トピックス


いや、レベルの高い面白いゲームでした・・サントリーチャンピオンシップ・・ジュビロvsエスパルス(2−1)・・(1999年12月4日、土曜日・・深夜)

「非常に良いゲームだった。観客の皆さんは楽しんだに違いない。ただ次は我々のホーム。エンスージアスティックな観客が、最後までサポートしてくれるだろうし、戸田もフィットするだろうから、この次は我々が、90分でゲームをいただくことにしよう。次は、ジュビロの守備陣は、かなり苦労することになるだろうナ・・」

 試合後のインタビュー。エスパルスのペリマン監督が、独特のハスキーボイスで、エネルギッシュに語っていました。

 私は、その「自信・確信」の根拠をよく理解できます。

 たしかに試合は、一時期の「絶不調」から回復傾向にあるジュビロが、中山の素晴らしい先制ゴールと(西澤と大榎の間を割って入った素晴らしいピンポイントフリーランニング・・これぞ中山!)、Vゴールで勝ちました。ただ、総体的な「内容」では、エスパルスに分があったと思うのです。

 その根拠の第一が、攻守にわたる「中盤でのバランス」の良さ。今でもジュビロのサッカーからは、「ドゥンガ」と「名波」の穴を感じてしまう・・つまり彼らのサッカー内容が、どちらかというと「下り坂」だと感じてしまうのに対し、エスパルスのサッカーは、どんどんと成熟してきていると感じるのです。

 ジュビロには、たしかに「決定力」抜群の中山はいます。それでも、彼の決定力の「バックボーン」である、決定的なタイミングでの「パスを呼び込む動き(決定的なフリーランニング)」が、「球出し」が明確ではないことで、うまく使いこなせていないと感じるのです。

 彼が、「ここに来い!!」と走っても、タイミング良くスルーパスが来ない。決定的なロングパスを「要求する動き」をしても、正確なパスが出なかったり、パス自体が出されなかったり・・。

 そして、誰にでも「読めてしまう」ような、足元への「安全パス」を回すだけになり、(結果として)中山、高原の足が止まり気味になってしまうのです。

-----------------------

 攻撃では「変化」が決定的に重要な意味をもってきます。守備側の「予測」を難しくする「変化」。エスパルスの攻めでは、左右、タテへ、どんどんとボールを「散らす」サントスがいます。中盤からでも、どんどんとドリブル勝負を仕掛けていくアレックスがいます。それに、伊東、澤登、久保山、安永が「タテのポジションチェンジ」を交えながら、ダイナミックに絡んできます。そしてボールが、素早く、広く、そして変化に富んで動き回るのです。

 対するジュビロは・・・

 それには、中盤での「リーダーの不在」を挙げなければならないかもしれません。エスパルスの中盤には「絶対的なリーダー」がいます。サントス・・。

 ジュビロの中盤には、そんなパーソナリティー溢れる存在が欠けているという印象を強くしたのです。たしかに中山はいますが、基本的に彼は「使われる」存在ですからね。

 サントスですが、たしかにスピードはありませんし、運動量が多いわけでもありません。それでも、「ココゾ!」の守備ポイントには、必ずといっていいほど顔を出し、効果的な仕事をしてしまうだけではなく、ボールを奪い返したら、彼を中心に、ボールが「ダイナミックな変化」を伴って動きます。

 エスパルスにとって彼の存在は、「絶対的なリーダー」そのものというわけです。伊東、澤登など、チーム中心選手たちの、彼に対する深い、深い信頼を感じます。

--------------------

 試合は、本当に一進一退を繰り返す拮抗した内容。たしかに一方が押し込む時間帯はありますが、それも「短時間」。すぐに他方が「押し返し」ます。それも、総合力が同等レベルであること証明なのでしょう。

 エスパルスは、戸田がいないということもあって、(守備に入った時には)伊東、サントス、澤登の三人が下がり気味の、ほとんど「トリプルボランチ」というシステムで試合に臨みます。

 前半は、アレックスが「ちょっと無計画気味」に上がり過ぎたこともあり、左サイドスペースを安藤に使われてしまうシーンが目立ちましたが(それが、中山の先制ゴールにつながる・・安藤のピンポイントセンタリングに拍手!)、それでも後半は、キッチリと調整してきました。

 たしかに西澤、大榎が、高山、中山の「素早く大きな動き」に振り回されてしまうシーンもありました。それでも、ジュビロの(ボールの動きがカッタルい)拙攻もあって、決定的なピンチを迎えるまでには至りません。

 ただ攻撃では(特に後半)、右サイドの市川、左サイドのアレックス(後半には攻守バランスをうまく調整)、また抜群のパフォーマンスを魅せる安永、久保山を中心に、伊東、澤登が効果的に絡み(前半の澤登のスーパー同点ゴールに大拍手!!)、しばしばジュビロ守備陣を振り回します。

 対するジュビロ。攻守にわたる「全体的な出来」はそんなに悪くはないのですが、いかんせん「勝負所」でのプレーに、前述したとおり「塩とコショー」が足りないのです。もっと、チーム内で統一された「ピクチャー」を持つことで、以前のように中山の特徴を活かすようにプレーしなければ・・。

 全体的な試合展開は、たしかにエスパルスの「試合内容」の方に、僅かながらのアドバンテージがあるとはいえ、まさに一進一退といったところ。エキサイティングなことこの上ありません。

 著名なドイツ人ライター「マルティン・ヘーゲレ氏」も、「いや、エキサイティングで面白い試合だヨ・・」と、大柄な身体を揺すり、これまたエンスージアスティックに言っていました。

 とにかく、第二戦が、この試合のように「内容のある」エキサイティングゲームになることだけは確かですし、今から楽しみで仕方ありません。

 ところで、ホーム&アウェーの二戦しかないチャンピオンシップの第一戦を、どうして「延長Vゴール」システムで戦うんでしょうか。私には分かりません。リーグ戦での統一システムでやることに異議があると考えているのでしょうか、それともビジネス的な異議があるのでしょうか・・。どなたか、教えていただけませんか・・

------------------------

 最後に、監督ができる「唯一の刺激」、選手交代について一言。

 まずジュビロの、高原と福西の交代ですが、そのとき私は、福西が「特別なタスク」をもってグラウンドに登場したものとばかり思っていました。例えば、常に最前線に張り、ロングボールのターゲットになったり(彼はヘディングが抜群に強い!)、ポストプレーのターゲットになることで、そのこぼれ球を「ゴールハンター嗅覚」が抜群の中山や、二列目の藤田、奥が狙う・・など。

 でも福西のプレーは、まったく「普通のフォワード」でした(ちょっとサントスに対するケアー意識はみせていましたが・・)。それでは、(交代の重要な意味である)チーム全体の「意志を統一」するような「刺激」にならないのでは?? 勝負の時間帯の選手交代には、すぐにチーム全体が「ヨシ!」と意思統一できるだけの「メッセージ」が込められていなければなりませんからね・・例えば、ジョホールバルでの岡野の交代などのように・・

 対するエスパルスも、ファビーニョを投入しなかったのは、あまりいただけないと感じました。問題ありとはいえ、あれだけの「強烈な特徴」をもった選手ですから、入れば、「チーム内の意思統一」という意味で、決定的な「刺激」になったでしょうに・・

 (ペリマン監督のインタビューコメントのように・・)安永と久保山の出来が良かったし、チーム全体が素晴らしくうまくバランスしていたから代えられなかったということなんでしょうが、私は、最後の時間帯で彼が出てくることを大いに期待していたんですよ。

 まあ、ファビーニョが出てきたときの「チーム全体の急激なマインドの変化」を体感する楽しみは、来週までとっておきましょうかネ・・

 今、東京へ帰り着き、コラムをまとめた湯浅でした。来週も、日本平からレポートしますので、ご期待アレ・・・




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]