を選びました。ゴールのたびに(また退場などのドラマが起きるたびに)切り替わる画面。なかなか面白いですよ。

 そこでは、ブレーメン対ハンブルク、ケルン対ミュンヘンという優勝争いだけではなく、フライブルク対ハノーファー96、ヴォルフスブルク対フランクフルト、カイザースラウテルン対メンヘングラッドバッハといった「降格リーグ関係」のゲームも注目です。画面でゲームが切り替わるたび、すぐに観戦の「興味コンテンツ」を切り替えなければならないから大変だけれど、それはそれで、面白いですよ。何せ、一緒に観戦しているヤツらが、自分のマイチームが画面に出てくるたびに奇声を発したり、怒ったリ、喜んだりする。普段は冷静を絵に描いたようなドイツ人たちが、そんな、変化に富んだエモーションを見せるのですからネ。サッカーが内包するパワーの凄さと、ドイツ社会におけるサッカーの存在感を再認識していたというわけです。

 特に、降格圏ギリギリで闘うメンヘングラッドバッハ出身の弁護士は、対戦相手のカイザースラウテルンが3点目を決めたときには、ほとんど床に倒れ込んでしまって・・。彼は、ヴァイスヴァイラーに率いられていた当時にはスーパーチームだったメンヘングラッドバッハに思いを馳せているから、その落胆は推して知るべしなんですよ。

 私も、1970年代のメンヘングラッドバッハには思い入れがあります。私が最初にドイツを訪問したのは(私にとって初めての海外旅行)、1974年のことでした。そこでのハイライトは、ある人の紹介で観戦することができたメンヘングラッドバッハ対リバプール戦。それはシーズン前の親善試合だったのですが、その試合後に、ヴァイスヴァイラー監督にも紹介してもらいました。彼は、当時から日本でも有名だったから緊張しましたよ。

 またそれだけではなく、その試合は、デンマークの伝説的な天才プレイヤー、アラン・シモンセンのデビュー戦でもあったのです。そこでのアランの素晴らしいプレーは、いまでも鮮明に思い出せます。屈強なイングランド選手たちのアタックを、素晴らしいトラップ&コントロールから、ボールを「チョンと浮かせて」軽くかわしてしまう・・。まさに魔術師でした。魅了された私は、試合後のレセプションで、彼からサインをもらっただけではなく、つたない英語で、ボールコントロールについて質問したことを覚えています。「一体どうやれば、あんな風にうまくボールをコントロールできるのか・・?」なんてネ。そんな背景があるから、私にとってもメンヘングラッドバッハが置かれた苦境が気になるというわけです。何せ、私のマイチームである「1FCケルン」は既に降格が決まってしまいましたからネ。

 とにかく、内容ではなく「プロセスと結果」だけを追うような観戦は久しぶりだし、そこで展開される偶然と必然が交錯するドラマ、また歓喜と落胆がくり返されるドラマをとことん楽しんだというわけです。

 ところでメンヘングラッドバッハ。最後の最後に、素晴らしいコンビネーションから「2-2」となる同点ゴールをたたき込みました。彼らにとっては、まさに起死回生の一発。そのときの、例の弁護士の喜びようといったら・・。まあ私も乗せられて一緒に飛び跳ねちゃったわけですが・・。また優勝争いは、ブレーメン、ミュンヘンともに勝利を収めたことで、ブレーメンが大きくリーグ優勝に近づいたという結果になりました。あ〜〜、面白かった・・

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 明日の日曜日は、シャルケ04対ヘルタBSCベルリンをスタジアム観戦します。いまケルンにいるから、明日は何があっても大丈夫。とにかく両チームともにエキサイティングな背景事情をもっているという勝負マッチだから見逃せない。

 シャルケ04は、来シーズンの「UEFAカップ」のイスを狙っているし、降格リーグに参戦せざを得なくなっているベルリンも負けられない。そんなギリギリの闘いをスタジアム観戦することほどエキサイティングな経験はありません。もちろん私は、ボールがないところでの、極限テンションの競り合いを中心に観戦します。いまから楽しみで仕方ない・・。




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