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全日本、1997年キリンカップ優勝(全日本vsトルコ・・1-0)・・もう一つ「ウタを忘れた才能」について(1997年6月16日)

いや〜〜、加茂ジャパンがすごいゲームを披露しましたね。久しぶりに「自信」と「確信」をベースにしたアクティブサッカーを見せてもらいました。
「2002 Japan」のコラムでも書いたのですが(今週の金曜日のアップデートで載ります)、その「自信」を支えた大きな要素の一つが、中田の登場でした。20歳の若武者は、こちらがビックリするくらい落ちつき、自信にあふれたプレーを展開したのです。中盤の「ステーション」が確立し、そこにボールをあずけておけば、確実にキープしてくれるんですから、後ろからの押し上げもアクティブになって当然。いつもは、「後ろを気にしすぎて」あまり上がってこない山口でさえも、何本もシュートにトライしていました。中田の、ボールを持ったときのクリエイティブプレーだけではなく、状況に応じた「簡単プレー」、自分自身がパスを受ける「決定的スペース(相手最終守備ラインとGKとの間のスペース)へのフリーランニング(パスを受ける動きのこと)」、そしてなんといっても、素晴らしい「アクティブ守備」。イヤ〜〜、素晴らしい。昨年、日刊スポーツ新聞で連載していた私のコラム、「コーチのプロが、Jのスーパープレーを解説・・・湯浅健二の観戦アドバイス」でも中田のことを、何度かとり上げました。「中田は、現在のJ-リーガーの中では傑出したゲームメークセンスを持っている・・・」、そんな書き出しで、「それでも課題もかかえている・・この若武者には、『本当の意味での世界』を目指して欲しいものだ・・」という文章で結んだ覚えがあります。課題を克服し、確実に「世界」への階段を上っている中田。たのもしい限りではありませんか。
ハナシは変わって、オリンピックで中田のチームメートだった前園のことに少し触れたいと思います。というよりは「伸び悩む才能」というテーマについてです。山口と名波がダブルボランチコンビを組む布陣は、前園を入れるために、加茂監督が以前導入したものです。それでも、あの「パスの天才」名波を、ボランチに下げてまで用意したポジションだったのに、結局「何も仕事ができない」ままに、「天才の墓場」への階段を上っていく前園。
ブラジルの天才、ロマーリオ。最近、ブラジル代表チームに復帰したのですが、プレーは前とは比べモノにならないくらい攻守にアクティブなものになったと聞きます。「以前はサボリ過ぎたから・・・」。彼の弁なのですが、今は32歳になってしまったロマーリオ。もっと前に気づいていれば、ペレやベッケンバウアーのような、歴史に名を残すプレーヤーになっていたに違いありません。
何かのキッカケでプレーがアクティブ(積極的)なものになります。前園には、本当に「ものすごい刺激」を伴った「キッカケ」が必要なようです。とにかく「フリーな状態でボールを持つ」までに、普通は大変な苦労をすること、またサッカーには攻撃だけではなく守備もあることを肝に銘じるべきです。
もう一人、レッズの磯貝ですが、私は彼のプレーが嫌いでした。とにかくカッコだけつける「怠慢プレー」。前園と同じです。確かに才能はありますが・・そんなプレーが通用するはずがありません。それが、ここ数週間、彼のプレーが見違えるほど素晴らしいモノになったのです。
この数カ月、『才能の墓場』というテーマで、多くのメディアにコラムを書いてきました。ヴェルディーの前園、石塚。マリノスの上野。レッズの磯貝、など。テーマの対象となった選手たちです(中田については、かなり伸びていたので対象外としました)。その中で、28歳の磯貝に「蘇生」の芽が見え始めました。ということは、ある刺激とキッカケで「自覚」がよみがえるということです。もちろんそれには、ある程度の「インテリジェンス」が必要になります。前園に、その「インテリジェンス」が欠けているとは思えないのですが・・・・いかがでしょうかネ、皆さん・・・




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