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エキジビションにしては上々の見所満載マッチ・・「J」日本選抜vs外国選抜(1-3)・・(1999年10月11日)

これこそ「スタジアム観戦の価値がある」・・と感じさせられるゲームでした。

 というのも、「J」外国人選抜が、レオナルド、バッジオを中心に、素晴らしい「半径40-50メートル・サッカー」を展開したからです(たぶんテレビの映像では捉え切れていなかったに違いない?!)。この試合に集まった、五万五千人の大観衆は、さぞ魅了されたことでしょう。

 最初の、グラウンド全体を使い切る「広いサッカー」を感じさせるプレーは、レオナルドが演出しました。前半3分。自陣まで戻ってパスを受けたレオナルドが、振り向きざまに、左サイドを駆け上がっていたアレックス(エスパルス)の「前のスペース」へ、50メートルを悠に超えるタテパスを通したのです。

 アレックスのセンタリングは、残念ながらバッジオには合いませんでしたが、そのプレーを境に、外国選抜が、完璧にゲームペースを握ります。

 足の止まった「受け身・消極サッカー」の日本選抜を後目に、ゆっくりとしたペースから、「ココゾ!!」の瞬間に、スパッ、スパッと「スペースへのタテパス」を決める外国人選抜。心地よいことこの上ありません。

 彼らは、日本選抜チームの、遅い攻めのリズムを完璧に把握し、日本人選手が「まだ」ボールをキープしているうちから、「次の仕掛け」の準備に入ってしまいます。「そこでボールを奪えるに違いない!」・・で、もうレオナルド、バッジオがアクションを起こしてしまうんですからネ・・

 正直いって、私はこの試合にあまり期待してはいませんでした。単なるエキジビションマッチだし、バッジオやレオも観光客気分では・・ってなことを思っていたわけですが、試合が始まってすぐ、レオ・バジコンビの演出する「ファンタジア」溢れる「ワールド・サッカー」に酔いはじめている自分を発見した次第・・。

 レオナルド、バッジオの「プロフェッショナル・マインド」を甘く見てました・・

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 試合は、日本チームは「決定的スペース」を狙うという意識がほとんどない・・、だから外国選抜の守備もまったく落ち着いて対処し、前線も、早いタイミングで「次の準備」に入ることができる・・ってな具合の展開が続きます。

 たしにか、日本選抜同様、外国選抜の運動量も少ないのですが、「意図」がまったく見えてこない日本に対し、外国選抜は、「ターゲットを絞り込んだ」効率的なサッカーを意識していると感じます。「来させて」、カウンター・・それです。外国選抜には、そのベースになる「才能」が揃っていますからね。レオナルド、バッジオ、ビスマルク・・。また、ファン・ソンホン、ノ・ジュンユン、ホン・ミョンボ、そしてアレックスなども、その「才能」に触発されるように、目が覚め、心躍らされる「ファンタジア・プレー」に効果的に参加してきます。

 日本選抜では、一度、澤登がタイミング良くタテのスペースへ走り込んだシーンがありました。ただそこには、確実にポポビッチがマークにいっています。ということは、澤登が走り込むことで作り出された「その後ろのスペース」を使うべきだったのに・・。パスは「正確に」ポポビッチが狙っているところへ出され、「予定通り」ポポビッチにインターセプトされてしまいます。

 そんな拙攻を繰り返す日本選抜に対し、逆に11分、外国選抜が、レオ、ファン・ソンホンの大きめの「ワンツー」から、最後はファン・ソンホンが左サイドを抜け出し、そこから上げた「逆サイドスペース」へのセンタリングを、これまた「待ち構えていた」ロベルトが、落ち着き払い、右足インサイドでゴールのニアポスト側へ流し込んで先制ゴールを挙げてしまいます。

 これも、「予定通り」の「一発カウンター気味」の攻めではありました。

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 試合は、覇気のない日本人選抜チームに対し、外国人選抜が、面白いように「半径40-50メートルサッカー」を決めてしまう・・といった展開が続きます。

 後半2分。ハーフウェイちょっと入ったところで、バッジオがボールを持つ。その瞬間、最前線のレオが、爆発的にタテの決定的スペースへダッシュを仕掛ける・・。レオは、バッジオがボールを持つ前から、またバッジオも、ボールを受ける前から、「最前線のレオの動き」をイメージしていたに違いありません(この決定的プレーはギリギリのところで失敗しましたが・・)。

 今度は後半6分。バッジオのタテへのフリーランニングに、後方のアレックスから、50メートルはあろうかという(同サイドの)タテパスがピッタリと合う。バッジオの「芸術キープ」から、正確なピンポイントセンタリング!! そしてレオナルドが、ゴール前で「オーバーヘッドシュート」!!

 ホント、魅せるじゃありませんか。

 この試合では、アレックスも目立っていました。「若手」の彼は、両チームの中でもっとも「モティベート」されていた選手だったのかも・・。世界のスターと一緒にプレーできるんですからネ。

 19分には、アレックスが左サイドでボールを持った瞬間、中央にいたレオナルドが、ニアポストの決定的スペースへの爆発ダッシュを仕掛けました。そして、スバッと、切れ味鋭いスルーパスが、アレックスから送り込まれます。これは、森岡がギリギリのタイミングで防ぎましたが、「世界のレオやバッジオ」も、アレックスを信頼していたようです。若いアレックスにとっては、この試合からの「刺激」は天文学的なレベルだった・・・?! この後の「J」での彼の活躍が目に見えてくるようです。

 そして外国人選抜の、三点目のダメ押しゴール。決めたのは、これまた「世界」に刺激されたキム・ドフン。世界レベルの「イメージ・シンクロ」に刺激された彼が、センターサークル付近でボールを持ったレオナルドのパスを受けるために、タイミングを見計らって決定的スペースへ爆発フリーランニングを仕掛け、レオナルドから、これまた「世界のスルーパス」が通ったのです。

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 「世界レベルのイメージ・シンクロ・プレー」のオンパレード。私にとってそれは、バッジオやレオナルドが魅せた「魔法のボールコントロール」以上に魅力的なものでした。

 このことについては、今週号の「Yahoo Sports 2002 Club」で書こうかな・・。とにかく、レベルを超えた「刺激」を与えてくれたバッジオとレオナルドに感謝・・です・・




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