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やったネ・・アンダー20日本代表・・(1999年4月12日)

この試合の前、「ライオンの子供達」がアメリカに負けたことで、この両チームが勝ち点「6」で並びました(得失点差でアメリカがこの時点でトップ)。

 ということで、日本代表は、勝ちさえすればグループトップで予選ラウンドを抜けることができます。そんな状況が、ゲーム立ち上がりのスーパーなアクティブサッカーとなって現れました。

 ただそんなアクティブサッカーが続いたのは10分程度。その後は、イングランドの厳しい守備、ロングボール主体の攻撃に、試合は膠着状態に陥ります。

 日本とイングランドでは、明確な技術的、戦術的な能力差があります(もちろん日本の方が上!!)。立ち上がりの攻勢は、そんな力量差が如実に出た展開だったというわけです。中盤での、日本守備陣の要所にターゲットを絞ったクレバーな守備、そして素晴らしくアクティブでクリエイティブなボールの動きをベースにした迫力ある攻撃。ただそんな迫力が、徐々にイングランドの「パワー」に抑え込まれはじめたのです。

 イングランドの中盤守備は、明確に「人を見る」ような「マン・オリエンテッド」ディフェンス。特に、攻撃の核である小野に対するマークは執拗をきわめます。日本は、小野にマークが集中しているのだから、他の小笠原や遠藤、はたまた両サイドの酒井や本山に、もっとボールを集めればよかったのに・・(確かに彼らも攻め上がりはしましたが、中盤のメインステーションはまだ小野・・)。

 そして徐々に、中盤の組立を省略し、ロングボールで攻め込むイングランドに盛り返されてしまった日本代表。ロングボール主体だから、高い位置でのボール奪取をベースにした素早いカウンターというチーム戦術は、あまりうまく機能しません。

 そんな相手と対戦するときは(「子供達」との対戦でも露呈したように)問題が生じてしまうモノなのですが、この試合での日本守備陣は、オフサイドトラップを仕掛けたり、キチンとポジショニングしたりと、落ち着いたモノです。ただ、どうしても「次の攻撃」に鋭さが欠けてしまいます。それはそうです。イングランドは「一発頼り」の攻撃を仕掛けている最中でも、日本の「次の組立」を阻止するために、中盤の守備組織をあまり崩さないのですからネ。これは難しい・・

 そして「例によって」、永井が、高原が、決定的なチャンスを外してしまいます。それに対しイングランドは、CKなどのワンチャンスでは、それは、それは大迫力の一発勝負を挑んでくるのです。「これは危ないな・・」、そう感じたモノです。

 永井と高原には、決定的チャンスでは、シュートまでに「一呼吸おくタイミング」を収得してもらいたいモノです。相手ゴールキーパーのアクションを見極められるだけの「余裕」をもってもらいたいのです。そうすれば、チャンスには、自分のボールがゴールに吸い込まれる「イメージ」までもを持てるようになるに違いありません。もちろんその域に達するまでには、血のにじむような努力が必要ですけれどネ。(これについては、先週アップデートした「Yahoo 2002 Club」のコラムを参照してください)

 彼らには、シュート練習は「心理トレーニング」という側面が大きい・・ということを、もっと強く意識してもらいたいものです。

 さて、「勝負の流れ」で、アブナイ雰囲気が漂ってきたイングランド戦ですが、そこに救世主が現れます。永井と交代出場した筑波大学の石川です。彼のFKの見事だったこと。左足のキックに絶対的な自信があるに違いありません。

 もしかすると、この交代は(もちろん事実関係は分かりませんが・・)、「膠着状態を打開できるのはセットプレー!」というトルシエ監督の決断だったのかもしれません。自身の強烈なパーソナリティーによって、日本の古い体質そのものである「協会」の中でチョット浮き上がった感のあるトルシエ氏ですが、やはりそこは世界を股にかけた勝負師・・ということなのでしょうか。私は、(今回の気候順応マネージメントはいただけませんでしたが・・これについても「Yahoo 2002 Club」のコラムを参照)彼の「グラウンド上のマネージメント能力」は認めています。

 さて次は勝負の決勝トーナメント一回戦。相手はポルトガルです。たぶん彼らは、「技術系」の選手を多くかかえていることで、中盤での細かな組立をベースに攻めてくるでしょう。日本にとっては、比較的やりやすい相手だとすることができるかもしれません。そしてこの試合でも、「ワンチャンス」をモノにすることが大命題になってきます。

 高原、永井には、とにかく「チャンスでの落ち着き」の意味を、もう一度しっかりと意識して欲しいと思います(チャンスになったら、一度深呼吸するくらいのタイミングがベストですヨ・・)。ガンバレ日本代表・・




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